仮想発電所が再生可能エネルギーによる電力フリー社会実現を支援する

不自由化だった電力自由化

未だに、2~3年前に鳴り物入りで喧伝・導入された電力自由化とは一体何だっ
たのか、電力行政のいい加減さを根に持っている私。
私が根に持ってもどうしようもなく、一銭の価値も生まないのですが・・・。

電力自由化は、決して、電力の製造・販売が誰でもできるようにすることだけを
意味するわけではない。
そう当初から考えていました。

ところが、初っ端から再生可能エネルギーの高すぎる買い取り価格を設定し、発
電業者の新規参入を思いっきり促したまでは良かったが、消費者に負担を強いる
こととセットでの政策だった。

その後、その買い取り価格を手のひらを返して下げ始めた。
固定買い取り価格の権利のみをまずは得て、あとは様子見を決め込んだ、悪質な
業者が出たことも想定外?
否、本来十分想定できるはずのこと・・・。

それより何より、既存大手電力会社が、太陽光発電による電力の買い取りを拒否
するという、素人からすれば反則技まで飛び出してきた。
それについて、経産省は電力会社を攻めるどころか、われ関せずの姿勢。

もうひとつ、電力自由化という理想用語には、送配電網の利用・制御の権利の自
由化が入っていなかった。
買い取り拒否や送配電網、要するに電線に関する権利は、従来の大手電力の利権
を保護したままであったわけ。
これでは自由化ではなく、不自由化だったと言わざるを得ない。

 

再生可能エネルギー化推進政策の脆弱性

高過ぎた設定電力買い取り価格。
これが、まず電力行政の誤りのひとつ。
そこには、太陽光発電など再生可能エネルギー事業開発のコスト低減技術の発展
予測が欠落していた。

不安定性の残る太陽光発電・風力発電の発電電力の蓄電・活用法に関する技術開
発・コスト低減予測も欠落していた。

当然双方ともそのための研究投資を国が支援する政策の欠落・脆弱性もあったわ
けです。

そして、グローバルの視点では、原発再稼働へのこだわりを含め、中長期的な電
力・電源構成比率を、世界をリードするレベルでのものに設定することを避けた。

福島原発問題、遡って唯一の原爆被爆国、という原発廃絶を真っ先に掲げるべき
要素・要因を持つ日本でありながら、それを忌避した、そこから逃避しようとし
た政治。

そして先般の北海道での地震時の停電、台風時の各地での停電などで電力システ
ムとインフラの脆弱性も再確認することになりました。

本来めざすべき、CO2フリーの地球環境創りと電力利用条件フリーインフラ創り
を考えると、当初の電力自由化などはほとんど意味のない、子ども騙しの政策に
過ぎなかったと言えるでしょう。

 

点在する蓄電池のシステム化によるVPP=仮想発電所が、電力フリー化をサポートする

大きな話から転じて、比較的身近に感じられる新しい情報を、今日2018/10/11
付日経1面で見ました。
家庭で蓄電 地域で共有東電や日産、再生エネ普及促す 電池コストに課題」

これは、家庭や事業所、EV=電気自動車などに点在する蓄電池をつなぎ、コント
ロールする「仮想発電所」システムで、再生可能エネルギーを有効に活用すると
うものです。

詳しくは、リンクした記事をお読み頂くこととして、その特徴を簡単に整理しま
した。

点在する複数の蓄電池をシステムでつないで、一つの大容量蓄電池として使用。
太陽光発電による電力を蓄電でき、災害時には非常用電力として利用できる。
家庭で太陽光発電を行っていれば、電力料金フリー、まさにタダにできる道筋
も見えてくるわけです。
もちろんそのための技術的課題はあるが、これにより再生可能エネルギーの製
造・活用を大きく促すことになります。

すなわち、私が表現する電力フリーとは、電気がタダになることを意味してい
ます。
再生可能エネルギーをみずから持つ送配電システム、蓄電システム・充放電シ
ステムにより、タダで使用する。
民間住宅も、民間事業所や工場も、自治体の建築物・設備も電気代がタダ。
エネルギーの自産自消、地産地消です。

長期的には水素社会を実現し、水素を原料として発電・エネルギー化し、電力
がタダの社会を創る。
エネルギー国産国消の国家社会の実現です。

50年から100年後には実現できるのでは。
そう考えるのです。
技術立国の日本ならばそれを可能にする、できる。
そう思うのです。

その実現可能性を示す先述した記事。
これまでの電力行政の失敗を取り返すことができる楽しみプロジェクトになる
はず。
楽しい読み物になっています。
こちらからご覧になってください。
⇒ 家庭で蓄電 地域で共有東電や日産、再生エネ普及促す 電池コストに課題」

 

VPP=バーチャル・パワー・プラント(仮想発電所)とは?

一般家庭や事業所の蓄電池やEVなどを一括制御し、1つの発電所のように
機能させるシステムおよびインフラ。
アグリゲーター(節電仲介業者)が各装置を遠隔制御。
必要に応じ、蓄電池への充電と蓄電池からの放電を行う。

 

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電力がタダ、と言えば、あの孫さんがこんなことを言った、やったという
こんなタイトルの記事が、2018/10/4付日経夕刊に載っていました。
孫氏、太陽光電力の無償提供へ 25年後インドなど
日本もこうなるといいですね。
お手本があるのですから。

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