独居高齢者の激増が招く墓じまい、無縁仏問題

65歳以上独居高齢者592万人(2015年)。2035年高齢世帯の4分の1762万人に

こうした予測もあって、終活で最も関心が高い<お墓>をどうするかが高齢者
自身とその家族にとどまらず、地域・自治体の重い課題になっています。

2018/9/22付日経では
「墓じまい」肯定6割 居住地近くに改葬など
と題して、時事通信社の最近の「墓じまい」に関する世論調査結果をもとに
お墓の継承や改葬についてレポートしていました。

継承者がいないお墓、遠方にあるお墓の管理の困難さから、お墓の移転・撤
去もやむを得ない。
その意識が広がっていることも已むをえないと考えます。

 

身元分かっても、親族いても「無縁仏」

遡りますが、2018/5/2付同紙で
親族いるのに無縁仏 核家族化・独居増が背景 自治体、お墓生前登録も
と題して、関連する問題の中から「無縁仏」について取り上げていました。

 自宅で孤独死し、身元が分かっているのに遺骨の引き取り手がなく「無縁仏」
として扱われるケースが増えている。
というもの。
親族とはいっても日常まったくといっていいほど繋がりがなければ、対応に困る
というのも分かります。
独居高齢者の増加で「無縁仏」も・・・。
そのため公費負担の増加が予想される自治体では、「墓の生前登録」など可能な
対策を検討し始めている・・・。

 その例になりますが、先行して、2018/4/17付中日新聞夕刊で
無縁仏防げ、墓の所在地を生前登録 横須賀市

と題して、神奈川県横須賀市の無縁仏対策をレポートしていました。
その取り組みを簡単に紹介すると・・・。

 同市は既に2015年、低所得者などを対象に葬儀や埋葬の契約を生前に交わす
「エンディングプラン・サポート事業」を開始しており、これまでに約300件
の相談を受けている。
加えて今年2015年5月に、全市民を対象に、自分の墓の所在地等を生前登録
する「わたしの終活登録」を開始。
本人の死後、市が病院や警察などに登録内容を開示し埋葬される。

という感じです。

 

お墓無用の「海洋散骨」人気とその後

墓じまいは、お墓のあり方の変化と同時に、葬儀のあり方の変化とも繋がり
ます。
当サイトでもこれまで、樹木葬、海洋散骨なども取り上げてきましたが、最
近注目されているのが、島根県沖合にある、国内唯一の「散骨島」として知
られる隠岐諸島の中の一つ「カズラ島」。

そのレポートが、2018/9/25付日経で
海に浮かぶ現代の墓標「墓はいらない」望みかなう隠岐の散骨島 「彼岸との距離」映す
と題して掲載されました。

※その内容は記事リンクから見て頂きたいと思います。

しかし、その散骨も、一時のピークは越して、人気に陰りがあるとのことです。
同日同紙で
「自然にかえる」近年頭打ち
として、NPO法人「葬送の自由をすすめる会」の散骨件数が、2007年度189件
をピークに、17年度は123件に減少し、一時1万人以上いた会員も6千人以下に。
一部の悪質業者によるトラブルの多発もあり、条例で散骨を規制する自治体も現
れたとあります。

 

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紹介した記事の内容は、それぞれのリンクからお読み頂ければと思います。

老老介護家族に必要なダブル終活

仏教徒ではないのに戒名を付けたり、仏式の葬儀を行ったり・・・。
それが日常における「しきたり」といえば「しきたり」ですが、ハロウィンが
保育所の年間行事の一つに加わったりなど、どうにも日本人のある意味節操の
なさは、不思議の国・日本が映し出す風景のひとつひとつになっています。

私自身の葬儀やお墓は要らない、とかみさんには伝えていますが、では骨は
どうするのか・・・。
仮にかみさんが先に逝ってしまったら、葬式なしで果たしていいか、お墓な
しでいいのか・・・。
現状、結論は出せていません。

自分の親のお墓は、故郷にありますが、ほとんど墓参に帰省することもないの
が現状です。
今、サ高住で暮らしている今月97歳になる義母が亡くなったら・・・。
葬儀はどうするか妻と話をして決めましたが、お墓・遺骨はどうするかは、未
定です。

老老介護を余儀なくされている団塊世代を初めとする各世代は、親と自分自身
の葬儀・お墓をどうするかなど、「ダブル終活」を行う必要があります。

場合によっては、逆縁で、子の方が親よりも先に逝ってしまう可能性も。
とすると、生きている親に、子どもが先に逝ってしまった場合、墓や葬式をどう
するかを伝えておく必要さえある・・・。

なんとも悩ましい時代ではあります。

 

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