進む高齢者雇用・就労事情と高齢者自身の課題を考える

1)生産労働力人口の減少による人材不足対策としての高齢者雇用延長・囲い込みと雇用促進
2)年金受給年齢の引き上げ政策化と受給年金の減額予想などの不安に備えるための就労希望事情

そんな両面の事情を背景として、長寿命化時代の高齢者の生き方が働き方と
一体となって課題となっています。

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このところの日経では
2018/9/29付記事で
働く高齢者4人に1人 8月、人手不足で採用増
と題して、総務省の8月の労働力調査結果から、65歳以上の就業者比率
が、872万人で、4人に1人と発表したことをレポート。
企業側が積極的に高齢者の採用に動く動向も記しています。

また2018/10/5付記事では
65歳以上雇用へ法改正 未来投資会議で検討、高齢者の活躍促す
と題して、政府の成長戦略政策の中に高齢者雇用を一層強く押し出すこと
を画策?しようとしていることが読み取れます。
まあそれ自体、現状の高齢者雇用安定法を一段階強めて、65歳定年を法制
化するもので、特別目新しいものではありませんが・・・。

ただその動きの背景には、年金受給年齢を70歳に引き上げたいという狙い
があることを忘れてはいけません。

その記事と連動することを意図したわけではないと思いますが
同日日経夕刊で、
定年「65歳」波及へ やる気どう維持 ボーナスや昇進、会社が知恵
と題して、65歳定年延長に向けての企業サイドの課題と対策事例をレポー
トしています。

その基調は、賃金や処遇に関する雇用側の課題に加えて、対象となるシニア
クラスの労働への意欲、モティベーションの問題を指摘しているのが特徴で
す。
働くことができる期間が長くなり、収入も得られることによる安心感・安堵
感ではなく、まだまだ働かなければならないことへの意識・意欲の低下が出
ることへの不安・・・。

なるほど、それは確かにありますね。

30年間、企業に拘束されずに自営でやってきた私ですが、正直なところ、
サラリーマン時代を含めると、それなりにハードにやってきたんだから、
もうそろそろゆっくりしたい・・・、もう働くのはいいじゃないか・・・。
そんな気持ちがあることは確かです。

まして長きに渡って宮仕えしてきた方々にとっては、それらから解放され
たいという思いがあって当然でしょう。

将来への不安もあるにはあるが、のんびりもしたい・・・。
よく分かります。

 

これからの生活への不安と働く意識=モティベーション対策と関連する
テーマとし、同日の日経夕刊に
在職年金見直しの動き
と題した意見記事が載りました。

そこでは、シニアの就業意欲を阻害する要因の一つとして「在職老齢年金」
を示しています。

賃金と年金受給額合計が一定水準(60~64歳で月28万円、65歳以上で月
46万円)を超えると、年金支給額が減る。
そのため、働いた分の収入がそのまま増えない“働き損”を避けるため、就
業を抑制するというのです。

似たようなことは、パートタイマー、非正規労働者の配偶者控除枠や、社
会保険料負担を避けるための収入抑制による就業時間抑制がありますね。
その対策として政府は「在職老齢年金制度の見直し」を方針としているこ
とは当然の流れです。

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以上紹介した4つの日経記事の詳細は、それぞれリンクした記事をお読み
頂ければと思います。

いずれにしても、超高齢化時代と社会は、一筋ならではいかない諸課題を
提起しています。

ただそれは高齢者だけの課題にとどまらず、現役世代・次世代の生き方・
働き方とつながっているわけで、シニア世代だけが良ければいい、という
ものではありません。

ここはひとつ、シニア世代も、そこをよくわきまえて、決してエゴに陥ら
ず、社会に甘えず、自立・自衛の心構えと備えを、と考えるべき、考えた
いと思います。

先に示された「在職老齢年金」の心配があるのは、大企業で働いた方々だ
けでしょう。
またすでに後期高齢期にある人は、今からどうこうできるものでもないの
は仕方ありません。
50歳代、60歳代の世代の課題として、自分の人生における働き方と生
き方を日常のなかに組み入れていきたい・・・。

そう考えます。

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ちょうど、先週、日経の<経済教室>欄で「高齢者雇用の現状と課題」と
いうテーマで、3回にわたって3人の学者が論じました。

それらを参考にして、再度考えてみたいと思います。

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