
「頼る人いない」高齢独居男性3割:国立社会保障・人口問題研究所『生活と支え合い調査』
国立社会保障・人口問題研究所:『生活と支え合いに関する調査』より
国立社会保障・人口問題研究所が、2017年7月に行った
『生活と支え合いに関する調査』。
この調査は、18歳以上の世帯構成者へのアンケート調査結果をまとめたものですが、
その中で、一部の質問項目について、60歳以上の世帯構成者に絞った回答結果のみ
同概要報告を引用しました。
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サンプル数は、世帯票の配布数(世帯票の調査 客体数)16,341票に対し、回収票数
10,959 票、有効票数は10,369票(回収率 67.1%、有効回収率 63.5%)。
また、対象世帯の 18 歳以上の個人に配布した個人票の配布数26,383 票に対して、
回収票数は22,800 票であった(回収率 86.4%)、有効票数は19,800 票
(回収率は 75.0%)。
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会話頻度「2週間に1回以下」、単独世帯男性高齢者15%
ふだんの会話頻度が、子どもがいない世帯において、「2週間に1回以下」となる
単独世帯の高齢者の割合が、男性では 15.0%、女性では 5.2%。
「日頃のちょっとした手助け」頼れる人いない単独世帯男性高齢者30.3%
「日頃のちょっとした手助け」として頼れる人が、
「いる」人が、男性54.2%、女性80.1%。
8割近くの個人が家族・親族、3割以上の個人が 友人・知人が「頼れる人」。
「頼れる人がいない」と答えた個人は 7.4%。
同じく世帯タイプ別では、65歳以上単独世帯高齢者の男性が 30.3%、女性が 9.1%
一般的に言われている、男性が地域で孤立しやすい傾向が、ここにも現れています。
一方、「人に頼らない」が男性15.5%、女性10.8%。
一応、別居している子ども家族がありますが、もし私が単身世帯となってしまったら、
こちらの組に入りたいと思っています。
この表で着目しておくべきことのひとつが、<単独非高齢者男性世帯>者も、手助け
してくれる人が「いない」比率が22.8%と高いことです。
高齢者予備軍といえるグループです。
そして、子どもがいない<夫婦のみ世帯>のうちの高齢者世帯も、その予備軍。
今から、それに備えて、地域社会や知人・友人そして家族のネットワークを作ってお
く必要があると注意を喚起されるグループですね。
「子ども以外に介護や看病で頼れる人」いない単身男性高齢者58.2%
「介護や看病で頼れる人」が「いない」男性58.2%、女性44.9%、の高い数値。
ちょっとした手助けの頼りになる人がいない・・・。
ということは、ダイレクトに、介護や看護で頼りにできるひとがいない状態に直結
します。
いわゆる危機管理ができていない男性が、58.2%、女性44.9%にも既に達している。
夫婦とも高齢者世帯の30.6%、片方が高齢者世帯の22.6%も介護・看護に頼りにで
きる人がいない。
この状況を考えると、介護政策の望ましいあり方が想像・想定できるはすです。
すなわち、在宅介護ニーズが今後急激に高まることと、現状の在宅介護主義の介護
政策が、極めて困難になるであろうことが簡単に想像できるのです。
2025年・2035年人口グラフから見る孤立化拡大予想と対策
前項で述べたリスクについて、人口グラフでイメージ化してみます。
まず、2015年のグラフを。
この年には、団塊の世代が、全員前期高齢者(老年)グループに入り終わっていました。
そして次ぎに2025年の人口グラフです。
この年には、彼らは、全員後期高齢者(老年)グループに入っています。
仮に前述した2017年調査時点での比率で収まったとしても、絶対数が急増しています
から、ちょっとした手助けも、介護・看護でも頼りにできる高齢者が、圧倒的に増えること
は簡単にイメージできます。
分かりきっているのですから、まず個人個人として、どう備えるか今から考え、可能な準
備をしておく必要があります。
一方、国や地方自治体の介護政策。
こうした大きなリスクを抱えた単身高齢者世帯、高齢単身者が増えれば増えるほど、在宅
介護・医療の非効率性、高コスト性が問題になります。
もちろんだからといって、入所型施設介護主義を簡単に推し進めることができるわけでは
ありません。
そこで、要介護・要支援高齢者の介護集合住宅への集約が、不可欠になるはずです。
適当な物件がないこと、建設コストがかかることなど、困難な理由を挙げることは簡単な
こと。
しかし、現状の住宅住居がいずれ空き家になること、すでに空き家化している物件の活用
法などを考えれば、地域・地区集合高齢者居住環境・施設を創り上げることの合理性は明ら
かです。
またそれらの住居や地域に、保育や学生向け住居、母子世帯・父子世帯住居機能も持たせる。
いわゆる箱物とはいっても、住居は、全世代に利用・転用可能ですから、ムダなモノには
なりません。
団塊の世代の生き残り組が、全員85歳上になっている、2035年のグラフも添えました。
いくら地域的・人的なつながりを持つことが得意な女性高齢者であっても、数百万人、
一千万人規模の要介護・要支援単身者を、在宅介護や老老介護でケアすることは困難でし
ょう。
それを支えるための介護職・介護人材を確保すること自体、当然困難ははずでもありま
すから。
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