
神戸モデル:注目される認知症事故救済制度・診断助成制度
2018/11/5付日経の
◆認知症と「神戸モデル」
と題した記事で、認知症高齢者の事故に対する賠償制度について、神戸市の
取り組みが紹介されていました。
まだ議会で可決されておらず、今月下旬からの定例市議会で審議される案件
です。
同市ホームページから、この「神戸モデル」とされる案件を調べてみました。
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「神戸モデル」とは?
神戸モデルは、もともとある同市の
「神戸市認知症の人にやさしいまちづくり条例等」 に、新たに以下の2つの
制度を加える案です。
1.新たな診断助成制度(案)(平成31年1月開始予定)
認知症に関する市民の悩みを気軽に相談できる窓口を開設し、早期受診が
できるよう、新たな2段階方式の診断助成制度を創設。
(1)認知機能検診(「認知症の疑い」の有無)
・地域の医療機関で、認知症の疑いが「ある」か「ない」かを診るための検診。
(2)認知機能精密検査(「認知症」の有無の確定)
・認知症の疑いが「ある」方が、専門の医療機関で受診する精密検査。
=認知症の有無と、病名の診断。
2.新たな事故救済制度(案)(平成31年4月開始予定)
<認知症と診断された方が対象>
(1)賠償責任保険に市が加入
・認知症と診断後、事前に登録した住民の保険料を市が負担。
・認知症と診断された住民(家族が監督責任を負った場合も含む)が、
事故で賠償責任を負った場合、最高2億円(予定)を支給。
(2)事故発生時には、24時間365日相談を受け付け
・専用のコールセンターを設置し、事故が起こった際、迅速に相談に応じる。
(3)所在が分からなくなったら、かけつけ
・非常時のかけつけ(捜索)サービスを含むGPS(衛星利用測位システム)
の導入費用を負担。(但し、月額利用料金は別途発生)
<全神戸市民が対象>
(4)認知症の人が起こした火災や傷害などの事故に遭われた方に、見舞金
を支給
<案>・外出中の事故などで死亡した場合最高3千万円(予定)
・入院した場合 最高10万円(予定)
・持ち物が壊れた場合 最高10万円(予定)
・火事の場合 最高40万円(予定) など
3.神戸モデルの費用と財源
神戸モデルの実現に必要な費用を、市民が薄く広く負担する仕組みを検討。
スタート予定の平成31年度から、市民税均等割(現行3,500円)に1人あた
り年間400円(案)を上乗せ。
※神戸市モデルに関する同市ホームページ公開情報は、こちらから
◆全国初! 認知症対策「神戸モデル」の実現に向けて
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なるほど・・・。
昨年11月に、神奈川県大和市が導入して、全国の自治体初と話題になった、
「はいかい高齢者個人賠償責任保険制度」では、保険料は一応市が負担する
方式でした。
どにより第三者に損 害を負わせてしまった際などに、保険で最大3億円を補
償するもので、被保険者の自己負担はない。

大和市では個人負担はなしとしてはいますが、その費用の出処は税収など。
神戸モデルの特徴は、その財源を「市民税」の均等割分に400円上乗せし
て徴収することで確保するというものです。
簡単に言えば、市民税増税です。
神戸市の人口は、約153万人。
うち高齢者人口は、約42万人で、認知症高齢者は、約6.3万人。
当然、高齢者の一部は市民税が非課税という方々もいるでしょうし、家族が
いない単身高齢者もいます。
しかし、認知症を原因として起きうる事故で、市民は加害者およびその家族、
被害者とその家族、どちらにもなりうるわけです。
年額400円の市民税の増額を負担と感じる住民もいるでしょうが、認知症
はだれもが抱えるリスク。
神戸モデルは、認知症の早期発展につながる診断助成も加えており、市民の
理解は得られるのでは・・・。
そう思いますし、思いたいですね。
可決成立すれば・・・。
加えて、長く持続可能で、改善も加えられていく制度・条例として、真のモ
デルとなるよう期待したいと思います。
もちろん、他の自治体にそれが広がるのも・・・。
しかし本来これは、国が先んじて取り組むべき政策なのですが・・・。
国の認知症対策の脆弱性・問題の一端については、同じ11/5付日経の
◆国の認知症対策、浸透せず 「知っている」5.8% 見守り活動や家族の交流支援 正しいケアへ課題
というレポートで読み取ることができます。
参考までに・・・。
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