
企業内保育所開設・拡充、育児奨励金支給。進む、社員雇用・定着・囲い込み対策
少子高齢化の進行と、伴っての労働人口の減少。
その対策としての女性社員の雇用増、離職者防止、確保・囲い込み。
そこで不可欠な、仕事と育児、仕事と介護の両立を可能にする各種人事制度の
整備・拡充。
男性社員も対象として、日本の社会経済における、一つの大きなうねりとなっ
ています。
育児・子育てを行う責任をもつ社員は、企業において、現有戦力として高い価
値を持ちます。
替わりになる社員を雇用し、育成するには大きなコスト増と不安・リスクを想
定しなければならない。
それが、経営者と企業の共通認識になっています。
過去の企業経営では、そうした不安を常に抱えて人事政策を考えなければなら
ないのは、離職率が高い、流通サービス業など一部の業種・職種に偏っていま
した。
そうした課題を抱える多くの企業・業種は、パート化・非正規化で対応し、そ
れが企業の業績に低賃金雇用による収益確保、というプラスをもたらした面が
あったのは事実です。
しかし、今日、そしてこれからは、そのパート・非正規社員の雇用・確保自体
が困難になり、地域限定社員制度や同一労働同一賃金制の導入・検討、正社員
化などが、当たり前になってきました。
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今回は、そうした状況・認識への対策の一つとして、企業が整備・拡充する社
員の子育て支援策の最近の事例をいくつか紹介します。
◆2018/1/23 付日経では、
2017年に「選べる勤務制度」を導入済みのヤフーが、本社が入居の東京ガー
デンテラス紀尾井に定員12人の企業内保育所を2018年7月開設したことを報じ
ました。
◆2018/1/27 付日経では、
外食大手のゼンショーホールディングスも企業内保育所を拡大していることを。
そして、
◆2018/3/6付中日新聞では、
和食レストラン運営のサガミチェーンが、出産後の育児休暇から復帰した女性社員
に、子ども一人につき最大で月1万5千円の育児奨励金を支給する制度を導入すること
を紹介しました。
それぞれのレポートの詳細は、リンクしました記事で確認頂ければと思います。
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企業と個人との関係。
仕事と保育、仕事と介護、それぞれの両立という課題があります。
場合によっては、仕事と保育と介護という多立の課題、ダブルケアを抱える人も
います。
しかし、保育も介護にも無縁の人たちもいます。
そうした人たちとともに組織のメンバーである、両立・多立課題を抱える人たち。
もっと視点を変えると、<働き方改革>という課題の中の一つ一つということで
もあります。
それらは、政治・行政から企業に課せられた課題のように見えます。
しかし、本来は、働く個人が、仕事・職場・企業と個人の事情とをどう折り合い
をつけていくのかという課題を持っていることを認識しておくべきと思います。
働き方の前提として、<生き方>という課題があるのです。
<生き方実践>という課題です。
雇用・労働市場における、買い手・売り手事情の変化に左右されない、個として
の生き方、スキルと意欲・目標の持ち方。
今回取り上げた人事制度・政策の望ましい進化・展開を知るたびに、思うこと、
です。
当然、政治、社会システム、社会保障制度、行政の在り方を関連させて考えるべ
きことは、いうまでもありません。
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