仕事、収入、低生活コスト、子育て環境、人口増:地域と子宝企業が作る好循環

【日経ビジネス:15/03/09号・特集<日本を救う子宝企業>】から

社員の子供の数に関心がある企業が少ない!

企業子宝率という指標を用いて1122社を調査した結果は?
まず、基本項目として

1.社員の子供の数を把握している企業は、25.8%どまり
残りの74.2%は、把握していない。
2.育児休暇の取得率は
女性が96.4% で 男性が5.9%
3.社員の平均勤続年数が
女性が13.4年 で 男性が16.8年
4.女性管理職比率が 6.4% (政府目標30%)

という実態。
1.が意外な結果です。
万一会社としては把握していなくても、それぞれの組織のマネジャーは
自分の組織メンバーの個々人が、何歳くらいの子供が男女、何人いるかくらいは
知っておきたいですが・・・。
会社が関心を持っていないようならば、そうした風土もできないでしょうか・・・。

さて肝心の子宝率ですが
大手企業ほど、低い! というデータ。

一般的に最近の人事人材制度関係でのニュースでは
大企業が、出産・育児・介護などの支援制度を強めており
実際の利用実績も次第に高くなっている・・・。
だから、子宝率は高いはず・・・。

また当然
大企業ほど賃金が高く、子供を産み、育てる意欲が高いかと・・・。

というのは、短絡的・・・。

実際は、都市部に多い大企業で働く場合
収入が高くても、住宅コスト・生活コストが高く、
保活と言われるよう、入れる保育所・保育園・幼稚園を探すことも難しくて
待機児童問題がなかなか改善されない状況・・・。

 

従業員規模別調査による企業子宝率の結果

◆10~29人(542社)    1.39人
◆30~49人(211社)    1.34人
◆50~99人(164社)    1.30人
◆100人~499人(169社) 1.22人
◆500人以上(36社)     1.22人

と、企業規模が大きいいほど子宝率が低い結果がでました。

500人以上の規模をすべて大企業グループとして集計するのがいいか
多少疑問を感じますが
人事制度が子宝率に結びついているかどうかは、わからないですね。

推察するに
大企業ほど、結婚しない社員、単身社員が多いのではないか・・・。
その結果、全体での子宝率が低くなる・・・。

そう考えると
この調査では、何%の社員が結婚しているかの、婚姻率をまず調べ
既婚者における子宝率、全社員における子宝率、
2つの指標を用いるべきではないかと思います。

もしそこで
仮に未婚者、単身者比率が高い企業が
結婚できない非婚姻率の高い企業、企業婚姻率の低い企業という
ありがたくない?評価を受けることになると拙いですね・・・。

企業規模以外の要素・条件が、子宝率を高める!

出産・育児のためにはできるだけ大きな企業に勤めれば
支援制度もあって有利・・・。

しかし
その大企業がもし都市部にあれば
家賃・物価等の生活コストが地方よりもかかり、保活も困難。
子供を少しでも見てもらいたい親は遠くに住んでいる・・・。
通勤時間がかかるほど、家族が一緒に過ごす時間が削られる・・・。

仮に出産・育児・介護支援制度があっても
それらのデメリットを十分カバーするものにはならず、逆にストレスが増える・・・。

そこで
地方創世と人口減少対策、少子高齢化対策を強く結びつける政策が
必要になります。

人口減少による地方消滅が問題であるからこそ
企業子宝率に着目し、地方自治体が企業誘致や企業の優遇措置、
社員の就労促進、生活環境の整備等を総合的に考え、企業と一体となって進める・・・。

ただ
これまでも、地方への企業誘致はどの自治体も過去、取り組んできたはずです。
しかし、地方の衰退を止めることができなかった。

大都市圏の企業の地方移転に対する法人税等の優遇措置も
アベノミクスの地方再生政策に組み込まれていますが
まだまだ利用モデルは増えていません。

特区・特区の掛け声も、聴き始めてかなりの時間が経過し、
成功モデルが生まれる保証はありません。

 


地方の優位性を発見・再確認し、開業率向上で仕事と暮らしの環境作りを!

こうした本質的な受け身の対応ではなく
地域の人々が、自ら仕事を作り、働く人が集まってくるようにするか
低いコストで、楽しく、安全に暮らすことができる環境・条件を用意し
働く基盤をそこに移しても、仕事をし、収入を得ること、
あるいは一層収益を上げることが可能にすること、
加えて、理想として、その基盤から新しい雇用を生み出すことに繋がることを・・・。

ある意味、家族的な、社員が助けあっていける企業こそが子宝率を高めていく。

大企業一発狙いよりも
そうした、地方特性・地方の優位性を素材として活かした地方発のプロジェクトを
期待したいものです。

沖縄県が出生率が高いことは知られていますが
その要因・背景として、開業率が高いことがあることも指摘されています。
そこにヒントがあると思います。

次回は
大企業と自治体が一体化した取り組みによる成功事例を
同記事から紹介します。
この事例のように理想的に運ぶには、一朝一夕には行きませんが
考え方・政策化の参考に十分なると思います。

 

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