同性パートナー証明、LGBT登録で得られるメリットは配偶者と同様の権利、の意味

ダイバーシティと性的マイノリティという人権上の課題としての「LGBT」と
「同性婚」について、数回取り上げていきます。

前回は、一昨年話題になった、渋谷区等自治体が同性パートナーを証明する
条例について
同性カップル証明の「同性パートナーシップ証明書」自治体発行の目的・理念
で紹介しました。

今回は、まず、そうした同性パートナーシップの証明・登録で受けることが
できるメリットや、LGBTの人権を守るための企業の政策・制度の拡充につ
いて、2015年11月に日経で掲載された2つの記事を予約して紹介します。

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初めは、11月6日に掲載された
「第一・日生、同性パートナーの保険金受け取り可能に」という記事

◆第一生命保険と日本生命が、渋谷区が発行する「パートナーシップ証明書
を提出すれば、同性のパートナーを保険金の受取人に指定できるよう
にする、
というもの。

もうひとつは、11月28日付の
性的少数者「LGBT」、日本IBMが登録制度 福利厚生受けやすく」
という記事。

◆同社が、LGBTのパートナーを配偶者と同等に定義し、弔慰金や介護休暇
などを適用できる
うにした、
というものです。


 

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現状、渋谷区など行政レベルで、同性パートナーに対する配偶者控除などの税制上のメ
リットを付与するにまで至っていない「同性婚」「同性パートナーシップ証明」。

となると、結局、民間企業がどのような制度を設けるかが注目されることになります。

生保の例も、IBMの例も、ずばり、配偶者と同様に制度や契約を適用できるようになる
ことを示しています。

日本IBMの方は、当然外資系企業で、欧米の親会社・子会社が既に同様の制度・規定を
導入しているでしょうから、それに倣ってのものと考えられるでしょう。
ただ、その登録情報は、上司には開示しない、とありますが、介護休暇や慶弔休暇など
を活用するときには、当然上司は知ることになります。

とすると、個人の方で、こうした制度を利用すくしておくためにも、カミングアウトを
して、職場にあらかじめ理解を求める、という動きも出てくるかもしれません。

生保の場合は、保険契約上のバリエーションが増えるわけで、営業的には新規加入にも
つながり、プラスになるのではないかと思われます。

人権上、こうした制度が拡充していくことは望ましいですが、若干懸念することがあり
ます。
それは、性悪説に拠るものと批判を浴びるかもしれませんが、この制度を悪用する例が
いずれ出てくるのでは、ということです。
愛情がなくても、利害が一致する2人の同性が、パートナーシップ証明書を取得し、あ
るいは、登録し、その受益権を行使する。
例えば、ルームシェアをしている二人の男性、あるいは二人の女性。
シェアハウスで暮らすことになった二人。

 

私が、同性婚に対して、若干の違和感を感じるのは、従来の男女婚の概念を、カップル
という社会単位を同性間にも認めることで、メリットの享受・利用のみを目的とした手
続き・形式婚が際限もなく広がっていく可能性があるためです。

要するに、こうした人権擁護の議論の根幹で、結婚とはなにかという定義・基準をあい
まいなままにしているのです。
言うならば、「擬態化」が可能な同性婚制度、同性パートナー制度という側面です。

そして、それが、男女夫婦の離婚と同様に、その関係でも認められる。
万一法律上で、同性婚が制定されれば、結婚手続き同様、離婚手続きと件数は膨大なも
のとなるでしょう。
それにまつわる法律上の係争も同様です。

マイノリティー問題が、同性婚の形式婚要素を認め、制度化されると、決してマイノリ
ティの問題ではなく、日常的な、一般的な問題になる。
自由な生き方のすべてが、法で保護される必要があるようになれば、当然、いずれ管理
国家・管理社会に逆戻りする可能性が強くなる・・・。
そんなことも、ふと考えたりもするのです・・・。

人権。
簡単な問題が、複雑化する・・・。
ダイバーシティが認められる社会とは、マイノリティも尊重され共存・共生が可能な
社会のはず。
マイノリティがなくなる社会では決してないはず。
マイノリティをマジョリティまで変化させると、残ったマイノリティの人権が、一層
侵害・抑圧される・・・。
こんなバカみたいなことも発想してしまうのです。

 

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