
国民年金2016年度、実質納付率は40.5%:年金制度改革のための調査・分析に!
2017/7/1付日経の
「国民年金納付65% 昨年度、実質は40.5%」
と題した記事で、
自営業者らが入る国民年金に関し、被保険者が納めるべき保険料のうち実際に
払われた割合を示す納付率が2016年度は65.0%と発表したことを報じています。
これは、6月30日に、厚生労働省が発表した
「平成 28 年度の国民年金の加入・保険料納付状況について」
からの抜粋レポートです。
その公開資料から、いくつかのデータを抽出して考えてみました。
まず、国民年金保険の加入者数の推移です。
2016年度末の加入者数は前年比93万人減少の、1575万人
その加入者の年齢別構成比が以下。
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次に保険料の納付率に関する表・グラフです。
前年度から1.7ポイント上昇し、5年連続で改善。
低所得などで保険料を免除・猶予される人は算出から除かれており、
実質的な納付率は40.5%にとどまる。
免除・猶予の状況は、以下のようになっています。
ということから、国民皆保険制度とはいうものの、実態としては「皆」ではない
保険制度になっているわけです。
そして、企業等に雇用されて加入する厚生年金保険加入者の数と構成比が少しづ
つ高まっていく。
それはそれで望ましいことですが、一方、自営業者の年金制度の改革はなにもな
されないまま、年数が経過していくわけです。
私の考えるところは、自営業者(農業自営者含む)が加入する国民年金も厚生年
金保険と同様の構造とし、基礎年金保険料に厚生年金レベルの保険料も加算して納
付・徴収する方式に改革すべきというものです。
企業負担分をどうするかは何らかの方法を考えるとして、現状の厚生年金保険料
の算出基準と同レベルで、所得に応じて保険料を設定・納付するのです。
そのことで、将来受け取る年金額を、厚生年金と同レベルに、引き上げていく。
年金改革の重要課題とすべきと考えるのです。
なお、この発表では、都道府県別の納付率も以下のように示しています。
島根県が79.6%と最も高く、沖縄県の47.8%が最低。
東京都と大阪府の低さも際立っています。
非正規労働者、学生が多いことを原因としていることは推測できます。
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年金被保険者の分類は、以下のとおりです。
1)第1号被保険者:20歳以上60歳未満の自営業者・農業者とその家族、学生、無職の
人など、第2号被保険者、第3号被保険者でない者
2)第2号被保険者:民間会社員や公務員など厚生年金の加入者(同時に国民年金加入者)
3)第3号被保険者:厚生年金に加入している第2号被保険者に扶養されている20歳
以上60歳未満の配偶者(年収が一定額未満の人)
第1号被保険者に、60歳以上も加えるべき。
そして第3号被保険者の適用基準を厳しくし、年金保険料負担者を広げるべき。
厚生年金保険未加入事業者の撲滅
厚生年金保険料の未納付事業者の摘発と完全徴収・・・。
国民年金保険納付猶予者の扱いも含め、年金制度改革の課題は、山積しているのです。
今回の発表も無駄ではないですが、根本的に年金制度をどのように変革していくのか、
というビジョンがあっての調査と活用であるべきなのです。
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