
離婚家庭に育った子どもの成人後の親子関係は?:親はなくても子は育つか?
たまたま番組の予告で関心を持ったので、7月1日(土)のNHKTVのEテレで、
【SWITCHインタビュー 達人達】という番組で「渡辺直美(29歳)」と
「ムロツヨシ(41歳)」のインタビューを見ました。
二人共、両親が離婚し、事情を抱えて子どもの成長過程を経験。
両親の夫婦関係と家庭・家族の崩壊、親との別れ・・・。
そのプロセスにおける子どもとしての自我形成、成長、親との関係、育ての
親との関係など、現状の役者・タレント生活からは想像できないような経験
や動機・転機などの話と、さまざまな考え方・心情的なものなどを聞くこと
ができました。
その番組の語りからではないですが、Wiki に二人共経歴などが載っていま
すので、関心がおありでしたら、上のリンクから見てください。
-------------------------
ムロツヨシは自ら、喜劇役者と名乗っています。
渡辺直美も、笑いをとる芸人というか、タレント。
どちらも、人を笑わせること、人の笑いが、世の中、社会を明るくする、と
考えるようになったことで、現在がある・・・。
どちらも幼少期の両親の離婚で、渡辺直美は、台湾人の母親との生活、
ムロツヨシは、祖父母家庭に育った。
こうした環境では、性格は暗くなりがち、と一般的には考えられますが、職
業としては明るく振る舞う、笑わせるキャラクターを演じるように。
逆行動なのです。
それも分からぬではない・・・。
私は、両親が離婚した環境下で育った人は、何かしらの強さを持っていると
考えています。
どちらかの親、または両方の親が、自身の子の養育義務・責任を忌避した。
あるいは、忌避せざるを得なかった。
恵まれない家庭における親子関係の在り方も、みなそれぞれ異なります。
マイナス面があれば、プラス面もある。
強い愛情ときずなで結ばれる場合もあれば、恨みや忍耐を根源として生き続
けることになることもある・・・。
冒頭の二人の場合は、どちらも、自分と自分を取り巻く人を含む環境に対し
て、どう対するか、対応するかの意識を、一般的な同年齢の子どもたちに比
べて、強くかつはっきりと持っていたと言えるかと思います。
要は、こうした時期に、どれだけ自分なりに一生懸命考えるか、あるいは、
あまり考えることなく、衝動や思うままに行動し、生きてきたか・・・。
その有無や程度の違いが、成人後の行動に映し出されるのでは・・・。
その要素・要因の一つとして、その成長期において同じ環境にあった親と子
のコミュニケーション、リレーションの在り方が、大きく影響していること
も想像できます。
親はなくとも子は育つか?
物質的、経済的な基礎条件が整えば、生命・生活面での成長は可能でしょうが、
親の役割を担ってくれる存在がなければ、親子関係を経験して、性格・人格を
形成していくプロセスを持たない人生となります。
そうした体験を経た人が想像し、想定する親子関係は、どういうものになるで
しょうか。
そもそも、望ましいイメージを抱くことができるでしょうか。
人の精神構造のプラス面を考えると、厳しい経験をした人ほど、望み、求める
良好な親子関係を形成していって欲しいと思うのですが・・・。
しかし、現実的には、恵まれない家庭に育つ子どもは、教育機会や生活レベル
での格差を受け、仕事や収入を得る機会、結婚の機会などの面でも、後ろ向き
の、あるいは停滞した道を辿ることになりがち・・・。
恵まれなかったことをバネにして、自ら主体的に行動を起こすことができるか、
それとも、格差と恵まれなかったプロセスを理由に、社会との望ましい関係を
断つことになるか。
いずれにしても、それぞれが個性として形成され、なにかしらの社会的存在と
して、自分流に、赤ん坊から最期間近の高齢者までを、情感をもって見、必要
に応じて最小限の関係を持つことができるように・・・。
そう思い、そう願いたいと思います。
そう、それが、「親」としての眼、「親」としての情感・愛情なのです。
それ故に、恵まれない親子関係しか経験できなかった人も、実際に親となり、
立場を変えて親子関係、家族関係を、一度の人生だけに、形成し、実践して欲
しい。
そう思うのです。
------------------------------------
-----------------------------------
水無田気流氏著
☆☆☆『シングルマザーの貧困』(2014年11月20日刊・光文社新書・¥886)
※カスタマーレビューページ
小林美希氏著
☆☆☆『ルポ 母子家庭』(2015年5月10日刊・ちくま新書・¥866)
※カスタマーレビューページ