未婚の母、母子世帯の母が安心して働き、子育てができる社会政策を

少し前ですが、先月下旬2017/8/22付日経で、以下の記事で、未婚のひとり親世帯
の支援政策について報じていました。

◆「未婚の親も保育料軽減 厚労省、3000人対象」

厚生労働省が、未婚でもひとり親の家庭を対象に、子どもを保育所に預ける際の
保育料の負担を軽くする制度の整備を検討する、という内容。

母子世帯の平均就労収入は、死別世帯で年平均256万円、離婚世帯は176万円、
非婚世帯が160万円。

これでは、その困窮度が非常に厳しいものであることが分かります。

詳細は、リンク記事で確認して頂ければと思います。

 

----------------------------------

未婚の親とその子どもへの社会福祉制度の立ち遅れ。

フランスが、差別なく、結婚の有無に関係なく、親と子の福利厚生を保障する政
策を国家レベルで取っていることとの、大きな違いがこれまでも、現状も指摘さ
れています。

税制の違い。
そう言ってしまえば、議論をしなくてもいいかのような国・厚労省の変わらぬ態
度です。
それが、少子化の要因の一つになっているという自覚がまったくありません。
結婚に対する社会の見方が変わらなければ・・・。
そういう理屈なのかもしれませんが、母子世帯・父子世帯が厳然とあるのですか
ら、子ども自身の生きる権利には、結婚も未婚も関係ないはず。
どちらにしても、両親もしくは片親がいない子は、社会的に守られるべき、社会・
国・行政が守るべきです。

そのほんの一部の支援策を広げた。
今後、より強化すべきことは間違いありません。

ところで実際に片親家庭がどれだけあり、どういう環境か、厚労省の資料で、基
本的な項目だけ、拾ってみました。

少々、というか、かなりというか、以前の年次のデータであることは、毎度のこ
とです。

 

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
まず、ひとり親世帯数です。

 

ひとり親世帯が増えてきていることが示されています。
特に、母子世帯の増加が目立ちます。
これは、以下のグラフにあるように、離婚件数の増加が大きな原因で、多くが母親が
子どもを引き取り、養育していることを示しています。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

次は、ひとり親世帯になった理由。

未婚のままで、親子世帯が形成されている率は、母子家庭のうち7.8%で、夫と死別
して母子家庭となった比率とほぼ同じなのが特徴的です。

未婚世帯が増えることを良しとするわけではなく、父親が分かっていれば、出産後
結婚しても良いでしょう。

せずに、両親が別姓で、責任をもって共同・協力してこどもを養育するのも選択肢
としてもよい。
ひとり親で養育するのも選択肢。

どちらであっても、国・行政が、その養育を支援すべき。

以下のような厳しい現状をどう改善するか。

 

少子化の一端は、子どもをもった時の生活不安の大きさ。
仕事、住まい、養育・教育など多方面の不安を総合的に解決・改善する政策が
不可欠です。
今回の改善政策は、本当にそういう意味では、表現は悪いですが、蟻の一穴に
なるかどうか、というところ。
この程度のことで、いい仕事をしているつもりにはならないで欲しいもの。

いつの間にか、耳にしなくなった女性総活躍社会の基盤は、未婚の母、母子世
帯の母が将来に不安なく、働き、子どもを育て、生活していくことができる社
会と制度を作り上げることにあります。

--------------------------------





------------------------------------

中野円佳氏著

☆☆☆☆『「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか?』(2014年9月20日・光文社新書:¥951)

カスタマーレビューページ

 

奥田祥子氏著

☆☆☆『男性漂流 男たちは何におびえているか (講談社+α新書)』(2015年1月20日刊・講談社+α新書・¥950)

カスタマーレビューページ

☆☆☆『男という名の絶望 病としての夫・父・息子』(2016年3月30日刊・幻冬舎新書・¥864)

カスタマーレビューページ

☆☆☆『「女性活躍」に翻弄される人びと』(2018年3月20日刊・光文社新書・¥886)

カスタマーレビューページ

水無田気流氏著

☆☆☆『シングルマザーの貧困』(2014年11月20日刊・光文社新書・¥886)

カスタマーレビューページ

☆☆☆☆『「居場所」のない男、「時間」がない女』(2015年6月1日刊・日本経済新聞出版社・¥1、404)

カスタマーレビューページ

小林美希氏著

☆☆☆『ルポ 母子家庭』(2015年5月10日刊・ちくま新書・¥866)

カスタマーレビューページ

鈴木大介氏著

☆☆☆『最貧困女子』(2014年9月30日刊・幻冬舎新書・¥842)

カスタマーレビューページ

濱口桂一郎氏著

☆☆☆☆『働く女子の運命』(2015年12月20日刊・文春新書・¥842)

カスタマーレビューページ

 

関連記事一覧