ソロ社会。やむを得ずソロ化する人、選択してソロ化する人

超ソロ社会 「独身大国・日本」の衝撃』(荒川和久氏著・2017/1/17刊)
を参考に、非婚・未婚・単身人生と結婚をちょっと考えてみました。

「ソロ社会」。
「ソロ」は幾度も耳にしていますが、「ソロ社会」とは耳慣れない・・・。
副題が「独身大国」とくれば、ああそういうことかと合点がいきます。
筆者の「独身、ソロがなぜ悪い!?」という半ば開き直り的な問題提起書のよ
うにも受け止めることができた書。
興味深い内容です。

 

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本書の序、<はじめに>の一部から、まず少し考えてみました。

多くの人々のマインドの中に、高度経済成長期や昭和の古き良き家族や結婚とい
う従来型コミュニティへの郷愁が根強く残って
いる。」

 その多くの人々とは、今どこにどのようにして存在するのか・・・。
 自立した「個」「個人」ならば、そうした情緒的なマインドには何も左右されな
のではないか・・・。

一生同じ会社に止まるという働き方から、自由に転職し、キャリアアップする
という考え方が増えてきた。」

増えてきたから同様に生きる、というのは「個」としての強さがなかったが、時
代背景でそうなった、と社会の変化のためとすること。
それ自体、古き良き時代の大
衆的・固定的な価値観に追随することと違いがない
ことを示しているのではないか、と思ってしまいます。
昔から、自由に転職し、キャリアアップを図ったり、独立した人は存在したはず。

「大規模な設備や資金を持たずとも事業をスタートすることができる」のは、昔も
今もそう変わるわけではないはず。
心の持ちよう、意志・意欲の有無の問題です。


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「ソロ」「個」がマイナー、マイノリティではない、ではなくなる、ことを理由に、
その生き方を考えよう、というのでは、結婚するのが当たり前だったことから物事
の是非、白黒が決まっていたと過去を定義づけるのと、本質的には同じ行為を繰り
返すことになる・・・。

過去がどうだったから、という比較論からでなく、そのしがらみを理由にして、被
害者的にソロ、個を捉えるのではない視点・方法から、非婚・未婚を論じて欲しい。

この書の類の議論を見るたびに、そう感じるのです。

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「未婚化は若者の責任ではないし、少子化は家族の責任ではない。未婚者が増え
るのには、一括りにはできないさまざまな要因があるし、無子の夫婦にもそれぞ
れの理由や事情がある。個人の生き方の多様性を認めようと言いながら、未婚や
無子という選択を認めようとしない人たちが大勢いる。」

「人は安定した集団活動の維持のために協力し合うが、その維持に反する異分子
に対しては徹底的な攻撃性を発揮する。」

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これが、「第1章 増えるソロで生きる人たち」の冒頭の記述の一部です。

さまざまな要因。
確かに、なんでも類型化し、型にはめて結論付ける傾向が人にはあります。
それゆえに、未婚や無子という選択を認めない人たちが大勢いる、とこれも類型化
して問題を開始しようというのも、ある意味、矛盾を感じなくもありません。

攻撃性を発揮する、などというのも、随分大袈裟な、と思わなくもありません。
仮にこういう輩がいるとすれば、
「あんたの生き方は、人様を批判・避難できるほど立派な、生き方、結婚・家
族生活なんですかな?」
そう、問いかければいいのでは、と常に思っています。

 

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本書に注目したのは、ソロで生きることを自らの意志で選択した人は、万一他から
の批判・非難があろうとも、それを無視するか、その相手に対し、その非を論駁す
るだけの強さをも持って、自信をもって生きて欲しい・・・、
そういつも思っているからです。

そしてまた、そのことを批判・非難する権利はだれにもなく、その批判・非難の
原点・原動力となっているかもしれない精神は、自身の生き方のほうに向け、客
観的にも、主観的にも納得がいくものとすることに向けるべき。
そう考えるからです。

もちろんそれは、私、自分自身に対して突きつける課題でもあります。

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筆者は、この書をモノするにおいて、怒りをベースとしているのでは・・・。
そんなことを感じるのです。

原因を解決する方向ではなく、犯人捜しや責任追及の方向に向かってしまって
いる。誰かのせいにしないと気が済まない社会になっ
ている。」
という断定。
 気が済まない社会、とはいったいだれで、どこの、どんな人間で構成する社
なのか、どういう状態なのか・・・。
至極、感情的・煽動的と感じます。

「もっとも認識が甘いのが、だれもがいずれソロ生活者となる可能性があること、
それを忘れている」
関連して起きるソロ社会化についてあまりに無関心すぎる」

確かにその可能性を持つソロ社会化は、ほとんどすべての世代・年代的に拡大し、
考えるべき課
題も拡大します。
重要な社会的問題です。

高齢夫婦世帯は、いずれ、あるいは早晩どちらか一人の生活になることを考え、
想う日々を送るでしょうし、多くの人が現実に直面している・・・。

しかし、そうした人々と、自らの意志・選択でソロ生活を送る人とは、人生のプ
ロセスが違います。

自ら非婚・未婚を選んでいる人は、自身のこととして、現実的な視点で考えてい
るでしょうし、また考えるべきではないでしょうか。
社会が、世間がどう見ようとも、どう考えようとも、そして言われなくても・・・。

 

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一方、自分の意思・希望と反する形で、ソロ生活を送る人々はどうすればよいか。
本書は、そういう人々にエール、指針を贈る書になれば、と期待するのであります。

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【『超ソロ社会 「独身大国・日本」の衝撃』構成】

はじめに
第1章 増えるソロで生きる人たち 
第2章 ソロで生きる人々を許さない社会
第3章 男たちは嫌婚になったのか
第4章 結婚してもソロに戻る人たち
第5章 ソロたちの消費
第6章 ソロ社会の未来
おわりに 

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こういう構成の
超ソロ社会 「独身大国・日本」の衝撃』。

ご自分の人生と、少しでも重ね合わせる形、あるいは比較する形でお読み頂ければ
と思います。

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