
続く介護業界再編:学研GH、ソラストによる介護事業の総合化と地域包括ケア体制作り
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介護業界、拡大する市場と拡大する経営リスクの背景
超高齢化社会の進行で、成長産業とされている介護業界。
しかし、介護現場の人手不足解消は先行きが見通せず、外国人技能実
習制度の拡大による外国人介護士の増員に頼らざるをえない状況も、
ひとつの焦りであるかのようです。
そうした中、一方で急膨張する介護給付費の抑制対策も間違いなく進
められると見込まれるため、介護業界での生き残りが、経営上の大き
く不安な課題として継続・拡大することも確実です。
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続く業界再編成における総合化・多角化・規模拡大目的の企業買収
そうした中、今年も介護大手による企業買収・資本提携の動きが活発
です。
1.学研ホールディングスによるMCS買収目的
先月2018年9月4日には、大手学研ホールディングスが、日本政策投資
銀行と共同で、同じく介護大手のメディカル・ケア・サービス(MCS)
の全株式を買収すると発表。
その詳細は、こちらの同社のプレスリリースで確認できます。
⇒ 共同投資によるメディカル・ケア・サービス株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
資本に関する契約内容は、同リンクのPDFで見て頂くとして、その中で
サ高住事業を展開する学研に対して、MCSは、認知症介護事業を展開し、
居室数第1位のグループホームを保有。
両社を統合・連係化し、
1)サ高住にて認知症が重度化したときの退去時受け入れ先の確保、入
居率の向上
2)エリアの共通性を基軸とした施設開発展開力の向上
等を図り、「学研版地域包括ケアシステム」の整備・確立に向けて、相
乗効果を高めることをうたっています。
また
3)採用活動の協働化による人材確保上のメリットと定着率の向上
も期待できるとしています。
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2.介護大手ソラスト(旧日本医療事務センター)によるJAWA買収目的
ほぼ1ヶ月後、2018年10月1日には、介護大手ソラスト(旧日本医療事務
センター)が、やはり認知症介護のグループホームを主力として運営する
JAWAを買収すると発表しました。
その詳細は、こちらの同社プレスリリースで見て頂けます。
⇒ 株式会社ソラスト、株式会社 JAWAの全株式を取得
その一部を紹介すると
ソラストは、「自立支援と地域トータルケア」を理念に、在宅系サービス・
入居系サービスを(比較的)多様に、全国で 357事業所を運営。
一方、AWAは、認知症施設・グループホームや介護付有料老人ホームなど
を運営。
この買収で、事業展開エリアを広げ、手薄だった地域にも新たなサービス
を加えることが可能に。
なお、ソラストは、
1 つの介護行政区(市・群・東京 23 区)を 1 エリアと定義し、2030 年ま
でに介護サービスを行うエリアを現状の 3倍以上の300エリアに拡大。
全エリアで訪問介護、通所介護、居宅介護支援、グループホーム、有料老
人ホーム他の施設を各1事業所以上運営する「地域トータルケア」を目指し
ている。
とあります。

介護スタッフの処遇・労働環境の向上につながる業界再編に!
介護大手各社の狙いは、それぞれ展開する地域・自治体地区で、「地域
包括支援センター」機能を自ら持つことができるようにし、まさに総合
的・包括的な介護事業を、可能ならば医療事業までカバーすることにあ
ります。
当然そこでは、グループ専属のケアマネジャーを確保します。
そうなると、家族的経営を特徴とする小規模介護事業者は、いかに地域
密着を掲げても、単品介護サービスを隙間的に提供するにとどまり、先
行きの経営の安定性・成長性に不安を抱えたまま。
現状の介護保険制度、介護報酬・給付制度自体の持続性は保証されてい
ませんから、やはり大手主導の総合化・規模拡大に向けての介護業界の
再編の流れは止められないように思います。
それが、介護スタッフの賃金の向上、労働環境の改善・向上に結び付き、
介護サービスの質の向上も当然もたらすとすれば、やむを得ないこと、
むしろ歓迎すべきこととみるべき。
そう考えています。
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