
年収340万円以上単身者、463万円以上夫婦世帯の介護保険サービス利用者自己負担3割に
今月、2018年8月1日から、医療保険と共に介護保険の利用負担の制度が一部
改定されました。
今回は、介護保険の改定内容について考えてみます。
これまで、介護保険サービスの利用者の自己負担和割合は、年金・給与その他の年間
収入の額に応じて
◆単身者は280万円未満、夫婦世帯は346万円未満の場合は、1割負担
◆同じく、280万円以上、同346万円以上の場合は、2割負担
でした。
これが、この2つの負担方式に、新たに
◆単身者340万円以上、夫婦世帯463万円以上の場合、3割負担
という基準が加えられました。
現在、サ高住で暮らす、96歳の義母は、年金収入だけで、単身者年収280万円未満
なので、先月交付された「介護保険負担割合証」では、引き続き、自己負担が1割です。
私は、前期高齢者ですが、医療費ともども、今後、高齢者の自己負担率が上がっていく
のは、ある程度はやむを得ないと考えるひとりです。
自分が支払った医療費にしても、義母が払っている介護保険サービス料にしても、実際
にかかっている金額と比べてみると、こんなに安くて済むのはありがたいこと、と都度
思います。
受益者負担。
もちろん際限なく求められても困りますが、ある程度までは、やむを得ない。
そう思います。
医療や介護分野における財政負担の驚異的増加が、現役世代の負担を増やすばかりでな
く、これからの生活への不安を大きくすることは間違いないところ。
先行世代が、そのツケを次世代に残して、比較的恵まれた老後を送ることを良しとする
ことは、できることなら避けるべき、軽減すべき。
そう思います。
よく、この自己負担増による財政への寄与度は、全体を考えればさしたる効果はないか
のような論調を見ることが多々あります。
しかし、そんなことを言っていると、行政改革や他の財政改革の一つ一つ、すべてにそ
の論理が適用され、すべての改善・改革を否定することに繋がります。
これまで自己負担1割の対象者が約9割を占め、財務省は原則2割負担への引き上げを
目論む。
しかし、利用者の反発を考えると困難で、「現役世代並み所得のある人」を基準とした
3割負担に持ち込んだとされる。
3割負担となる要介護者は12万人程度、利用者全体の約3%にすぎないとみられ、今回
の改定では、財政に対する効果が限定的とも。
「厳しい保険財政に配慮する一方で、政治的に批判を受けにくい「取りやすいところか
ら取る」という安直な面も否めない。」
との指摘もありますが、<所得の再分配>の論理は、政治体制の如何にかかわらず、共
通の課題・方式になることは明らかでしょう。
政府の推計では、介護費用は、40年度には今の2.4倍となる約26兆円に。
GDP比は、1.9%から3.3%に。
給付と負担を大幅に見直す改革が必須であるのは明白です。
超高齢化社会がもたらす財政赤字超大国の社会福祉制度。
その最大の要因ともいえる介護保険制度と医療保険制度の次の改革の議論において、そ
ろそろ選挙目当てでない、モラトリアム政策でない実りある改革議論が行われ、道筋が
描かれることを期待したいのですが・・・。
ただ、その道筋を描くなかで、年金制度改革が一体のものとして欠かせないことも付け
加えておきたいと思います。
(参考)
介護・医療 利用者負担こう変わる(上) 介護、高所得なら3割に上げ 対象3%、財政へ効果薄く
介護・医療 利用者負担こう変わる(下)高額療養費制度 見直し 小手先の変更で複雑に