介護施設の7割で16時間超す夜勤:「2017年介護施設夜勤実態調査」から

2018/4/17付日経に、
「介護施設の7割、16時間超す夜勤 夕方から翌朝まで交代なし 2交代制、是正の声」
と題した記事が掲載されました。

これは、2017年6~10月に、医労連(日本医療労働組合連合会)が行った、
【2017年介護施設夜勤実態調査】の結果の概要をレポートしたものです。

全国の特別養護老人ホームや短期入所施設などの介護施設約700カ所を対象に行い、
165施設が回答。

 

 以下、そのポイントを絞ってみました。

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介護施設の7割が2交替制シフトで、16時間勤務超す就労の現状

介護施設の勤務は一般的に早番、日勤、夜勤の3交替制シフトと、夕方から翌朝まで
ほぼ16時間勤務の2交替制シフトがある。
調査では、7割超の107の施設で、2交替制が常態化し、3交代制シフト施設は9カ所
6%で、厳しい介護現場の状況がわかる。

 

2交替制勤務の実態

施設の形態別に、2交替制における要員数を示しているのが、下の表です。

 

2交替制を取っている介護施設の職員1992人における月平均の夜勤回数を示したのが以下で、
月に4.5回以上が43%。
調査開始の13年は29.8%で、年々増加傾向にあり、介護士不足が、年々厳しくなっているこ
とも示しています。

 

もう一つ、この2交替制での夜勤の手当はどうなっているでしょうか。

 

ハードな仕事を十分カバーするレベルの手当とは言い難いですね。

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介護現場の厳しさ、介護人材不足を根本的に改善する対策はあるか?

介護施設の夜勤は入所者のケアや巡回など求められます。
入居者の夜間コールへの対応も欠かせません。
しかも、いつコールがあるか分かりませんし、複数の入居者から同時にあることも。

入院施設がある病院勤務の看護師も、2交替勤務シフトがあり、ハードですが、介護士と
看護師では賃金の差も大きいですね。

製造業における夜勤は、ほぼ定型的・標準的な労働。

どう考えても、介護現場の夜勤は、ハンデが大き過ぎます。

仮に、労働時間が労働基準法に従って守られていても、きつい仕事であることに変わりは
ありません。
その法律どおりに運用できるのは、一握りの大手の介護事業所に限られるでしょう。

一般的に、労働力の需給バランスを考えると、人手不足業種や職種の賃金は上がるはず。
しかし、介護職や保育職は、ハードな仕事という条件をもってしても、賃金は上がりませ
ん。

行政面から、賃金補助を支給しても足りず、人手・人材不足を改善・解消するには程遠い。
財政面からは、青天井にその補助金を上乗せしていくことも難しい。

そうした根本的な問題をどのように克服していくか・・・。
社会福祉の在り方を総合的に見直し、収支両面からどのような政策を構築するか。

夜勤の厳しさを改善・緩和するには、やはり人手を増やすか、施設介護・在宅介護の方法
をサービスの質を維持しつつ、効率化するかを考えるしかない。
コストには、ある程度目をつぶって・・・。

そのコストを少しでも吸収・補てんする方法・方式も、根本的に見直す・・・。

その中の方法の一つに、自己負担を増やすことを加えることは避けるべきではない、避け
られない・・・。

そして消費税を引き上げて、その財源の一部とする。

高福祉・高負担への道筋を真剣に考えるべき段階に来ていることを、住民・国民すべてが
理解すべきと考えます。

 

この調査の詳細は、こちらのPDFで見て頂けます。
⇒  【2017年介護施設夜勤実態調査】

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