介護費用いくらかかるか-4:国民年金受給高齢夫婦世帯の介護生活不安

<介護費用いくらかかるか>というシリーズ。

第1回:介護費用いくらかかるか-1:参考にならない平均介護費用
第2回:介護費用いくらかかるか-2:厚生年金受給の場合の自宅介護でかかる費用
第3回:介護費用いくらかかるか-3:厚生年金受給でも厳しい高齢夫婦・高齢単身世帯の介護生活

と、主に『介護破産 働きながら介護を続ける方法』(結城康博・村田くみ氏共著)
を参考に進めてきています。

第4回は、このテーマです。

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生活保護受給者が、国民年金受給者よりも安定した介護生活

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国民年金のみで生活する老夫婦は、生活保護水準以下の介護生活を送ることが少なくない。

この場合の年金受給者は毎月一人あたり平均5万円前後で、夫婦合わせて10~12万円
前後。

そのうち規定通り65歳から受け取っている人は2012年度末で全体の6割弱。
残りの約4割の人は60歳から年金がもらえる「繰り上げ支給」を選択。

この場合、生涯にわたって受給できる金額が固定化されてしまい、結果的に月ごとの支給
額が減ることになるが、家計の厳しさにより、損と知りつつも早くから受給す
るケースが
多い。

生活保護受給者の支給水準は、地域差はあるが、独居高齢者で月々11~12万円。
しかも、生活保護受給者は限度内であれば介護保険サービスの自己負担はゼロ。
しかし年金受給者は自己負担があり、毎月の介護保険料負担もある。

65歳以上の2人以上世帯で貯蓄額が300万円未満しかない世帯が13.1%
高齢者世帯内における貯蓄額格差が大きく、年金受給額においても差が大きい。

中途半端に預貯金を持つ国民年金受給者は、預貯金を使い果たして生活保護受給者とな
ったほうが、安定した介護生活を送ることができるとも言える。

 

 

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介護を必要とする高齢者の多くは、同時に医療も受けています。
生活保護受給者は、この医療費用負担もゼロ。
一般的な国民年金受給者は、介護のみならず、医療費の自己負担もあります。

こうした社会保障制度の矛盾は、最近よく取り上げられますが、すぐにその解決策が講じ
られる可能性はありません。

もし、国民年金受給高齢者が、家賃を払わなければならない生活をしていると、その困窮
度は、想像できます。

もちろん、配偶者に先立たれて、遺族年金で暮らす女性単身高齢者も同様のリスクを抱え
ています。

 

今後ますます増える低年金・低預貯金高齢者の介護・医療・生活保護問題。
解決策としては、公営集合介護施設の設置・入居による、低コストでの総合生活支援制度
の導入を提案したいと思います。

公営団地の空き室、大型の空き家などへの単身高齢者、高齢夫婦世帯の入居を促進し、施
設介護による訪問介護・訪問看護を実施。
家賃は、可能な限り低額化もしくは無料化。

入居者の受給年金と預貯金の管理を行政が、本人および家族になりかわって行います。
完全個室方式が望ましいですが、施設の大きさや状況、本人の希望などによっては、複数
人の入居やグループホーム方式があってもよいのでは、と思います。

生活保護受給要介護高齢者も、この施設に入居し、他の入居高齢者と同様の待遇とします。

もちろん、財源や適地の有無、本人の意志等課題も多く、簡単にできることではありませ
ん。

しかし、この仕組みがあれば、多くの問題の改善・解決に繋がり、大きなメリットや安心
感を生み出すことができるでしょう。

社会、政治・行政でこうした総合的な社会福祉基盤を形成し、合意を形成していくことは
十分検討に値すると考えています。

また、ここでの課題ではありませんが、年金制度の改革も必要で、中長期的に、国民年金
の厚生年金レベルへの改革を行うべきと考えていることを付記しておきたいと思います。

 

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