
介護施設の虐待、2016年度最多件数前年比11%増:「虐待」表現を「暴力」に換えるべき
018/3/10付日経で、06年度施行の高齢者虐待防止法に基づき、都道府県や
市町村が相談や通報を受けて把握した件数をまとめた、2016年度の厚労省
調査による介護施設での虐待に関する調査結果からの概要が以下の記事で
報じられていました。
◆「介護施設の虐待11%増 16年度最多 相談・通報が増」
その詳細は、リンクした記事で見て頂ければと思います。
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その調査結果を以下に、簡単に整理してみました。
<施設職員による虐待>
介護施設の職員による高齢者への虐待は、前年比11%増の452件で06年の調査
開始以降最多。
虐待への問題意識の高まりが相談や通報件数で増加したことも背景にある。
被害者は870人。うち7割が女性。死亡者は0。
虐待の種類では
◆殴る蹴るなどの身体的虐待が570人(65.5%)で最多
◆暴言を吐くなどの「心理的虐待」(27.5%)
◆おむつを替えないなどの「介護放棄」(27.0%)。
<家族や親族などによる虐待>
身内による虐待は、1万6384件(前年度比2.6%増)、被害者数1万6770人。
うち25人が死亡。
虐待者の続柄は息子(40.5%)、夫(21.5%)。
虐待要因は「介護疲れ・介護ストレス」(27.4%)が最多。
となっています。
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これまでも、家族や介護士など、介護する人の心身の負担はその人にしかわか
らないもの。
イライラや怒り、虚しさなどが、日々、あるいは時々刻々と自身に襲ってくる
に違いありません。
そうした感情の起伏を持つことなく、穏やかに介護を行うことができる人。
とても素晴らしいこと、素敵な人と思いますが、決してだれもができること、
なれるものではありません。
かといって、虐待が許されるものではないですが・・・。
しかし「虐待」という表現を見ると、どうも少しばかり違和感を覚えるのです。
「虐待」には、相手を抑圧・威嚇し、暴力を振るうという行為に、明確な意志
が伴うか、とっさの衝動に駆られてのものであるかの違いがあるにせよ、許し
がたい、許されることがないという意味合いがあります。
すべては、虐待する人の犯罪性が問題になる・・・。
もちろん、介護施設で働く人には、職業として、専門職としての強い自制心と
技術に基ずく介護が求められますから、暴力はもっての他。
あってはならない行為です。
要介護者とその家族との契約関係があります。
しかし、家族による介護においても、すべてに介護専門職のように冷静で、穏
やかな介護を毎日、毎時行うことができるか・・・。
とても難しいこと、そう思います。
声を荒げたり、強く当たったり、ついつい手を上げたり・・・。
これを虐待と呼ぶには、ちょっと酷な感じがします。
虐待ではなく、暴行・暴力。
どこで線引きするか難しいところですが、虐待とすると、行為した人の人格が
完全否定され、犯罪人とされてしまう・・・。
介護にはそうした、「ついつい魔がさして」「思ってはいなかったのに」とい
う行動・行為が起こりうる、起こしうる・・・。
在宅介護を推し進めるに当たっては、こうしたリスクの大きさ、多さをしっか
りと認識し、対策を講じる必要があるのです。
そして、介護専門職には、忍耐力と高度な専門能力が求められる。
それゆえに、処遇面で、労働生産性・効率性とは異なる評価軸が必須であるこ
とをここで再確認しておきたいと思います。
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こうした調査については、できるだけ、公開された資料を確認し、グラフ
などを添えるように心がけているのですが、今回の発表資料は、ささっと
見つけることができず、断念しました。
ご容赦ください。
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先月・今月と、
『その介護離職、おまちなさい』(2017/10/20刊)、『人生を破滅に導く「介護破産」』
(2017/6/23)と『介護破産 働きながら介護を続ける方法』(2017/4/14)
の3冊を、斜め読みしました。
近々、それらを参考にした投稿を予定しています。
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デイサービスのすべてがこの3冊に!
経営者・管理者、これから開業を考えている方へ!
1.デイサービス虎の穴【開業編】
2.デイサービス虎の穴【営業編】
3.デイサービス虎の穴【運営編】
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