在宅介護・在宅医療政策に疑問を投げかける在宅診療医の正論

連載「中日新聞<生活部記者の両親ダブル介護>より
の当事者である三浦耕喜記者の取材・執筆による記事が、2018/2/13と
2/14両日中日新聞に掲載されました。

三浦記者自身が、その連載の中では、在宅介護・施設介護や介護保険
制度等のあり方について、ほとんど批判・評価を書いてきていません。

大変な両親ダブルケアの生活をおくる同氏が、今回、
<つなごう医療 (403) 中部の最前線>というシリーズの中で、 
「走る在宅診療医」
というテーマで取材したものがあります。

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生老病死は人の定め。権勢におごっても、やがて最期は訪れる。
その時をどう迎えるか。
その結末は人生の幸・不幸を左右する。
高知県・四万十川の四季を背景に、多くの人たちの命に寄り添ってきた医師を
追ったドキュメンタリー映画が完成し、東京、名古屋でも上映されることに。
「自分は幸せに死ねるのだろうか-」。
見る人は、それぞれの立場で考えさせられるだろう。(三浦耕喜)

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と前置きしての、1回目の記事は
「走る在宅診療医(上) 四万十で命に寄り添う記録映画完成 幸せな最期サポート
と題しています。

その内容は、こちらのリンク
https://dbs.g-search.or.jp/aps/QCNF/main.jsp?ssid=20180218093710471gsh-ap03
で見て頂ければと思います。

 

その2回目の「走る在宅診療医(下)介護長続きさせるこつ 脱完璧 「不良の勧め」」
では

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高知県・四万十川の四季を背景に、在宅診療医の小笠原望さん(66歳)に
密着したドキュメンタリー映画「四万十・いのちの仕舞い」(溝渕雅幸監督)。
多くの患者を在宅でみとった経験から、小笠原さんは「在宅死は最高のぜいたく」
と言う。
「ぜいたく」は極めて恵まれてこそできること。
「施設から在宅へ」と介護の流れを推し進める政治には、違和感を覚える。
(三浦耕喜)

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と、ありました。

それは、小笠原在宅診療医の言葉を借りて、記者自身の考え方を主張して
いるかのように読むことができました。

その記事の詳細は、以下のリンクURLから見て頂きたいと思います。

ここでは、ごくごく簡単に要約してみました。

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走る在宅診療医 (下) 介護長続きさせるこつ 脱完璧 「不良の勧め」

⇒ https://dbs.g-search.or.jp/aps/QCNF/main.jsp?ssid=20180218092448424gsh-ap03
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在宅に介護の軸足を置きたい政府としては、小笠原さんのような在宅診療に
熱心な医師は、望ましい存在のはずだ。
だが、小笠原さんの言葉は「在宅医療をもっとやれ、と政治から簡単に言わ
れると、ちょっと待って、と言いたいことがある」と手厳しい。

(中略)

介護する側の気持ちが深刻に張り詰めていてばかりでは、介護は続かない。
思い通りにいかないのが介護の現場。
「介護をしている人は振り回される毎日で、くたくたの人が多い。完璧でな
くていい。介護は少しいいかげんな人が疲れない」と「不良の勧め」を主張
する。

「家族愛」を強調するのも要警戒。
「在宅を選ぶにしても、仕事を辞めるなど、多くのものを失ってまで行う
のはいかがなものか」。

在宅介護を実態以上に美化し、そちらに誘導したい政府の方針には財政難
という理由があるとしても、家族の介護力を度外視しては不幸な介護に陥
りかねないというのが、在宅診療医のベテランからの警告だ。



 

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まさに、そのとおりです。

このブログサイトの運営方針の基本の一つは、在宅介護主義・在宅介護政策への
反対・批判です。

家族介護・高齢者介護の事情・状況は、家族それぞれ、人それぞれ。
十分な在宅介護力を持つ家族・人・要介護高齢者は、そうそう居ません。

在宅介護政策を推し進めることが、介護離職を否が応でも強制するか、介護生活
を日々厳しいものに強制することは、簡単に想像できるものです。

老老介護による在宅介護。
頼る人がいない単身要介護高齢者のセルフ介護。
そこに医療が間違いなく加わってくる。

所管官庁・行政や政治家には、そうした困難さがイメージできない・・・。
知性と理性が不足しているのです。

現実として、介護を負担する人へのアドバイス。
「不良のすすめ」。
言わんとすることは分かります。

しかし、そこにはほとんどの人に、責任感・義務感と一体になった強迫観念が
付きまといます。
そして、必ずと言っていいほど「自己犠牲」の感覚を持ち、実際に、自己犠牲
が強制されます。
自己犠牲感を持つことがないほどの、深く大きな家族愛を持つことができる人。

それはそれは素晴らしいこと、人と思いますが、そこまでを強制することを、
行政や政治家ができるはずがない・・・。
自身がそうである、と言い切れるならば、公務員や政治家としての仕事を辞め
て在宅介護にかかわることに躊躇はないでしょう、その必要が生じたときには。


 

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もちろん、財政課題、社会保障負担の課題が、残っています。

しかし、在宅介護・在宅医療制度を推し進めれば、その問題が抑制できるのか
となると、現実は、その逆の道をたどっています。

効率性・生産性向上の課題を掲げながら、現実的には、その反対方向に力が働
く在宅介護・在宅医療制度。

そこに本質的な問題点を、しっかり見据えるなら、政策・方針を転換すべきこ
とは明らかなはず。

5年間ほどかけて、現状の制度を改革していく取り組みが必要と考えるのです。
しかし、介護給付や医療給付の上げ下げ、個人負担の引き上げ等の近視眼的な
制度改定を繰り返すばかりでは、土台ムリでしょうね。

悲しくなります。


 

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