カンタキ、看多機とは?:介護と看護を一体化して提供すべき超高齢化社会の課題

2017/10/5付日経夕刊に「看多機」という見かけない用語が見出しに入った記事
を見かけました。

介護も医療も自宅で受ける 「看多機」都市部で注目 療養生活に新たな選択肢」

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介護サービス拠点に看護師が常勤し、看護と介護のサービスを一元的に提供
する
「看護小規模多機能型居宅介護(看多機=カンタキ)」が注目されている。
医療的なケアが必要になった要介護者が、施設に入らなくても介護サービス
医療処置を介護拠点や自宅でワンストップで受けられる。

と初めにありました。

⇒ 記事詳細はこちらから

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なるほど、多機能の「多機」で、介護と看護を一体化したサービス。
「小規模多機能居宅介護」に「看護」が付いている。
概念的、観念的には、介護・看護一体型サービスですから、特に目新しいモノ、
コトではありません。

要は、看護と介護の異なる事業者が、同一の家の高齢者などにサービスを提供し
ていたものを、一つの事業者が両方を提供するわけです。

当然高齢者は、何らかの疾患を持ち、複数の薬を服用しているケースが、ある意
味ほとんど。
ニーズがあるのは分かりきっていたが、両方を事業化するためには、まず医療・
看護の体制・組織を持つことが必須。
それが可能なのは、ベースに医療事業・医療法人を擁している必要があります。

現実的に、介護事業に乗り出している医療法人が、かなり増えていますから、
「看多機」の素地はあるわけです。
しかし、訪問看護を事業に加える医療法人はまだ限られている。
いや、例えば有料老人ホームやサ高住を医療法人が、病院と併設する形で経営す
る場合は、看多機体制も併せ持つことになります。
ただ、その多くは、決して「小規模」ではない。

「小規模」と付くのがある意味、ミソということになります。
その規模のレベルの基準はあるのでしょうか?

以下、もう少し記事を参考に・・・。

 

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 看多機は2012年、介護保険の地域密着型サービスとして導入された。
1つの事業者が、看護と介護の両方のサービスを泊まりや通い、訪問の
3つ
の形で一元的に提供
要介護者の在宅生活や家族による介護を全面的に支える。

 利用者は看護師や介護スタッフに自宅に来てもらうほか、拠点に通っ
たり、
短期宿泊したりとニーズに応じたサービスを組み合わせて受ける。
主治医と連携し、24時間365日体制で看護師が緊急時に対応する。

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こう定義、解説しています。
なるほど、自ら専用施設を持つ事業も、訪問もありということですか。
では具体的にどうサービスを提供しているか?

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◆退院後の在宅療養への移行支援が最も多く、看護師が胃ろうによる栄養管
やストーマ(人工肛門)の管理、たんの吸引など。
◆妄想や徘徊などの行動・心理症状(BPSD)が目立つ認知症患者のケア
◆末期がんの患者が、緩和ケア病棟や特別養護老人ホームなどが見付かるま
の間の痛みのケアなど。

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そのことから

 医療費削減のため病院が入院日数を短縮するなか、自宅で療養する要介護者の
医療ケアへのニーズは大きい。
看多機は在宅に戻るまでの受け皿に加え、在宅が
前提の介護療養生活を支える
選択肢になっている。
 また、医療ケアが必要で目を離しづらい要介護者を受け入れることで、介護す
る家族の休息を可能にする「レスパイトケア」も担う。

としています。

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しかしその一方、

「小規模多機能型居宅介護(小多機)」事業所数は5155、と増えているこ
とに比べて、看多機は350と伸び悩み。(2017/4現在)

 事業参入が難しく、小多機事業者が参入する場合は看護師の確保が、訪問
看護ステー
ションが参入する場合は土地・建物の確保が、ネック。

と言います。

 

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看護師が居ればいいというものではなく、医師が居て、連係する必要がある。
終末期ケア、終活とも関係してくる。

ニーズがあり、超高齢化社会の必然でもある、医療看護と介護の平行・一体化
サービス。言うのは簡単ですが、その体制構築と運営、そして費用負担・財源
問題は難題です。

高度の専門知識を必要とし、かつそれらを備えた人的資源と機器や設備を必要
とする事業。
率直に、私にはどうしようもない世界。
でも、いずれお世話にならなければならない状況がくることは間違いがない。
しかも、比較的、近くに・・・。

できること、考えられることはなにか・・・。
これまた言うのは簡単ですが、お世話になる程度が極力少なく、低い健康状態、
精神状態をできうる限り継続する。
当面、そのことくらい・・・。
そして、可能ならば、そうしたケアを一体化して提供してくれる施設にいずれ
は入ることができれば・・・。

そしてもう一つ言えること、言うべきことは、そうした困難な事業に取り組ん
でくれる事業者・経営者、そしてそのスタッフに、頑張って頂きたい、宜しく、
ということ。

無責任ですが、今日はこんなところでお許しを、という感じです。

 

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結城康博氏著

☆☆☆『介護 現場からの検証』(2008年5月20日・岩波新書)

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☆☆☆☆『在宅介護 「自分で選ぶ」視点から』(2015年8月20日・岩波新書)

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☆☆☆☆『介護破産 働きながら介護を続ける方法』(2017年4月14日・KADOKAWA)

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☆☆☆『人生を破滅に導く「介護破産」』(2017年6月23日・幻冬舎)

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☆☆☆『親の介護で自滅しない選択』(2017年2月15日刊・日本経済新聞出版社)

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☆☆☆『失敗しない介護施設選び』(2015年8月25日刊・幻冬舎・¥1,404)

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