だれが、どこで、どう介護するかー2:家族介護「介活」の進め方(9)

家族の介護に備えて、何をどう準備するかという活動を「介活」として考えるシリーズ
『家族介護「介活」の進め方』。

第1回から第7回までは、末尾に提示している【家族介護「介活」準備項目リスト】
1.介護を必要とする家族に関する情報整理・把握>を課題に
お薦め図書親の介護で自滅しない選択』(太田差惠子氏著)の
<第2章 親が元気なうちにしておきたいこととは>
の一部を参考に

前回、第8回からは、同リストの中の
<3.介護体制・方法の検討・計画立案>をテーマに
「だれが、どこで、どう介護するか考える」
と題して、家族の介護をすることにな
った場合の、あるいはその備えをする上での課題・方法を考えます。

介活とは? 家族介護に備える準備活動項目リスト:家族介護「介活」の進め方(1)
日常の親子のコミュニケーションの機会を:家族介護「介活」の進め方(2)
介護を分担する家族・親戚と事前コミュニケーションを:家族介護「介活」の進め方(3)
親の介護、本人の希望にどう応えるか:家族介護「介活」の進め方(4)
親の連絡先・相談先を確保・確認しておく:家族介護「介活」の進め方(5)
親の年金収入や預貯金などを知っておく:家族介護「介活」の進め方(6)
親の健康・病気状態、かかりつけ医を知っておく:家族介護「介活」の進め方(7)
だれが、どこで、どう介護するかー1:家族介護「介活」の進め方(8)

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<3.介護体制・方法の検討・計画立案>
1)介護担当者とその方法・体制計画

2)介護を受ける(する)場所・方法の検討・設定
3)医療並行利用時の対応方法
4)介護等諸費用の試算・見積もりと負担方法

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 「どこで」介護を行うか・・・
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どこで介護をするか。
どこで介護生活を送るか。

家で。
介護施設に入居・入所して。
家と介護施設を併用して。
この3つの選択肢です。

政府は、在宅介護主義を押し進めています。
家族を人的介護資源と見て、家で親や配偶者を介護するべきという政策です。
それでも、在宅介護は、訪問介護や通所介護による介護スタッフの手を借りざるを
得ないのですから、よく考えれば、多くの、そして大きな問題が残ります。

もちろん、家イコール介護施設となるので、入居型の介護施設の建設コストを考え
ると合理的・経済的という面は確かにあります。

しかし、一軒一軒介護のために各家庭を訪問するのは、相当の時間・労力を必要と
し、もちろん介護サービスそのものにも費用がかかります。

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もう一つ付け加えておくべき大切なことがあります。
意外に見落とされがちなのですが、在宅介護の「家」の問題です。
「家」にも種類があります。

戸建ての家、アパート、マンション、高齢者向け住宅などの分類。
そして、自己所有(家族名義を含みます)か、賃貸か、という分類。
また、介護生活を送る上で、利便性のある家の構造か否か。
それから、どこにあるか・・・。
例えば交通の利便性、買い物など生活の利便性、介護事業所からの距離など立地
条件なども関係してきます。
過疎地であったり、密集した住宅地であったり・・・、さまざま。

これらの要素は、介護生活を送る上での経済的負担や、介護サービスを受けやす
いか・利用しやすいかなどと関係します。
もちろん、介護だけでなく医療も含んでのことです。

よく介護を受ける高齢者は、自分の家で過ごしたいのが当然、と在宅介護がベス
トの選択肢とするのが、在宅介護政策の大きな理由・根拠にされています。
「住み慣れた家、地域で・・・」
これが決めぜりふです。

家が持ち家・自己所有の場合と、借家の場合では、当人の気持ちの持ちようは違
うのでは、違うべきではと思うのですが、あまりその違いについて課題にされる
ことはありません。

確かに借家でも長く住んでいれば愛着や暮らしやすさがあり、そこで介護を受け
たいという思いも理解できますが・・・。
家賃負担が続くことに変わりはないですし、要介護度が重くなれば、やはり考え
ざるを得ないでしょう・・・。

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ちょっと取り留めもなくなってきました。
私の基本的な考え方は、経済的な条件を少し横において考えるなら、できるだけ
入居型施設での介護を推し進めるべき。
介護される人も、介護する人も入居型介護を選択すべき。
というものです。

介護・看護スタッフが、その生活の場のすぐ近くにいる。
そして複数の要介護者のケアをそこで行う。
これが、介護サービスを合理的・効率的・経済的に提供でき、介護スタッフの就
労条件や就業環境の維持・向上にも結び付く。
介護サービスの質の維持・向上も実現でき、介護サービスや付随する業務の改善
や、介護諸費用の低減に取り組む余地もある。
通所介護のように送迎乗用車や運転などの費用も低減もしくは不要にできる。

同居する高齢者とのコミュニケーション・交流の場・機会をもつことで、当人も
生活に張りがでる高齢者も多い。

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いいこと尽くしのようですが、結局、適当な場所・土地がない、建設費がかかる
と経済的・財政的な負担の問題がすべてを決めてしまっている状態が続いていま
す。

ほとんど、家族として介護に携わる人たちのことを無視して書いているように思
われるかもしれませんが、決してそうではありません。

一番は、在宅介護には、相当の覚悟が必要です、と申し上げたいのです。
親や配偶者の面倒をみるのは、自分の役割。
そう自然にお考えで、自然に実践できるかたに、いろいろ申し上げる必要はあり
ません。

ただ、介護する立場の人、ひとり一人は、万能の人ではないということを自覚し
ておく必要があると思うのです。
自分でできる範囲のことはやるが、できないことを訪問介護やデイサービスを使
って・・・。
それも選択肢として有効でしょう。
でもそれがずっと継続できるか・・・。
自分が関わり続けることができるか・・・。

どこかにムリがある、どこかでムリが破綻する、継続できなくなる・・・。
その時を想定する、その時に備える。
必要なことと思います。

人によっては、事情によっては、仕事を辞めて、介護生活に専念することになる。
これだけは何としてもくい止めたい、とどまって欲しい・・・。

そこまで考えるなら、なんとか入居型施設での介護を考えて頂きたい。
そう心から思います。

当初、在宅介護から始めたとしても、いずれ施設介護に変える、移行する。
その方法を考え続け、その準備も進めるべきと思うのです。
特に賃貸物件で生活している場合、同じ払うなら、介護施設を選択した方がよ
いと思います。

もちろん、経済的にこちらが望む条件を満たす施設があるかどうかが、最大の
問題ですが・・・。
そのためにも、入居型介護施設にはどんなものがあり、どのくらいの費用がか
かるのか、日頃からいろいろ調べておく必要があります。
この課題は、機会を改めて取り上げます。

余分ですが・・・
自分の親は家で極力家で面倒をみるが、自分が介護される立場になれば、入居
する施設を自分で探して決めて入るよ。
そんな生き方をする年代・世代が増えてくるといいな、と思っています。

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【家族介護「介活」準備項目リスト】

1.介護を必要とする家族に関する情報整理・把握
1)家族とのコミュニケーション基盤作り
①介護を必要とする家族とのコミュニケーションの機会・基盤作りと実践
②介護に関わる(可能性のある)家族とのコミュニケ―ションの機会・基盤作りと実
2.介護を必要とする家族に関する情報整理・把握
1)現状の居住生活状況の把握
①(介護対象の家族は)家族・親族と同居か別居か

①-1 同居の場合、誰とか、その世帯の構成は
①-2 単身の場合、生活に不便・不都合がないか
①-3 高齢夫婦世帯の場合、双方の健康度や生活状況に問題はないか
②(介護対象の家族の住居は)持ち家か借家か、お墓の状況は
②-1 持ち家の場合、住宅ローンなど負債はあるか、ないか
②-2 借家の場合、賃料、その他契約内容はどんな内容・条件か
②-3 お墓の状況
③近隣・地域社会との関係の有無・程度とその状況
③-1 近隣・知人・友人・所属団体サークル等連絡可能先・連絡方法と関係状況
③-2 自治体、地域包括センター、民生委員、NPO法人等連絡先・相談
2)現状の健康度・病気等の状況の把握
①現状通院・かかりつけの病院の有無と病状等
②現状服用の医薬品、施術等
③過去既往の病気・ケガ、手術・入院等の有無と内容
④現状介護認定の有無・程度、介護サービス・介護予防サービス利用状況
⑤健康保険加入状況(健康保険か国民健康保険か)
⑥医療費支払い状況(医薬品含む)
⑦現状利用・実践の運動、サークル、趣味、仕事等 ※1-1)③と関連
3)現状の家計状況、資産・負債状況等の把握

①年金種類と受給額、受給方法(金融機関)、管理方法
②年金外収入(仕事・副業・不動産収入等)の有無・種類・金額等
③預貯金、有価証券等流動資産
④不動産(土地建物等)
⑤負債・ローン、借金の有無と案件・額

⑥相続関連情報(本人の相続意向、相続権留保者情報)
4)介護家族情報の整理把握

①直接介護対応家族・親族状況、意向
②間接介護関与家族・親族情報、状況、意向
③介護体制整備上の問題点・課題と対応方法案
④本人の意向・希望

2.介護に関する基本知識・情報の調査・把握
1)介護保険利用のための諸手続き
①自治体介護担当部署連絡先・相談先、地方包括支援センター連絡先・相談先
②介護認定調査申請方法とそのプロセス、関与方法等
③ケアマネジャーの選出方法・相談先
2)介護保険制度、介護システム等の基礎知識
①介護保険利用者要件
①-1 介護保険料負担者と負担介護保険料
①-2 適用対象者年齢要件および年齢外特定疾病要件
①-3 要介護度・要支援度ランクと要件
②介護保険制度の内容
②-1 介護給付・介護報酬制度と負担介護費用
②-2 介護保険適用サービスと介護保険適用外サービス
②-3 介護保険利用時の負担費用と条件
②-4 その他制度内容
②-5 制度改定時の内容確認
③民間介護保険
④成年後見制度
3)介護施設等の種類と業務内容
①公共型施設事業所と特徴、事業内容
②民間型施設事業所と特徴、事業内容
③福祉用具事業者と役割、事業内容
④医療関連事業所と役割
④-1 医院・病院
④-2 看護事業所
④-3 薬局
⑤その他関係先
⑤-1 自治体担当部門
⑤-2 NPO、ボランティア組織その他業務提携先
4)介護サービス利用方法・利用手続き
①ケアマネジャーの選出・依頼と役割
②在宅介護・施設介護に応じた介護体制と介護利用方針
③月度介護サービス利用計画
5)企業・団体等の介護休業制度、介護支援制度に関する知識・情報
(企業・団体就労者の場合)
①法定での介護休業制度の内容と利用用法
②企業団体独自の介護支援制度の有無と内容、利用方法
③介護休業制度・介護支援制度利用方法と手続き
6)その他の関連知識
①認知症に関する知識・情報
②見守りシステム
③成年後見制度
④民間介護保険
⑤介護関連情報ソース 

3.介護体制・方法の検討・計画立案
1)介護を受ける場所・方法の検討・設定
①在宅介護
②施設介護(入所・入居型)
③在宅介護と施設介護の併用
④施設選択要件と選択判断基準
④-1 要介護・要支援度、利用サービス等に応じた選択
④-2 評価・評判による選択
④-3 費用・経済的条件に応じた選択
④-4 家族介護体制に応じた選択
2)医療並行利用時の対応方法

①必要病院と利用手段
②訪問診療・訪問看護の必要性と対応方法
3)介護等諸費用の試算・見積もりと負担方法

①想定介護時の介護・医療費試算と費用負担・分担試算
②施設入所時の費用負担試算と準備方法
③在宅介護選択時の住宅改修諸費用見積もりと負担方法
4)介護担当者とその方法・体制計画

①介護離職防止のための方策
①-1 介護休業制度・介護支援制度利用計画
①-2 必要介護費用負担計画
①-3 (万一)介護離職選択時の諸計画  ※別途項目化、要
②家族・親族介護体制計画

②-1 家族・親族等介護関与打ち合わせ・コミュニケーション
②-2 家族・親族介護費用分担検討
②-3 連絡体制・方法確認
③介活実行計画および実介護生活準備計画

③-1 介活実行スケジューリングと実行プロセス管理、介活ノート作成記入
③-2 介護必要時介護計画およびスケジューリング、実行プロセス管理(介活ノート活用)
③-3 介護生活開始後の変更・必要事項対応

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【「介活」定義】

1.家族・親族などを介護する人にとっての「介活」
1)これから介護をしなければいけなくなると想定される人、あるいは急遽介護をし

なければいけなくなった人にとっての「介護準備活動
2)既に介護が生活の一部として組み込まれ、実践している「介護実践生活」

2.自分が介護される立場における「介活」
1)介護されるようになる時を想定して行う「自分介護準備活動」

2)家族等だれかに介護支援を受けている「介護生活」

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【参考図書】
親の介護で自滅しない選択』(太田差惠子氏著)
介護離職しない、させない』(和氣美枝氏著)

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