だれが、どこで、どう介護するかー3:家族介護「介活」の進め方(10)

家族の介護に備えて、何をどう準備するかという活動を「介活」として考えるシリーズ
『家族介護「介活」の進め方』

第1回から第7回までは、末尾に提示している【家族介護「介活」準備項目リスト】
1.介護を必要とする家族に関する情報整理・把握>を課題に
お薦め図書親の介護で自滅しない選択』(太田差惠子氏著)の
<第2章 親が元気なうちにしておきたいこととは>
の一部を参考に

介活とは? 家族介護に備える準備活動項目リスト:家族介護「介活」の進め方(1)
日常の親子のコミュニケーションの機会を:家族介護「介活」の進め方(2)
介護を分担する家族・親戚と事前コミュニケーションを:家族介護「介活」の進め方(3)
親の介護、本人の希望にどう応えるか:家族介護「介活」の進め方(4)
親の連絡先・相談先を確保・確認しておく:家族介護「介活」の進め方(5)
親の年金収入や預貯金などを知っておく:家族介護「介活」の進め方(6)
親の健康・病気状態、かかりつけ医を知っておく:家族介護「介活」の進め方(7)

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だれが、どこで、どう介護するかー1:家族介護「介活」の進め方(8)
だれが、どこで、どう介護するかー2:家族介護「介活」の進め方(9)

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前々回、第8回からは、同リストの中の
<3.介護体制・方法の検討・計画立案>をテーマに
「だれが、どこで、どう介護するか考える」
と題して、家族の介護をすることにな
った場合の、あるいはその備えをする上での課題・方法を考えています。

<3.介護体制・方法の検討・計画立案>
1)介護担当者とその方法・体制計画
2)介護を受ける(する)場所・方法の検討・設定
3)医療並行利用時の対応方法
4)介護等諸費用の試算・見積もりと負担方法

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今回は3回目(通算第10回)です。

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 介護への関わり方、外部の活用の仕方をどうするか・・・
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だれがどこで介護するか・・・。
自分が介護にどう関わるか・・・。

家で介護をする場合、デイサービスを使う、訪問介護・訪問看護を使うなど、介護生活を
できるだけムリなく進めるうえで考え、適切に選び、生活を成り立たせていくのは、そう
簡単なことではありません。

もちろん、基本的には、介護を必要とする家族の健康状態、必要な介護・介助の種類、程
度などで決まるのですが・・・。
介護の認定を申請し、要支援度や要介護度が決まり、そのレベルに応じて、利用できる介
護・介助サービスの種類と回数など一定の枠が決まり、その条件のもとでのことでもあり
ます。
その枠の中で、介護保険法で決められた費用の負担額の上限も決まります。

まず、ケアマネジャーを探し、選び、決定し、外部の介護事業や施設をどうするか相談す
る。
ケアマネジャーは、自治体の介護担当部署に相談して、推薦してもらい、できれば何人か
会った上で、適切と思う方を決めればよいと思います。

初めから施設に入居を考える場合は、検討する施設がケマネジャーを紹介してくれるでし
ょう。ただこの場合、施設の利益を優先するケアマネジャーもいるので、注意が必要です。

デイサービスや訪問介護など、どこが適切か適切な情報を持ち、選択・推奨してくれるケ
アマネジャーと出会うことが、長い付き合いになるでしょうから、大切になります。

ケアマネジャーとの契約が済み、実際の介護支援計画がこちらも納得した上で決まります。
いよいよ、その計画に基づいた介護生活が始まります。

デイサービスを利用する場合、送迎があります。
訪問介護・訪問看護を利用する場合、家に介護士や看護師さんに来てもらい、計画で決ま
っているサービスを行ってもらいます。

介護を受ける高齢者には、外部の人に家に入られるのを嫌い、訪問介護・訪問看護を利用
することを拒絶する人もいます。
事前に説得が必要なケースも多々あるようです。

いずれにしても、在宅介護では、デイサービスに出かけている時間と、訪問介護を利用し
ている時間を除けば、家族が全時間、関わらなければなりません。
大変なことは想像できます。

何か事情ができて、家を空けなければならないときには、ショートステイを利用して、施
設に宿泊してもらう方法があります。
これも、ケアマネジャーに相談して適切な施設を紹介してもらうとよいでしょう。

 

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介護以外に、病気・ケガなどの事情で、病院に行く、往診に来てもらう、訪問看護を利用
する、薬を処方してもらうなどの医療を必要がある高齢者が大半でしょう。
この事情もよく承知・掌握した上で、介護する家族は体制や計画を立てる必要があります。
介護保険と医療保険は別の制度なので、不便を感じるでしょうが、よく内容や条件を知っ
たうえで、生活の中に組み入れましょう。

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入居型施設に入った場合でも、家族が行うべきことはあります。
契約内容に従って介護や介助・生活支援サービスを受けますが、洗濯・買い物・外出、医
療機関への送迎など、契約条件により、家族が直接かかわるべきことも多々あります。

入居する家族自身からの希望・要望もあり、これに応えてあげる必要もあります。

在宅介護とは比べ物にならないくらい、負担は少ないですが、それなりに費用もかかるわ
けで、別の悩みも生じます。

自分一人で介護するか、他に共同・協力してやってくれる家族がいるか。
いる場合、同居家族か、別に離れ済んでいる家族か。
ひとり一人異なる事情・条件でのことになります。

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【家族介護「介活」準備項目リスト】

1.介護を必要とする家族に関する情報整理・把握
1)家族とのコミュニケーション基盤作り
①介護を必要とする家族とのコミュニケーションの機会・基盤作りと実践
②介護に関わる(可能性のある)家族とのコミュニケ―ションの機会・基盤作りと実
2.介護を必要とする家族に関する情報整理・把握
1)現状の居住生活状況の把握
①(介護対象の家族は)家族・親族と同居か別居か

①-1 同居の場合、誰とか、その世帯の構成は
①-2 単身の場合、生活に不便・不都合がないか
①-3 高齢夫婦世帯の場合、双方の健康度や生活状況に問題はないか
②(介護対象の家族の住居は)持ち家か借家か、お墓の状況は
②-1 持ち家の場合、住宅ローンなど負債はあるか、ないか
②-2 借家の場合、賃料、その他契約内容はどんな内容・条件か
②-3 お墓の状況
③近隣・地域社会との関係の有無・程度とその状況
③-1 近隣・知人・友人・所属団体サークル等連絡可能先・連絡方法と関係状況
③-2 自治体、地域包括センター、民生委員、NPO法人等連絡先・相談
2)現状の健康度・病気等の状況の把握
①現状通院・かかりつけの病院の有無と病状等
②現状服用の医薬品、施術等
③過去既往の病気・ケガ、手術・入院等の有無と内容
④現状介護認定の有無・程度、介護サービス・介護予防サービス利用状況
⑤健康保険加入状況(健康保険か国民健康保険か)
⑥医療費支払い状況(医薬品含む)
⑦現状利用・実践の運動、サークル、趣味、仕事等 ※1-1)③と関連
3)現状の家計状況、資産・負債状況等の把握

①年金種類と受給額、受給方法(金融機関)、管理方法
②年金外収入(仕事・副業・不動産収入等)の有無・種類・金額等
③預貯金、有価証券等流動資産
④不動産(土地建物等)
⑤負債・ローン、借金の有無と案件・額

⑥相続関連情報(本人の相続意向、相続権留保者情報)
4)介護家族情報の整理把握

①直接介護対応家族・親族状況、意向
②間接介護関与家族・親族情報、状況、意向
③介護体制整備上の問題点・課題と対応方法案
④本人の意向・希望

2.介護に関する基本知識・情報の調査・把握
1)介護保険利用のための諸手続き
①自治体介護担当部署連絡先・相談先、地方包括支援センター連絡先・相談先
②介護認定調査申請方法とそのプロセス、関与方法等
③ケアマネジャーの選出方法・相談先
2)介護保険制度、介護システム等の基礎知識
①介護保険利用者要件
①-1 介護保険料負担者と負担介護保険料
①-2 適用対象者年齢要件および年齢外特定疾病要件
①-3 要介護度・要支援度ランクと要件
②介護保険制度の内容
②-1 介護給付・介護報酬制度と負担介護費用
②-2 介護保険適用サービスと介護保険適用外サービス
②-3 介護保険利用時の負担費用と条件
②-4 その他制度内容
②-5 制度改定時の内容確認
③民間介護保険
④成年後見制度
3)介護施設等の種類と業務内容
①公共型施設事業所と特徴、事業内容
②民間型施設事業所と特徴、事業内容
③福祉用具事業者と役割、事業内容
④医療関連事業所と役割
④-1 医院・病院
④-2 看護事業所
④-3 薬局
⑤その他関係先
⑤-1 自治体担当部門
⑤-2 NPO、ボランティア組織その他業務提携先
4)介護サービス利用方法・利用手続き
①ケアマネジャーの選出・依頼と役割
②在宅介護・施設介護に応じた介護体制と介護利用方針
③月度介護サービス利用計画
5)企業・団体等の介護休業制度、介護支援制度に関する知識・情報
(企業・団体就労者の場合)
①法定での介護休業制度の内容と利用用法
②企業団体独自の介護支援制度の有無と内容、利用方法
③介護休業制度・介護支援制度利用方法と手続き
6)その他の関連知識
①認知症に関する知識・情報
②見守りシステム
③成年後見制度
④民間介護保険
⑤介護関連情報ソース 

3.介護体制・方法の検討・計画立案
1)介護を受ける場所・方法の検討・設定
①在宅介護
②施設介護(入所・入居型)
③在宅介護と施設介護の併用
④施設選択要件と選択判断基準
④-1 要介護・要支援度、利用サービス等に応じた選択
④-2 評価・評判による選択
④-3 費用・経済的条件に応じた選択
④-4 家族介護体制に応じた選択
2)医療並行利用時の対応方法

①必要病院と利用手段
②訪問診療・訪問看護の必要性と対応方法
3)介護等諸費用の試算・見積もりと負担方法

①想定介護時の介護・医療費試算と費用負担・分担試算
②施設入所時の費用負担試算と準備方法
③在宅介護選択時の住宅改修諸費用見積もりと負担方法
4)介護担当者とその方法・体制計画

①介護離職防止のための方策
①-1 介護休業制度・介護支援制度利用計画
①-2 必要介護費用負担計画
①-3 (万一)介護離職選択時の諸計画  ※別途項目化、要
②家族・親族介護体制計画

②-1 家族・親族等介護関与打ち合わせ・コミュニケーション
②-2 家族・親族介護費用分担検討
②-3 連絡体制・方法確認
③介活実行計画および実介護生活準備計画

③-1 介活実行スケジューリングと実行プロセス管理、介活ノート作成記入
③-2 介護必要時介護計画およびスケジューリング、実行プロセス管理(介活ノート活用)
③-3 介護生活開始後の変更・必要事項対応

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【「介活」定義】

1.家族・親族などを介護する人にとっての「介活」
1)これから介護をしなければいけなくなると想定される人、あるいは急遽介護をし

なければいけなくなった人にとっての「介護準備活動
2)既に介護が生活の一部として組み込まれ、実践している「介護実践生活」

2.自分が介護される立場における「介活」
1)介護されるようになる時を想定して行う「自分介護準備活動」

2)家族等だれかに介護支援を受けている「介護生活」

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【参考図書】
親の介護で自滅しない選択』(太田差惠子氏著)
介護離職しない、させない』(和氣美枝氏著)

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