
だれが、どこで、どう介護するかー4:家族介護「介活」の進め方(11)
家族の介護に備えて、何をどう準備するかという活動を「介活」として考えるシリーズ
『家族介護「介活」の進め方』
第1回から第7回までは、末尾に提示している【家族介護「介活」準備項目リスト】の
<1.介護を必要とする家族に関する情報整理・把握>を課題に
お薦め図書『親の介護で自滅しない選択』(太田差惠子氏著)の
<第2章 親が元気なうちにしておきたいこととは>
の一部を参考に。
◆介活とは? 家族介護に備える準備活動項目リスト:家族介護「介活」の進め方(1)
◆日常の親子のコミュニケーションの機会を:家族介護「介活」の進め方(2)
◆介護を分担する家族・親戚と事前コミュニケーションを:家族介護「介活」の進め方(3)
◆親の介護、本人の希望にどう応えるか:家族介護「介活」の進め方(4)
◆親の連絡先・相談先を確保・確認しておく:家族介護「介活」の進め方(5)
◆親の年金収入や預貯金などを知っておく:家族介護「介活」の進め方(6)
◆親の健康・病気状態、かかりつけ医を知っておく:家族介護「介活」の進め方(7)
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◆だれが、どこで、どう介護するかー1:家族介護「介活」の進め方(8)
◆だれが、どこで、どう介護するかー2:家族介護「介活」の進め方(9)
◆だれが、どこで、どう介護するかー3:家族介護「介活」の進め方(10)
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前々回、第8回からは、同リストの中の
<3.介護体制・方法の検討・計画立案>をテーマに
「だれが、どこで、どう介護するか考える」と題して、家族の介護をすることにな
った場合の、あるいはその備えをする上での課題・方法を考えています。
<3.介護体制・方法の検討・計画立案>
1)介護担当者とその方法・体制計画
2)介護を受ける(する)場所・方法の検討・設定
3)医療並行利用時の対応方法
4)介護等諸費用の試算・見積もりと負担方法
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今回は4回目(通算第11回)です。
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介護にどのくらいの費用がかかるか、どう工面するか
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4)介護等諸費用の試算・見積もりと負担方法
①想定介護時の介護・医療費試算と費用負担・分担試算
②施設入所時の費用負担試算と準備方法
③在宅介護選択時の住宅改修諸費用見積もりと負担方法
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以上の項目を挙げました。
介護にどのくらい費用がかかるか。
そしてそのお金をだれが負担するのか。
多くの高齢者は年金受給者です。
その年金で介護諸費用を賄えればいいのですが、なかなかそうはいきません。
受給する年金額自体、国民年金と厚生年金等では、加入期間の違いも含めて大き
な差があり得ます。無年金高齢者もなかにはいますし。
年金以外に預貯金など資産を持っていれば、そこから支払っていく。
無ければ・・・。
介護する家族で不足する分を負担することになる。
介護を必要とするようになる以前に、知っておきたい情報であり、どう備えるか
の心づもりが必要です。
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とは言っても、介護の仕方、介護サービスの利用の仕方で、ピンからキリまであ
ります。
で結局、費用負担面から考えると、家で介護するのが一番安く済む。
だから自宅介護を選択する人が圧倒的に多い。
国や自治体もそれを推奨し、政策としている・・・。
介護される高齢者もそれを望むから・・・。
間違いではありませんが、それで介護離職をしては、元も子もない状態になるリ
スクを抱えることになることを、しっかりイメージし、何かしらの有効な手立て
を考えて臨む人は意外に少ない。
介護する家族の人件費はタダ。
訪問介護や通所介護の利用はしても、介護保険の範囲内の介護サービスにとどめ
れば年金の範囲の支出でなんとか収まる。
現実的に、最も多いパターンでしょう。
しかし、今後その自己負担分は増えていきます。
また、必要とする介助の内容・程度が人によって異なります。
そのために、バリアフリーにしたり、トイレの改修が必要になったり、など、住
居の改修が必要になる場合も多々あります。
費用の一部援助制度もあり、その内容や手続きも知っておく必要があります。
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入居型外部介護施設でもっとも安く済むのが、特養。
しかし、要介護3以上が入所条件であり、施設数に限りがあり、入居希望者が多
く、ウェイティング状態がほとんど。
(中には空き室があるけれど介護スタッフが集まらなくて入居させれれない特養
もあるとか)
老健は、リハビリ後自宅などへ戻る、移動するのが原則ですから、対象にはなら
ない。
かといって有料老人ホームは、先立つものがそれなりに必要で、誰もが気安く、
簡単に入れるものではない。
サ高住が、お薦めなのですが、家賃が必要で、食費そのた管理費などで、なんだ
かんだと結構な費用になる。
悩ましい課題があります。
先に述べたように、物理的に、構造的に介護をするのに適切でない家の場合、改
修できればまだいいですが、道路幅他立地条件により、在宅介護が難しいケース
もあるかもしれません。
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とにかく、個人個人、その条件・条件が異なるのが、介護の共通の?課題です。
それから前回も触れましたが、介護だけで済むことはまれで、医療・看護も並行
して受けることが大半。
高額医療費や後期高齢者の医療費負担減免など、種々の負担軽減制度を活用する
ことが大半で、その手続きも調べる必要があります。
単身独居高齢者の自身の介護対策。
高齢で身寄りのない夫婦世帯の介護対策。
だれも家族がいなければ、あるい介護するどちらかの配偶者自身も健康に不安が
ある場合、地域もしくは、自治体に頼るしかありません。
早くから、地域包括支援センターと連絡が取れるようにし、相談するようにして
おくべきです。
介護に必要な費用。
介護保険で収まるうちはよいですが、次第に、保険外サービスにかかる費用や、
その他の不要が発生し、増えていくことは覚悟しておく必要があります。
減るのは、亡くなった時だけ・・・。
そう言えるのではないかと・・・・。
それに加え、身体的・精神的負担という、計算できない、算定できないコストが、
いつまで続くか先が見えないコストがかかるのです。
だれが、どこで、どのように介護するか・・・。
まだ介護に関わることがないけれど、いずれしなければならなくなる人。
ぜひ、今から、心の準備ではなく、実際の方法・費用などについて、少しでも現
実的に、具体的に、前提や根拠に基づいて準備を初め、進めていって欲しいと思
います。
イメージを持ち、ありうる種々のケースを想定し、準備や対策が必要なこと、で
きることをメモ書きしていく。
分からないことは、ネットで調べる、自治体の介護担当部署や地域包括支援セン
ターに聞く・相談する。
今から始めて頂きたいと思います。
このシリーズのもとである、介活項目リストも参考にして・・・。
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【家族介護「介活」準備項目リスト】
1.介護を必要とする家族に関する情報整理・把握
1)家族とのコミュニケーション基盤作り
①介護を必要とする家族とのコミュニケーションの機会・基盤作りと実践
②介護に関わる(可能性のある)家族とのコミュニケ―ションの機会・基盤作りと実
2.介護を必要とする家族に関する情報整理・把握
1)現状の居住生活状況の把握
①(介護対象の家族は)家族・親族と同居か別居か
◆ ①-1 同居の場合、誰とか、その世帯の構成は
◆ ①-2 単身の場合、生活に不便・不都合がないか
◆ ①-3 高齢夫婦世帯の場合、双方の健康度や生活状況に問題はないか
②(介護対象の家族の住居は)持ち家か借家か、お墓の状況は
◆ ②-1 持ち家の場合、住宅ローンなど負債はあるか、ないか
◆ ②-2 借家の場合、賃料、その他契約内容はどんな内容・条件か
◆ ②-3 お墓の状況
③近隣・地域社会との関係の有無・程度とその状況
◆ ③-1 近隣・知人・友人・所属団体サークル等連絡可能先・連絡方法と関係状況
◆ ③-2 自治体、地域包括センター、民生委員、NPO法人等連絡先・相談
2)現状の健康度・病気等の状況の把握
①現状通院・かかりつけの病院の有無と病状等
②現状服用の医薬品、施術等
③過去既往の病気・ケガ、手術・入院等の有無と内容
④現状介護認定の有無・程度、介護サービス・介護予防サービス利用状況
⑤健康保険加入状況(健康保険か国民健康保険か)
⑥医療費支払い状況(医薬品含む)
⑦現状利用・実践の運動、サークル、趣味、仕事等 ※1-1)③と関連
3)現状の家計状況、資産・負債状況等の把握
①年金種類と受給額、受給方法(金融機関)、管理方法
②年金外収入(仕事・副業・不動産収入等)の有無・種類・金額等
③預貯金、有価証券等流動資産
④不動産(土地建物等)
⑤負債・ローン、借金の有無と案件・額
⑥相続関連情報(本人の相続意向、相続権留保者情報)
4)介護家族情報の整理把握
①直接介護対応家族・親族状況、意向
②間接介護関与家族・親族情報、状況、意向
③介護体制整備上の問題点・課題と対応方法案
④本人の意向・希望
2.介護に関する基本知識・情報の調査・把握
1)介護保険利用のための諸手続き
①自治体介護担当部署連絡先・相談先、地方包括支援センター連絡先・相談先
②介護認定調査申請方法とそのプロセス、関与方法等
③ケアマネジャーの選出方法・相談先
2)介護保険制度、介護システム等の基礎知識
①介護保険利用者要件
◆ ①-1 介護保険料負担者と負担介護保険料
◆ ①-2 適用対象者年齢要件および年齢外特定疾病要件
◆ ①-3 要介護度・要支援度ランクと要件
②介護保険制度の内容
◆ ②-1 介護給付・介護報酬制度と負担介護費用
◆ ②-2 介護保険適用サービスと介護保険適用外サービス
◆ ②-3 介護保険利用時の負担費用と条件
◆ ②-4 その他制度内容
◆ ②-5 制度改定時の内容確認
③民間介護保険
④成年後見制度
3)介護施設等の種類と業務内容
①公共型施設事業所と特徴、事業内容
②民間型施設事業所と特徴、事業内容
③福祉用具事業者と役割、事業内容
④医療関連事業所と役割
◆ ④-1 医院・病院
◆ ④-2 看護事業所
◆ ④-3 薬局
⑤その他関係先
◆ ⑤-1 自治体担当部門
◆ ⑤-2 NPO、ボランティア組織その他業務提携先
4)介護サービス利用方法・利用手続き
①ケアマネジャーの選出・依頼と役割
②在宅介護・施設介護に応じた介護体制と介護利用方針
③月度介護サービス利用計画
5)企業・団体等の介護休業制度、介護支援制度に関する知識・情報
(企業・団体就労者の場合)
①法定での介護休業制度の内容と利用用法
②企業団体独自の介護支援制度の有無と内容、利用方法
③介護休業制度・介護支援制度利用方法と手続き
6)その他の関連知識
①認知症に関する知識・情報
②見守りシステム
③成年後見制度
④民間介護保険
⑤介護関連情報ソース
3.介護体制・方法の検討・計画立案
1)介護を受ける場所・方法の検討・設定
①在宅介護
②施設介護(入所・入居型)
③在宅介護と施設介護の併用
④施設選択要件と選択判断基準
◆ ④-1 要介護・要支援度、利用サービス等に応じた選択
◆ ④-2 評価・評判による選択
◆ ④-3 費用・経済的条件に応じた選択
◆ ④-4 家族介護体制に応じた選択
2)医療並行利用時の対応方法
①必要病院と利用手段
②訪問診療・訪問看護の必要性と対応方法
3)介護等諸費用の試算・見積もりと負担方法
①想定介護時の介護・医療費試算と費用負担・分担試算
②施設入所時の費用負担試算と準備方法
③在宅介護選択時の住宅改修諸費用見積もりと負担方法
4)介護担当者とその方法・体制計画
①介護離職防止のための方策
◆ ①-1 介護休業制度・介護支援制度利用計画
◆ ①-2 必要介護費用負担計画
◆ ①-3 (万一)介護離職選択時の諸計画 ※別途項目化、要
②家族・親族介護体制計画
◆ ②-1 家族・親族等介護関与打ち合わせ・コミュニケーション
◆ ②-2 家族・親族介護費用分担検討
◆ ②-3 連絡体制・方法確認
③介活実行計画および実介護生活準備計画
◆ ③-1 介活実行スケジューリングと実行プロセス管理、介活ノート作成記入
◆ ③-2 介護必要時介護計画およびスケジューリング、実行プロセス管理(介活ノート活用)
◆ ③-3 介護生活開始後の変更・必要事項対応
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【「介活」定義】
1.家族・親族などを介護する人にとっての「介活」
1)これから介護をしなければいけなくなると想定される人、あるいは急遽介護をし
なければいけなくなった人にとっての「介護準備活動」
2)既に介護が生活の一部として組み込まれ、実践している「介護実践生活」
2.自分が介護される立場における「介活」
1)介護されるようになる時を想定して行う「自分介護準備活動」
2)家族等だれかに介護支援を受けている「介護生活」
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【参考図書】
『親の介護で自滅しない選択』(太田差惠子氏著)
『介護離職しない、させない』(和氣美枝氏著)
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