介護職員のやりがいを考える(3):介護事業者をめざす道

介護人材不足が続く現状、引く手あまたの介護職。
しかし、介護職の経験がある人と未経験の人とでは、介護という仕事の内容や労働
環境・条件などの理解度はまったく違います。

介護職の離職率が高いことと、その原因は、よく言われていることですから、経験
・未経験を問わず、知ってはいる。

髙い離職率、低い定着率。
現在いずれかの介護施設で働いているかたで、今働いている事業所・職場でしか働
いたことがない、今の職場しかしらない、という人はどのくらいの割合でいるでし
ょうか。
かなり高い比率で複数の職場を経験している人が多いのではないかと推察します。

そして、今働いている職場・事業所は、当分辞める気がない、あるいは、そこそこ
満足していると感じている人はどの程度いるでしょうか。

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そんなことを考える中、
<介護職員のやりがいを考える>というシリーズを始めました。

1回目は
介護職員のやりがいを考える(1):介護の仕事と改善について 

2回目は、高山市の老健で起きた事故・事件?
高山の介護施設で3人相次ぎ死亡 7月末以降 (2017/8/17中日新聞)
高齢者3人死亡、県が再検査検討 施設、30代職員解雇 (2017/8/18中日新聞)
職員「みな前日まで元気だったのに」 (同上)
「5人とも30代職員が介護」 理事長会見、一問一答 (同上)

から、原点に立ち返る感じで
介護職員のやりがいを考える(2):介護という仕事と適性について 

を投稿しました。

今回は、3回目。
介護を事業として捉え、やりがいの目標として考えてみることを提案したいと思い
ます。

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昨年6月に右脚大腿骨頸部を骨折し、術後、回復期病院へ転院。
ほぼ2ヶ月リハビリに専念しました。

その際担当だった理学療法士の好青年男性。
施術を受けながらやリハビリ散歩中の会話から、まだ独身だが、付き合っている女
性がいること。
彼が現在の病院に転職する前に同じ事業所で働いていたという彼女は、管理栄養士
として、働いていることを聞き出しました。

理学療法士や作業療法士、言語療法士などの仕事は、現在そしてこれから、表現は
悪いですが、高齢社会・介護社会においては、食いっぱぐれがない仕事と思います。

実際、リハビリのための専門職として、老健やデイサービスなど介護施設で多くの
人が働いています。
この療法士さんが、40代、50代、60代とずっと専門職として事業所に所属して働
き続けるのかどうか・・・。

こうした疑問や課題は、介護の専門職の方々においても同様に持ちうるのではと感
じます。

かの理学療法士君には、いずれ、夫婦で独立してリハビリ専門事業やデイサービス
をやるのもいいんじゃない、生涯設計の選択肢として・・・、などと要らぬことを
話しました。

 

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人材不足・人手不足が恒常化する介護業界ですが、別の側面から考えると、望ましい
管理職者、事業経営者が不足しているのでは、と思うこともあります。

介護現場の実際を熟知しておらずに、介護スタッフの気持ちの把握や望ましい施設運
営管理ができていない。
あるいは、プレーイング・マネジャー的な日々に追われ、マネジメント業務ができて
いない。
あるいは、組織や事業管理の技術を持たず、身に付ける機会を持てないまま、有効な
手を打てない・・・。

一面では、デイサービス、デイケア施設には過剰感があると言われています。
厳しい競争環境にある上、中小・零細事業所は一層スタッフを採用し、定着させるこ
とが困難な状態にあるでしょう。
毎年、廃業や倒産する事業所も多々あります。

もちろん、施設長などポストの数も、年功的に得られるほどはないですし、賃金も年
功的に上がっていく保証がない事業所が多い。

そうした中で、何をやりがいにして頑張っていくか・・・。

 

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確かに、介護の上位資格を目指し、取得していくことで、多少賃金が上がることがあ
るかもしれません。
しかし、だからと言って、仕事の内容が大きく変わるわけではない・・・。

大手介護事業会社に入り、事業の拡大、事業所の増加に応じてポストが増えていくな
らば、ある程度の生涯設計も描けるでしょう。
しかし、中小・零細事業所では、期待できない。

2025年には、団塊の世代が全員75歳以上になっています。
そう考えると、介護事業は、まだ伸長する余地が、10~20年スパンであると考えます。
ならば、今の仕事を通じて、介護事業の基本と課題・問題点をしっかり把握しておく。
事業収支内容や介護保険制度について詳しく勉強しておく。
介護保険制度、介護行政が今後どのように変化していくかも予測し、その対応なども
考えながら日々の仕事に取り組む。

そして、ある時期からは、近くにある種々の介護事業所の評価・評判や経営状態、介
護職員の状況などについても関心をもち、情報収集もしてみる。

自身の施設の施設長や管理職とのコミュニケーションの機会も積極的に取り、その意
識・悩み・課題なども理解し、共有も必要ならばしていく。

こうした視点・姿勢を持つことで、従来の仕事の仕方・見方が変わってくるのではな
いでしょうか。

目標は、いずれ、独立して介護施設を運営する。
あるいは新しい形のケア事業を創出する。
どちらにしても特徴のある事業化を目指して頂きたい・・・。

また、小さく始めることを想定した方が良いと思います。
事業化資金を事前に用意できることが理想ですが、簡単にスポンサーを見つけるこ
とができるわけでもありませんし。
コツコツ、目標を立てて、起業可能な資金を蓄積しておきたいですね。
理想は、夫婦で事業を起こすこと、事業化すること。
現在独身の方は、ぜひそういう想いをもって、伴侶捜しをしてみてはどうでしょう。
これは、女性介護職の方にお勧めしたいことです。

もちろん事業パートナーを探すのもいいですが、共同事業というのは意外に難しい
です。
その場合は、じっくり中長期の構想と、その前の事業化準備と起業後1~3年程度
の事業計画・資金計画などについて、話し合い、共有しておくべきでしょう。

売却や撤退を考える介護事業者・事業所も、今後増えることはあっても減ることは
ないでしょう。
これを安く買収して、新しい介護事業・ケア事業を起業する。
これも選択肢の一つです。

介護事業創業者には、比較的若い世代も多いですね。
新しい感覚・感性で、介護業界を変えていって頂きたい。
そういう期待も持ちながらの、新しい「やりがい」目標を持つことの提案です。

 

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