介護休業法を上回る介護支援政策:進む大手企業の介護離職防止と人材囲い込み

大手企業各社で進む、法定外の育児・介護休業支援制度。

労働力人口の減少は、若い世代の人口減少と軌を一にするもの。
定年延長・再雇用政策による中高齢社員の活用が一つの課題・対策とされます。

しかし、現有戦力の現役世代が、育児や介護で離職・退職することは、より重
要な人事戦略にもなっていることが、企業独自の制度の導入・拡充を促す要因
と言えます。

時代を映し出す用語の一つとなった、仕事と介護の両立や、働き方改革にも通
じる取り組みとも言える施策。

2017/9/27付日経では、そうした大手企業の最近の動向を、以下の見出しでレ
ポートしました。
⇒ 詳細記事は、こちらから

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介護離職 防止策を拡充
第一生命、回数制限なく休業/パナソニック、6カ月は7割支給
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その一部を参考にすると

<第一生命保険>
通算93日、3回まで分割可能から、730日に延長、回数無制限に。

<明治安田生命保険>
2016年春に介護休業を通算1年から2年に拡大。

<イオン>
2年の介護休業を認めている。

<パナソニック>
介護休業(同社は通算1年)の期間中、6カ月は基準内賃金の7割、
それ以降は4割
支給。

<日本マイクロソフト>
介護目的で年20日休める介護有給休暇を、年次有給休暇(最大年20日)
とは
別に新設。

<花王>
最大年40日休める介護有給休暇を設定。

<日立製作所>
16年春から介護休業(同1年)のうち9カ月は給与の5割を支給。

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なお現在、介護・支援を必要とする65歳以上は約600万人で、日本全体
の就業者数のおよそ10人に1人が直面。

介護離職者は年間10万人で、この10年で累計100万人に。
予備軍も100万人とみられる。

 

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人口動態グラフが示すように、若い世代の労働力人口、生産年齢人口は先細り
が決定的。
高齢化社会は、企業にも当然出現しており、進行していきます。

現役世代は現実として、稼ぐ世代。
企業にとっては、代替不可能な貴重な戦力。
収益の源泉ともいえる「お宝」のようなものです。

若い世代にとっては、上が重くなって、昇進・昇格のチャンスが少なくなるよ
うにも思え、かつ自分よりも若い世代の後輩社員が少なく、いつまでも若手、
と見られる損な役割。

しかし、実際に親の介護を担わざるを得ない世代にとっては、仕事での責任と
両方が重荷に。
その負担を少しでも軽減し、仕事での貢献を、長い目で期待し続けたい。
組織で、企業でそうした個人事情をカバーしあうことができるのは、企業規模
が大きいからできることでもあります。

介護支援制度の広がりは、当然、企業に働く全世代の社員に意識づけ、従来と
は異なる仕事の仕方、マネジメントを要求することに。
それはまた、自分の生き方を考える機会を与えることにもなります。

仕事と介護の両立。
それは、人生設計・生涯設計にも繋がるモノ、コト。
親の介護を考え、実践することは、自分が介護されるケースを考えることにも
繋がります。
現在親の介護には無関係な世代の社員も、種々の情報や身近な上司・先輩社員
の話から介護を理解することにもなります。

そうした裾野の広がりも意義あること。
後は、大企業だけでなく、中小企業も自企業でできる範囲での制度・政策を整
備・充実させていって頂きたいと思います。

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結城康博氏著

☆☆☆『介護 現場からの検証』(2008年5月20日・岩波新書)

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☆☆☆☆『在宅介護 「自分で選ぶ」視点から』(2015年8月20日・岩波新書)

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☆☆☆☆『介護破産 働きながら介護を続ける方法』(2017年4月14日・KADOKAWA)

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河内孝氏著

☆☆☆☆『自衛する老後 介護崩壊を防げるか』(2012年5月20日刊・新潮新書)

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樋口恵子氏著

☆☆☆☆その介護離職、おまちなさい』(2017年10月20日刊・潮新書)

長岡美代氏著

☆☆☆介護ビジネスの罠』(2015年9月20日刊・講談社現代新書)

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