
要介護・要医療高齢両親への壮絶なケア生活:中日新聞<生活部記者の両親ダブル介護>より(16)
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2016年10月から中日新聞掲載の、同紙生活部三浦耕喜記者のご両親の介護生活を
綴る連載、<生活部記者の両親ダブル介護>を2回分ずつ紹介しています。
第1回:介護事情は千差万別。恵まれている特養入所
第2回:「食べることは、生きること」と見つけたり!
第3回:医療と介護、病院と介護施設。人それぞれ異なる介護生活
第4回:ひとそれぞれに異なる介護事情・介護生活
第5回:高齢者もSNS、ネット利用を普通にやれるように
第6回:介護度が、健康度が改善していく喜び
第7回:高齢者に戦争体験を聞く意義?在宅介護の大変さもある意味、戦争状態?
第8回:連載の目的は何?性格の悪い読者の独り言
第9回:介護・医療制度問題にも踏み込んで欲しい記者の介護日記
第10回:『わけあり記者』出版の筆者は、元東京新聞政治部記者・ベルリン特派員
第11回:介護保険制度の利用方法をネット検索する!
第12回:介護施設生活で優しくなっていく父親
第13回:家族介護・在宅介護をめぐる親子関係のあり方
第14回:介護・医療一体の高齢者生活
第15回:在宅介護主義への疑問を初めて提起した高齢者両親介護事情
今回は、31回・32回目を、まとめて。
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(31)手術は成功 不安嘆くより行動を (2017/12/6)
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介護認定を受けることになる前に、下顎の手術を受けたお父君の状態を描いた
今回です。
⇒ 記事は、こちらからご覧ください。
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2年前、右足大腿骨骨折で急性期病院に手術入院したときにも、手を拘束さ
れた認知症高齢者を見ました。
当然、病気か怪我の治療で入院していた高齢者ですが。
拘束しないと、看護師さんに抵抗したり、暴力を振るったりするリスクがあ
るため。
さすがにリハビリ目的で転院した回復期病院では見かけませんでしたが、重
症の方で拘束が必要な高齢者は、別病棟に入院していたようです。
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(32)懐かしの曲を母に 眠り誘うひとときの休息 (2017/12/20)
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ご自身のパーキンソン病を抱えつつ、ご両親を看るダブル介護状態の
厳しさを、「深刻にならない介護」のコラムにと思いながらも、如何
ともしがた実情を綴った今回です。
⇒ こちらから記事をお読み頂ければと思います。
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もともと「深刻にならない介護」を!という気持ち、方針自体に、疑問をもって注目し
ていた連載です。
両親とも特養など介護施設に入居していれば、記者も言うとおり、在宅介護の困難さと
比較すれば、表現は悪いですが、まだ楽な方・・・。
それが、病気入院・手術入院が絡んでくると、しかも、両親とも、ということになると
「深刻にならざるをえない介護・医療ダブルケア」に。
加えて、三浦氏ご自身がパーキンソン病という困難な病気を抱えてのことです。
そして何より、ご本人の優しさ・・・。
ここにきて、特養入所要介護者が、3ヶ月間以上病院入院などで、施設生活が継続でき
なくなると退去を求められる、という、介護制度の大きな問題が出てきました。
特養が要介護3以上を入所要件とするように制度改定がなされた後、この退去要件が適
用される状況になった高齢者は一体どうすればいいか・・・。
在宅介護が困難故に特養に入所しているはず。
まさに要介護高齢者を漂流させるひどい制度です。
こういう情況になっても、三浦記者は、介護制度が抱える問題点、その疑問を強く主張
しません。
根底には、介護保険制度や医療保険制度の恩恵を受けていること。
それらの制度が比較的、国民・住民が広く利用できる、まずまずの制度である。
そういう認識があるからでしょうか・・・。
一度は、落ち着いた感があったご自分の介護生活が、一転して、非常に困難な、壮絶な
ものになって来たとき、手のひらを返すように制度批判に論調を変えることができない。
ためらわれる・・・。
勝手な想像ですが、見通しが甘かった・・・。
「深刻にならない介護」。
そのイメージそのものが甘かった・・・。
優しさゆえに・・・。
介護と医療は、高齢になればなるほど必然的にニーズが高まるもの。
その時の在宅介護は、悲惨なものになるであろうことは、想像に難くないです。
三浦記者が体験している、施設介護利用高齢世帯に、医療が並行して求められ
ることになれば、また家族には相当の負担が押し寄せてくる。
新聞社という、社会正義を体現すべき企業に勤務することで受ける恵まれた条
件があっても・・・。
もし、そうした条件・恩恵を受けることが到底ムリな方々における介護と医療
のダブルケア問題。
高齢両親介護、老々介護、病気を抱える家族による介護・・・。
ダブルの要素が、多様に、複雑に、相乗的に加わってくる可能性が高い社会福
祉ニーズ。
悲観論に流れるばかりではいけませんが、最悪のケースも想定した行政が求め
られます。
しかし、それは、相当のコストを必要とすることも明らか。
どのように、個人と行政、そして企業が折り合いをつけていくか・・・。
それぞれが、当事者として、相応の責任と自覚をもって、考え、備え、対応し
ていくことが求められています。
悲観は、比較するためのイメージする状態により、緩和もでき、冷静に受け止
め、対応できる術を、私たちに与えてくれる可能性も持っている。
そう柔軟に考えることができるようにしておきたいと思います。
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【三浦耕喜氏プロフィール】(Amazon『わけあり記者』紹介ページより転載)
・1970年、岐阜県生。
・京都大学経済学部卒業後、92年に中日新聞社(関東地方では東京新聞を発行)に入社。
・前橋支局、渋川通信部を経て96年より政治部。首相番、社民党、防衛庁などの各担
当を務め、06~09年までベルリン特派員。
・政治部に帰任後は野党キャップ、首相官邸キャップとなるが、12年に過労で5カ月間
仕事を休む。
・復帰後に生活部に異動し、14年、両親の介護のため転属を希望。岐阜支社デスク、
15年に名古屋本社生活部に。
・著書:『ヒトラーの特攻隊――歴史に埋もれたドイツの「カミカゼ」たち』、
『兵士を守る――自衛隊にオンブズマンを』など。
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