介護報酬の架空・不正請求の背景と課題:介護事業の諸問題-3



3月下旬、ローカル紙の地域版に
ある介護施設が市に介護報酬の架空請求をしていたことが発覚し
市からの<介護サービス事業者指定>を取り消されたことが
報じられていました。

昨年3~6月、
市内で一人暮らしの<要介護2>の74歳の男性に対し
食事や入浴の介助サービスを提供したと虚偽の不正請求。
介護報酬計65日分、59万7千円を得ていたもの。

市のこの男性への聞き取り調査で、事業者が指定した日に
訪問していないことが分かったためです。
そのため、
介護保険法違反による加算金を含め、83万5800円を返還請求。


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利用者が施設に出向かないという場合に限らず
有料老人ホームに入居し、そこで介護保険適用の訪問介護を受ける場合
でもありえます。
利用者の要介護度が高い場合や認知症などの場合
本人がいろいろ認識することが難しい場合など、
やはりそうしたことが起きる可能性があります・・・。

こういう事件が起きると
自治体サイドも検査を厳しくせざるを得なくなり
そのための人と時間の投入が必要になり
その分公共コストも増える、という悪循環が起きます。
公務員の増員が必要、ということになります。

脱税行為を摘発するために
税務署職員の増員を求める、のと同じ理屈です。

ごくごく一部の人、事業主には
こうした出来心、悪さごころがなくならない・・・。

きちんと法に則って、面倒でも、その公共性を認識し
必要手続きを行うのが当然なのですが
必ずと言っていいように、こういう輩が現れ、一部は顕在化せず存続する・・・。

しかし
現業の方々の肩を持つ訳ではありませんし
不正を正当化する気はサラサラありませんが
実際に、そうした介護保険適用サービスを行い、介護報酬を請求するためには
当然ながらきちんと記録する必要があります。
結構、その作業量は馬鹿にならない・・・。

しかも介護の現場では
居宅サービス計画書に基いて、種々の介助や生活支援サービスを行うのですが
利用者の都合、一部わがまま、一部無意識などで、その計画通りに運ばない
ことも多いと思われます。
そのたびに変更が必要になり
予定した介護報酬請求を行えないことや、記録事務、計画変更事務などが
発生します。
医療行為の実施実績記録とは、随分違います。

今年3月下旬から義母の施設入居、訪問介護と通所介護サービス計画化、
そのサービス享受、本人の希望によるサービスのキャンセルや変更等を経験・・・。
そこから
介護業務における、事務作業、計画修正業務などで、
介護職員の方に相当負荷がかかっていることが想像できます。

だからといって手続きをぞんざいにしていいと言うわけではありませんが
それらを簡素化する、あるいは報酬算定の要素とするなどの方策は、
今後の課題の一つと思います。
情報システム化も部分的ですがその改善方法の一つかもしれません。



ただ一方それらの記録は
介護に携わる方々の業務実績記録でもあり
計画管理方法、作業方法、仕事全体の進め方などの
実態把握と改善業務に活用できるデータでもあります。

そうした記録や事務業務を通じて
現業の仕事を少しでも効率的に、効果的に行うために活用することも、
ハードな毎日の中で大変なことと承知していますが
少しずつ取り組む風土、コミュニケーション文化を形成しつつ
取り組んで頂ければ、また別の働きがいや成果につながるのでは、
と考えます。

日本人の得意な領域なのですから・・・。

いずれにしても
万一架空請求・不正記録が発覚すれば
入居者や社会からの信頼を失い、
事業の存続は不可能にもなりかねないわけで、
そう考えることで抑止力を働かせるのは本末転倒なのですが、
心すべきことではあります。

努力、工夫すべき課題は他に山ほどあると思います。

社会的責任、社会貢献という介護事業自体の本質を考えれば
法や基準の遵守は、当然のことなのは言うまでもないことであります。

 

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結城康博氏著

☆☆☆『介護 現場からの検証』(2008年5月20日・岩波新書)

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☆☆☆☆『在宅介護 「自分で選ぶ」視点から』(2015年8月20日・岩波新書)

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☆☆☆☆『介護破産 働きながら介護を続ける方法』(2017年4月14日・KADOKAWA)

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