ケアマネジャーの仕事がよく分かる居宅介護支援事業契約書(例):介護事業者との契約書、事例紹介-2



先に、サービス付き高齢者住宅(サ高住)事業会社との
入居契約書の例を紹介しました。
(↑ こちらから見て頂けます。)

要介護者(及び要支援者)は、
自身の状態に応じて、介護保険を利用してどんな介護サービスを受ければ良いか、
ケアマネジャー(介護支援専門員)の方に相談して、計画を立ててもらい、
その利用や変更などの運営や管理を支援してもらう必要があります。

もちろん
必要があれば、介護保険が適用されない介護サービスの利用も含みます。

そのためには、ケアマネジャーが所属する居宅介護事業者と
居宅介護支援事業に関する契約を結ぶことになります。

私の場合は
義母が、自宅ではなく、介護施設に入居し、そこを居宅として
介護サービスを受けることになりました。

その施設は、居宅介護支援事業と訪問介護事業を行う事業所を併設しており
その施設自体が行うサービスを把握・勘案し、外部の通所介護事業者
(通称、デイサービス)の活用などを含め、総合的に計画・管理・支援を
行うことになります。

なお、施設と介護サービス事業を一体化して運営することには
一部非難がありますが、その問題については別の機会に取り上げます。

今回、私が実際に身元引受人として取り交わした契約書を
事例として紹介します。

但し
その内容は、一事例であり
事業所や契約内容により、異なる場合があることをご少々ください。

多くの場合、介護を受けるご本人でなく
ご家族の方などが代理者として、こうした契約業務などを進めることに
なるのではないでしょうか。

この契約書例から
ケアマネジャーの仕事がどういうものかが理解できると思います。
少しでも参考になれば幸いです。

 

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契約書
(居宅介護支援事業)

 

 

利用者:◇◇◇◇

事業者:◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯

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◇◇◇◇様(以下、「利用者」といいます)と◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯の営む
◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯居宅介護支援事業所(以下、「事業者」といいます)は、
事業者が利用者に対して行う居宅介護支援について、次のとおり契約します。

第1条(契約の目的)
事業者は、利用者の委託を受けて、利用者に対し介護保険法令の趣旨にしたがつて、居宅
サービス計画の作成を支援し、指定居宅サービス等の提供が確保されるようサービス提供
事業者との連絡調整その他の便宜を図ります。

第2条(契約期間)
1. この契約期間は、平成◯◯年 ◯月 ◯◯ 日から利用者の要介護認定の有効期間満了日
までとします。
2. 契約満了日までに、利用者から事業者に対して、文章による契約終了の申し出がない
場合、契約は自動更新されるものとします。

第3条(介護支援専門員)
事業者は、介護保険法に定める介護支援専門員を利用者へのサービスの担当者として任命
し、その選定または交代を行つた場合は、利用者にその名前を文書で通知します。また、
利用者又はその家族の希望を踏まえつつ、公正中立にケアマネジメントを行います。

第4条(居宅サービス計画作成の支援)
事業者は、次の各号に定める事項を介護支援専門員に担当させ、居宅サービス計画の作成
を支援します。
① 利用者の居宅を訪問し、利用者および家族に面接して情報を収集し、解決すべき課題
を把握します。
② 当該地域における指定居宅サービス事業者等に関するサービスの内容、利用料等の情
報を適正に利用者およびその家族に提供し、利用者にサービスの選択を求めます。
③ 提供されるサービスの目標、その達成時期、サービスを提供する上での留意点等を盛
り込んだ居宅サービス計画の原案を作成します。
④ 居宅サービス計画の原案に位置づけた指定居宅サービス等について、保険給付の対象
となるか否かを区分したうえで、その種類、内容、利用料等について利用者およびその
家族に説明し、利用者から文書による同意を受けます。
⑤ その他、居宅サービス計画作成に関する必要な支援を行います。

第5条(経過観察・再評価)
事業者は、居宅サービス計画作成後、次の各号に定める事項を介護支援専門員に担当させ
ます。
① 利用者およびその家族と毎月連絡を取り、経過の把握に努めます。
② 居宅サービス計画の目標に沿つてサービスが提供されるよう指定居宅サービス事業者
等との連絡調整を行います。
③ 利用者の状態について定期的に再評価を行い、状態の変化等に応じて居宅サービス計
画変更の支援、要介護認定区分変更申請の支援等の必要な対応をします。

第6条(施設入所への支援)
事業者は、利用者が介護保険施設への入院または入所を希望した場合、利用者に介護保険
施設の紹介その他の支援をします。

第7条(居宅サービス計画の変更)
利用者が居宅サービス計画の変更を希望した場合、または事業者が居宅サービス計画の変
更が必要と判断した場合は、事業者と利用者双方の合意をもつて居宅サービス計画を変更
します。

第8条(給付管理)
事業者は、居宅サービス計画作成後、その内容に基づき毎月給付管理票を作成し、国民健
康保険団体連合会に提出します。

第9条(要介護認定等の申請に係る援助)
1. 事業者は、利用者が要介護認定等の更新申請および状態の変化に伴う区分変更の申請
を円滑に行えるよう利用者を援助します。
2 事業者は、利用者が希望する場合は、要介護認定等の申請を利用者に代わつて行いま
す。

第10条(サービスの提供の記録)
1. 事業者は、指定居宅介護支援の提供に関する記録を作成することとし、これをこの契
約終了後5年間保管します。
2. 利用者は、事業者の営業時間内にその事業所にて、当該利用者に関する第1項のサー
ビス実施記録を閲覧できます。
3. 利用者は、当該利用者に関する第1項のサービス実施記録の複写物の交付を受けるこ
とができます。
4. 第12条1項から3項の規定により、利用者または事業者が解約を文書で通知し、かつ、
利用者が希望した場合、事業者は、直近の居宅サービス計画およびその実施状況に関
する書面を作成し、利用者に交付します。

第11条(料金)
(ア) 介護支援専門員取扱件数◯◯件未満の場合
要介護1・2 ◯◯◯◯◯ 円 要介護3・4・5 ◯◯◯◯◯ 円
(イ) 介護支援専門員取扱件数◯◯件以上△△件未満の場合
要介護1・2  ◯◯◯◯ 円 要介護3・4・5  ◯◯◯◯ 円
(ウ) 介護支援専門員取扱件数△△件以上場合
要介護1・2  ◯◯◯◯ 円 要介護3・4・5  ◯◯◯◯ 円

第12条(契約の終了)
1. 利用者は、事業者に対して、◯日間以上の予告期間をもつて、文書で通知をすること
により、いつでもこの契約を解約することができます。
2. 事業者は、やむを得ない事情がある場合、利用者に対して、△ヶ月間の予告期間をお
いて理由を示した文書で通知をすることにより、この契約を解約することができます。
この場合、事業者は当該地域の他の指定居宅介護支援事業者に関する情報を利用者に
提供します。
3. 事業者は、利用者またはその家族が事業者や介護支援専門員に対して、この契約を継
続し難いほどの背任行為を行った場合、文書で通知することにより、直ちにこの契約を
解約することができます。
4. 次の事由に該当した場合は、この契約は自動的に終了します。
① 利用者が介護保険施設に入所した場合
② 利用者の要介護認定区分が、非該当(自立)又は要支援と認定された場合
③ 利用者が死亡した場合

※②は、施設によって規定しない場合があります。

第13条(個人情報の保護)
1. 事業者は利用者個人の情報について「個人情報の保護に関する法律」および厚生労働
省が策定した「医療。介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイ
ドライン」を尊守し適切な取り扱いに努めます。
2. 事業者が得た利用者の個人晴報については、居宅サービス計画書の作成や計画に位置
付けた指定居宅サービス等の提供が確保されるようサービス提供責任者との連携調整以
外の目的では原則的に利用しないものとし、外部への情報提供については必要に応じて
利用者および家族またはその代理人の了承を得るものとします。

第14条(保持)
1. 事業者、介護支援専門員および事業者の使用する者は、サービス提供をする上で知り
得た利用者およびその家族に関する秘密を正当な理由なく第二者に漏らしません。
この守秘義務は契約終了後も同様です。
2. 事業者は、利用者の有する問題や解決すべき課題等についてのサービス担当者会議に
おいて、情報を共有するために個人情報をサービス担当者会議で用いることを、本契約
をもって同意したとみなします。

第15条(賠償責任)
事業者は、サービスの提供にともなって、事業者の責めに帰すべき事由により利用者の
生命・身体・財産に損害を及ぼした場合には、その損害を賠償します。

第16条(身分証携行義務)
介護支援専門員は、常に身分証を携行し、初回訪問時および利用者や利用者家族から提
示を求められた時は、いつでも身分証を提示します。

第17条(相談・苦情対応)
事業者は、利用者からの相談、苦晴等に対応する窓口を設置し、自ら提供した居宅介護
支援または居宅サービス計画に位置づけた指定居宅サービス等に関する利用者の要望、
苦情等に対し、迅速に対応します。

第18条(善管注意義務)
事業者は、利用者より委託された業務を行うにあたっては、法令を遵守し、善良なる管
理者の注意をもってその業務を遂行します。

第19条(本契約に定めない事項)
1. 利用者と事業者は、信義誠実をもつて本契約を履行するものとします。
2. 本契約に定めのない事項については、介護保険法令その他諸法令の定めるところを尊
重し、双方が誠意を持って協議のうえ定めます。

第20条(裁判管轄)
利用者と事業者は、本契約に関してやむを得ず訴訟となる場合は、利用者の住所地を管
轄する裁判所を第一審管轄裁判所とすることを予め合意します。

上記の契約を証するため、本書2通を作成し、利用者、事業者が署名押印の上、1通ずつ
保有するものします。

契約締結日   平成  年  月  日

説明年月日   平成  年  月  日

【利用者】

住 所
氏 名             印

(代理人)
住 所
氏 名             印

(署名代行理由)

【事業所】
所在地
事業所名
(事業所番号第       号 ◯◯県)

【担当居宅介護支援専門員】

氏 名             印
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個人情報使用同意書

 

私(利用者)、及びその家族の個人情報については、以下に記載するとおり
必要最小限の範囲内で使用することに同意します。

1. 使用する目的
(1)居宅サービス計画に沿つて円滑にサービスを提供するために実施される
サービス担当者会議及び介護支援専門員との連絡調整等において必要な場合
(2)情報の提供

2. 使用する事業者の範囲
利用者が提供を受けるすべてのサービス事業者

3. 使用する期間
契約で定める期間

4. 条件
(1) 個人情報の提供は必要最小限とし、提供にあたっては関係者以外の者に
漏れることのないよう細心の注意を払うこと
(2) 個人情報を使用した会議においては、出席者、議事内容等を記録して
おくこと
居宅介護支援事業所名   ◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯

平成  年  月  日
<利用者>
住 所
氏 名             印
利用者は、身体の状況等により署名ができないため、利用者本人の意思を確認のうえ、
私が利用者に代わって、その署名を代筆しました。
<署名代筆者>
住 所
氏 名             印

 

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結城康博氏著

☆☆☆『介護 現場からの検証』(2008年5月20日・岩波新書)

カスタマーレビューページ

☆☆☆☆『在宅介護 「自分で選ぶ」視点から』(2015年8月20日・岩波新書)

カスタマーレビューページ

☆☆☆☆『介護破産 働きながら介護を続ける方法』(2017年4月14日・KADOKAWA)

カスタマーレビューページ
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