
『在宅介護』は、介護業界と介護に関わるすべての方々にお薦めしたい図書:『在宅介護』より(1)
介護業界の方々と、介護者・要介護者、これからそれらに関わるすべての
方々に是非ともお読み頂きたい書が出版されました。
結城康博淑徳大教授による
『在宅介護――「自分で選ぶ」視点から (岩波新書)』です。
その構成は
【序章】
1.姑の介護のために離職した嫁
2.在宅介護は拡がるのか?
3.目まぐるしく変わる制度
4.本書の構成と狙い
【第1章 在宅介護の実態】
1.在宅介護の困難さ
2.二十四時間型ヘルパーサービスの再構築
3.サービス付き高齢者住宅
4.複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)
5.厚生労働省の政策ミス
【第2章 介護業界の限界】
1.介護離職者10万人
2.パラサイトシングル介護者
3.施設は利用しづらい
4.グレーゾーンの介護サービス
5.グレービジネスの惨劇
【第3章 認知症高齢者の急増】
1.認知症高齢者の徘徊
2.急増する認知症高齢者
3.家族形態と地域組織の変容
4.オレンジプランとは
【第4章 在宅介護サービスの使い方】
1.介護保険における負担
2.在宅介護サービスを受けるには
3.ケアマネジャーを決める
4.在宅サービスのあれこれ
5.利用しにくい介護保険サービス
6.質の悪いサービス対策
【第5章 施設と在宅介護】
1.地域包括ケアシステムとは
2.施設あっての在宅介護
3.他の施設系サービス
4.東日本大震災からの教訓
【第6章 医療と介護は表裏一体】
1.在宅医療の現状
2.看護と介護
3.老人保健施設とリハビリテーション
4.在宅介護と看取り
5.医療と介護の考え方
【第7章 介護士不足の問題】
1.介護士不足は深刻
2.介護士という資格
3.介護士養成の難しさ
4.外国人介護士は切り札か
5.介護人材不足に秘策はあるのか?
【第8章 介護保険制度が大きく改正された】
1.二度目の大改正
2.要支援1・2の人はサービス利用が大きく変わる
3.「地域で支える」がキーワード
4.はじめての自己負担二割導入
5.保険料の仕組み変更
6.特別養護老人ホームの申込みは要介護度3から
7.介護予防が変わる
【最終章 これからの在宅介護はどうあるべきか】
1.介護における格差
2.産業としての介護
3.これからの政策と財源論の方向性
4.あるべき日本の介護システム
5.介護は社会投資である
となっています。
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このブログでは、本書を参考にさせて頂き、私の狭く、少ない経験からの
意見を添えさせて頂き、これからの介護を考えていきたいと思います。
まず初めに、<序章>の一部の紹介から始め、次に<最終章>の提言を紹介。
その提言を前提にしながら、<第1章>に戻り、適宜、順に進めていく予定
です。
かなり、長いシリーズになりますが、間に、時々のトピックスを挟んでまい
ります。
この第1回は、
序章の序文を以下に紹介させて頂きました。
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<序章> 1.序文より
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「在宅介護」というと、嫁や娘が自宅で従事し、最期まで看取るといった
印象が先行しがちだろう。
もっとも、最近は「男性介護」と言われ、息子や夫も介護に携わるケース
が増えており全体の三割を占めるようになった。
四〇過ぎの独身や既婚者の男女の多くは、それほど遠くない親の「介護」
について不安を感じている。
全国の著名な女性週刊誌を見ても、「親の介護にいくらかかる?」「介護
は突如としてやってくる!」といった特集が多く組まれている。
長年の知り合いの雑誌編集長に聞くと、「ここ数年「介護」をテーマとし
た記事を企画すると、雑誌の売上げ部数が増える」と話す。
また、子どものいない50代後半から60代の世代は、自分自身の老後に
ついて切実に考えている。
多くのマスコミを通して、公的施設に入所しづらい話を耳にする機会が多
く、「いつまで独り、もしくは夫婦で、在宅介護が続けられるのか?」とい
った不安が募るのだろう。
※次回は、序章2の<在宅介護は拡がるのか?>を取り上げます。
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妻が、一昨年、一足先に前期高齢者の仲間入りをし、今年3月に私も、追い
ついてその仲間に。
どちらも認知症にかかった明治40年生まれだった父と大正2年生まれだっ
た母は、私の次兄夫婦が介護をしてくれ、どちらも92歳で亡くなりました。
二人から時々聞いた、認知症にかかってからの介護の大変さは、直接関わっ
た者にしかわからないものです。
妻の両親は、妻が小さい時に離婚し、義父は施設で70歳代で逝去。
義母とは、私たちが30代前半、義母の60代初めに同居を始め、以後彼女
は、家事を担当することなく、自分の保険の外交の仕事だけに専念し、90歳
まで続けてリタイア。
昨年93歳の時に、脚を骨折し、入院手術・リハビリ、要介護1の認定を経
て、今年3月、サービス付き高齢者住宅(サ高住)に入所してもらいました。
もちろん、本人は、自宅に戻りたいという気持ち一心でしたが・・・。
妻が自宅介護できる健康状態ではなく、長く続いた母子関係のあり方の問題
もあり、私が極力前面に出て、種々の対応を行いました。
今は、毎週、自宅から近いその介護施設に、果物などを届けている状況です
いわゆる老老介護のようなミニ経験をしつつ、自分たちの介護の心配もしつ
つ、といった日々を送っているわけですが、自分たちの子どもたちには、極力
介護の世話にならないで済むようにしたいもの、というのが二人の共通認識。
現在の介護をめぐる問題や日々感じる疑問。
そうした観点を、本書の内容とすり合わせることで、お読み頂ける方々への
なにかしらのヒントや参考になれば・・・。
ただそれだけの思いをもって、このシリーズを始めたいと思います。
間延びして、退屈にお感じになるかと思いますが、お付き合い頂ければ幸い
です。
なお、「男性介護」問題については、先に
『男性漂流 男たちは何におびえているか』(奥田祥子さん著)
の<第3章 介護がこわい>を用いて
当ブログでシリーズ化し、終了しています。
このことを、http://世代通信.net/lifestge/ で
「ミドルエイジクライシスを乗り越えるヒント『男性漂流』から、男性介護問題を考えるブログ」
と紹介しています。
同書共々、ご覧いただければと思います。
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