「介護離職」発生1割。「介護離職増」予想7割 :東京商工リサーチ・「介護離職」に関するアンケート調査から(1)

2017/1/22付日経で、東京商工リサーチが発表した<「介護離職」に関するアンケート調査>
の概要を以下のように報じました。

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 介護離職、企業の7割「増える」 民間調べ
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 東京商工リサーチが民間企業7391社に対して実施した調査で、過去1年間の間に介護離職者
が全体の9.8%にあたる724社で発生していたことが分かった。
 将来介護離職者が増えると回答した企業も5272社(71.3%)に上った。

 介護離職者が増えると考える理由を「従業員の高齢化」と答えた企業が8割に上った。
 介護休業制度の不備などを理由に挙げた企業もあった。

 仕事と介護の両立に向けた取り組みについては、5割の企業が「介護休業制度の明文化」と
回答した。

 「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者になる2025年前後は、仕事と介護の両立に悩む人が
さらに増えることが見込まれている。
 政府はこの「2025年問題」を踏まえ、20年までに「介護離職ゼロ」の実現を目指している。
 介護と仕事を両立させる環境の整備に向け、国や自治体なども含む支援強化が必要になりそ
うだ。


 

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上記記事から、東京商工リサーチのHPでリリースされている内容を一部省略修正し、2回に
分けて引用転載します。

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<調査概要>:2016年11月17日~28日、インターネット・アンケート。
       有効回答・7,391社
◆資本金1億円以上を大企業、同1億円未満を中小企業と定義。
個人企業は資本金1億円未満に算入、中小企業に区分。

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 【「介護離職」に関するアンケート調査(1)】
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<Q1:過去1年間(2015年11月~2016年10月)での介護離職者の有無>
◆介護離職は企業規模で格差

 「ある」724社(構成比9.8%)、「ない」5,612社(同75.9%)。全体の約1割の企業で発生。
 資本金別では、1億円以上の大企業で、「ある」244社(同11.3%)、「ない」1,150社(同53.5%)。
 1億円未満の中小企業では、「ある」480社(同9.1%)、「ない」4,462社(同85.0%)。
 従業員の多い大企業ほど、中小企業より介護離職者の発生割合が高かった。

<Q2:過去1年間の介護離職者数>(Q1「ある」回答企業。択一回答)
◆「介護離職者数」の最多は1名で7割

 724社のうち、介護離職者の人数について545社が回答。
 介護離職者数の最多は、「1名」の388社(構成比71.1%)で7割を占めた。
 資本金別では、1億円以上では150社のうち、最多は「1名」の93社(同62.0%)。
 1億円未満では、395社のうち「1名」は295社(構成比74.6%)。
 ただ、「6名以上」は、資本金1億円以上が2社(同1.3%)、同1億円未満は6社(同1.5%)と、
離職者数別でみると介護離職は中小企業ほど深刻な状況にある。

<Q3:将来的に介護離職が増えると思うか>(択一回答)
◆7割の企業が介護離職は「増加」と想定

 最多は、「増えると思う」が5,272社(71.3%)で約7割。
 次いで、「変わらないと思う」1,866社(25.2%)。
 資本金別では、「増えると思う」は1億円以上が1,661社(77.3%)、1億円未満では
3,611社(同68.8%)で、大企業が中小企業より約10ポイント高い。
「減ると思う」は、資本金1億円以上では22社(1.0%)、1億円未満では49社(0.9%)
でいずれも少数にとどまった。

<Q4:「増えると思う」と回答の理由>(複数回答)
社会を反映し「従業員の高齢化」が上位、「独身者の増加」も

 「増えると思う」と回答した5,272社のうち、最多は「従業員の高齢化に伴い家族も高齢化し
ているため」で4,318社(81.9%)と約8割を占めた。

 次いで、「現在の介護休業、介護休暇制度だけでは働きながらの介護に限界があるため」
3,060社(58.0%)、「公的な介護サービス縮小による従業員の介護負担増」1,821社(34.5%)。

「その他」では、「独身、未婚者が多い」21社(0.3%)、「核家族化と共働きの増加で介護を
担当できるものがいない」、「一人っ子が多いため、兄弟でサポートすることができない」など。
核家族化、少子化の余波が介護の現場に影響を与えそうだ。

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 ここまでは、介護離職の実態と予想に関する回答分析です。

今年1月1日に改正育児・介護休業法が施行されました。
2017年1月1日施行改正育児・介護休業法:日経社説主張の<働き方改革>の根幹を考える

 アンケート自体は、昨年11月に行われたものですが、その時点では、改正法の概要は分かって
いたはずです。
しかし、当然のことながら、いかに法改正したところで、介護生活の厳しさや、いつ親の介護
生活に入らなければならなくなるかは、予想困難です。
介護離職ゼロ化は、口で言うほど簡単なものではないことは、だれもが感じていること。
その不安が、経営者に対するアンケートでも明確に表れており、予想の範囲と言えます。

同分析の冒頭では、以下のように、介護問題について述べています。
以下に転載して、1回目の締めくくりとします。

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 政府は、親族の介護を理由にした離職や転職などの「介護離職」のゼロを目標に掲げている。
 日本は人口減少のスピード以上に生産年齢人口が減る可能性が高く、GDP600兆円の達成に
は介護離職をいかに抑え、働き手を確保できるかが重要になっている。
 2015年8月に介護サービス利用の自己負担の割合が1割から一部の人は2割に引き上げられた。
 また、2015年度には介護給付費が10兆円を突破した。
 今後も介護給付費の増加が見込まれており、「社会保障費」の抑制が急務になっている。
 しかし、過度な抑制は介護サービスの質の低下や利用率の減少に直結しかねず、「介護離職」
ゼロと「社会保障費の抑制」のジレンマを抱えながら難しい舵取りを迫られている。

 次回は、介護離職抑制にいかに取り組むか、などに関する質問・回答と分析を紹介します。

 

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