ご存知ですか、認知症行動障害尺度における質問項目:『在宅介護』<認知症高齢者の急増>から(5)

良書 『在宅介護――「自分で選ぶ」視点から
結城康博氏著・2015/8/20刊)
を紹介しながら、介護問題を考えるシリーズ。

残していた「第3章 認知症高齢者の急増」に入っています。
第1回:考え得る認知症徘徊高齢者対策、すべてを進めるべき社会
第2回:見通せない、認知症高齢者徘徊事故発生と賠償責任リスク
第3回:日常生活自立度Ⅱ以上の認知症高齢者400万人時代へ
第4回:特殊詐欺被害者、運転事故加害者。認知症高齢者の日常生活リスク

今回は、第5回(通算82回)です。

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 2.急増する認知症高齢者(3)

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受診を嫌がる

 繰り返すが、認知症の疑いのある高齢者に対して受診を促しても、断固として応じない場合
は少なくない。家族であっても受診の促しは難しいケースもある。「自分は元気で、病院に行
く必要はない。どこも悪くない、お節介だ!」といった反応だ。

 ヘルパーサービスなど、週1回介護保険サービスを活用している場合、「モノ取られ妄想」
ともいうべきトラブルが生じることもある。筆者が、ケアマネジャーだったとき、軽い認知症
要介護者から、「ドライヤーが盗まれた!きっとヘルパーが盗んだに違いない!」と言いはる
電話を受けたことを思い出す。筆者は慌ててヘルパーと高齢者宅に赴き、誤解を解くことに努
め部屋中を探し、ようやく箪笥の中にしまってあるのを見つけた。普通に考えれば、箪笥の中
にドライヤーをしまう筈はないが、認知症の方は思いもよらぬ行動をとる。疑いをかけられた
ヘルパーも、たとえ認知症高齢者と認識していても、感情的に穏やかではなく、お互いの信
関係を再構築するのに、しばらく時間がかかった。

 なお、65歳未満の人が「若年性認知症」と診断される症例も少なくない。
 2006年に映画化された渡辺謙主演『明日の記憶』は、現役サラリーマンが若年性アルツハイ
マー型認知症を患った後の人生を描く物語が話題となり、世間でも「若年性認知症」が徐々に
周知されるようになっている。明確な患者数は不明だが、厚労省研究班の研究調査に基づけば、
約3万8000人と見込まれるという。(2009年)

早期発見と早期治療

 認知症に関して家族や近所の人が心がけておくべきことは、認知症の疑いのある人に気づい
たら早期受診を促して何らかのサービスにつなげていくことである。
 たとえば、ある独居高齢者が、「ごみ出しの日を間違える」「近所の人とあいさつせず不愛
想である」「入浴していないようで身なりが不衛生」などで、近所から嫌われているとしよう。
 普通の人は、「変な高齢者だ」「怪しい人だ」「あまり関わらないようにしよう」と思うに
違いない。しかし、認知症の知識を身につけた地域の人がいたとしたら、「もすかして、あの
高齢者は認知症では?」と思い描くであろう。

 そうなれば、たとえ独居高齢者であっても、専門機関に連絡して訪問などにつなげることが
できる。現在、厚労省は、先の地域包括支援センターを主体に「認知症初期集中支援チーム
を構築し、何らかのシグナルの報告がなされると、社会福祉士や保健師などが、訪問して認知
症の疑いのある人と接していくシステムを促進している。もちろん、同居家族などが、これら
のチームに連絡して訪問してもらうことも可能だ。

 訪問によって多様な支援がなされるが、たとえば、認知症の疑いのある高齢者にいくつかの
質問をして、その疑いがあるか否かをアセスメントしていく。これらはあくまでも専門的な教
育を受けた保健師などが行うことになっている。(以下のリスト)

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【認知症行動障害尺度における質問項目】
1  同じことを何度も何度も聞く
2  よく物をなくしたり、置場所を間違えたり、隠したりしている
3  日常的な物事に関心を示さない
4  特別な理由がないのに夜中起き出す
5  特別な根拠もないのに人に言いがかりをつける
6  昼間、寝てばかりいる
7  やたら歩き回る
8  同じ動作をいつまでも繰り返す
9  口汚くののしる
10 場違いあるいは季節に合わない不適切な服装をする
11 世話をされるのを拒否する
12 明らかな理由なしに物を貯め込む
13 引き出しやタンスの中身を全部だしてしまう

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5

次回に続きます。

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「認知症行動障害」の事例。
認知症に罹る前に、認識しておくことが必要と思います。
そうした兆候を自身で感じることが出てきたら・・・。

もちろん家族も、認知症の早期発見という意味からも、知っておきたいですし、それぞれの
項目は、見聞きすることがある例ばかり・・・。

もう亡くなって10年以上経ちますが、既に認知症に罹っていた私の母が、夫(私たちの父)
の葬儀の時に突然、夫を罵り、驚かされたことがあります。
愚痴は聞かされたことがあったのですが、まさに口汚くののしった・・・。
二人とも92歳で亡くなったのですが、面倒をみてくれた次兄夫婦から、ひどかった認知症の
状況を以前耳にし、在宅介護の大変さを強く感じさせられたものです。

今、95歳でサ高住に入ってもらっている義母は、入所前自宅にいるときには、認知症の初期
症状が出始めていたのですが、入所後は、人の目を意識し、緊張感があるためか、反対にしっ
かりしてきたと感じました。
入所時は、要介護1の認定でしたが、1年後には要支援2に改善が見られたと認定変更が。
そして、今月の更新認定では、少し健康上、老いが来たか、要介護1に戻る認定を先週受け
たところです。
上の項目でいうと、少し被害妄想的な点があり、言いがかり的な言動が少し見られる程度で
しょうか。認知症とまでは、いかないレベルでは、と思います。
しかし、少しずつ、認知症に近づいていくのでは、と覚悟はしています。

9

※次回は、「3.家族形態と地域組織の変容」です。

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在宅介護――「自分で選ぶ」視点からブログリスト>>

「序章」
第1回:『在宅介護』は、介護業界と介護に関わるすべての方々にお薦めしたい図書
第2回:家族構成の変容が、家族による在宅介護を困難に
第3回:変わりつつある、介護施設・在宅介護への認識
第4回:結城康博教授の、これからの介護のあり方への提言に期待して

「第1章 在宅介護の実態」
第24回介護離職の根本原因としての在宅介護
第25回:親の介護と愛情の持ち方、表現の仕方
第26回:在宅介護を支える訪問介護・居宅介護サービス介護士の負担
第27回:実現困難な理想としての介護サービスは一面、非人間的
第28回:在宅介護が困難な場合の介護サービス付き高齢者住宅、サ高住
第29回厚生年金でほぼ賄える「サ高住」が理想
第30回:「小規模多機能型居宅介護」という名称自体、分かりにくい
第31回:(看護)小規模多機能型居宅介護事業は、小規模では成り立たない
第32回だれでも、どこでも、いつでもできる介護サービス事業か?

「第2章 家族介護の限界」
第33回:企業任せの政治、介護休業制度で介護離職を抑止できるか?
第34回:介護休暇制度を「介護休業制度」と呼ぶ矛盾
第35回:企業福祉と社会福祉の狭間で考える介護休業制度
第36回:パラサイトシングル介護者を生み出す親子関係の根深さ
第37回:介護虐待で考える、介護者・要介護者の人権
第38回:特養入所条件要介護度3以上で、待機高齢者はどうなった?
第39回:お泊り付デイサービスがグレー化するリスク
第40回:劣悪化する介護事業の原因の一端は、低所得高齢者政策の欠如に
第41回:住宅型有料老人ホーム事業がグレーからブラック化する前に
第42回:独居高齢者・高齢者夫婦世帯の増加で困難になる在宅介護・家族介護
第43回:国・自治体の介護行政無策のしわ寄せが介護事故・事件を招く

「第4章 在宅介護サービスの使い方」
第44回上がり続ける介護保険料。介護保険制度の基本を知る①
第45回:介護報酬・介護保険サービス料の基礎知識。介護保険制度の基本を知る②
第46回:要介護認定の仕組み・手続きと認定調査
第47回:要介護認定システムの客観性・信憑性問題による認定率格差と介護給付格差
第48回:要介護度レベルと認定方法の簡素化の余地がある介護保険法
第49回:ケアマネジャーが介護生活の質を左右する
第50回:生活援助サービスの短縮化・低下は已むを得ないか?
第51回:デイサービス、デイケア、ショートステイの利用法
第52回:介護サービスを受けるために欠かせない「地域包括支援センター」の役割
第53回:介護保険サービスの適用範囲、基準の難しさ
第54回:自費負担の介護保険外サービスが増えるのは、やむを得ない?
第55回:トラブルを避けるための介護サービスに関する「苦情」相談とコミュニケーション

「第5章 施設と在宅介護」
第56回:地域包括ケアシステムの基本にある仕事以外の要素
第57回:責任回避の自助・互助介護政策化。公的サービス責任が先
第58回:施設介護と在宅介護の関係を考えてみる(1)
第59回:施設介護と在宅介護の関係を考えてみる(2)
第60回:養護老人ホーム・軽費老人ホーム(ケアハウス)の再編成を!

第61回
入居介護施設の選び方

「第6章 医療と介護は表裏一体」
第61回:ある日突然のケガ・病気からの介護が・・・
第62回:地域包括ケアを知っておきましょう
第63回:医療療養型、介護療養型、回復期リハビリ、地域包括ケア病棟etc.
第64回:同じ医療行為でも、看護師と介護士で料金が違うことの疑問
第65回:服薬管理、口腔ケアは、看護師・介護士の高齢者ケアの基本
第66回:回復期病棟から戻って考える施設介護と在宅介護
第67回:リハビリ実体験で思う在宅介護高齢者の自宅リハビリの必要性
第68回:福祉用具・介護ベッドの介護保険適用レンタルサービスは守るべき!
第69回:介護報酬のジレンマ、予防介護で高齢者超長寿命化のジレンマ?
第70回:介護予防で健康寿命が延びると介護給付を抑制できるか?
第72回:在宅介護政策へ誘導するための「介護と最期は自宅で」高齢者意識調査
第73回:介護施設での看取りが年々増加
第74回:在宅系看護師不足が示す、在宅介護の困難さと同様の在宅医療
第75回:自宅で看取りは果たして理想か?在宅医療・在宅介護への疑問
第76回:独居高齢者・高齢夫婦世帯のための包括的生活支援契約事業
第77回:高齢者医療・介護は、最期のあり方を問うこと

「第7章 介護士不足の問題」
第15回:介護士有資格者の大半が潜在介護士化する現状
第16回:介護職員初任者・介護福祉士。介護士資格・キャリアパス課題
第17回:福祉系学卒者のキャリアパスと介護業界の責任
第18回:介護職は人生設計上適切な選択か?学生にとって厳しい現実
第19回:失業者・新卒者・潜在介護士。介護業界が自ら変わるべき課題
第20回:外国人介護士候補者・希望者の受入れを国・自治体・業界上げて
第21回:元気な高齢者が介護業務を補完する
第22回:高齢者介護士活用のポイント
第23回:他産業との賃金格差、人

「最終章 これからの在宅介護はどうあるべきか」
第5回:多重介護、年金受給額差、高齢者間経済格差にみる介護問題
第6回:介護保険制度と年金制度運用方法をめぐる課題

第7回これからの混合介護のあり方を考える
第8回介護事業の性質から考えるべきこと
第9回:介護事業がFCビジネスに不適な理由
第10回介護保険料・公費負担・自己負担増。介護保険制度と財源めぐる課題
第11回福祉循環型社会システムは景気回復につながるか?
第12回複雑化する介護保険制度をシンプルに
第13回:地域の実情に応じた在宅介護・施設介護政策の必要性
第14回:介護制度コストと介護職賃金は社会投資か?

kai16

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