介護施設での看取りが年々増加:『在宅介護』<医療と介護は表裏一体>から(12)

良書 『在宅介護――「自分で選ぶ」視点から
結城康博氏著・2015/8/20刊)
を紹介しながら、介護問題を考えるシリーズ。

「第6章 医療と介護は表裏一体」

第1回:ある日突然のケガ・病気からの介護が・・・
第2回:地域包括ケアを知っておきましょう
第3回:医療療養型、介護療養型、回復期リハビリ、地域包括ケア病棟etc.
第4回:同じ医療行為でも、看護師と介護士で料金が違うことの疑問
第5回:服薬管理、口腔ケアは、看護師・介護士の高齢者ケアの基本
第6回:回復期病棟から戻って考える施設介護と在宅介護
第7回:リハビリ実体験で思う在宅介護高齢者の自宅リハビリの必要性
第8回:福祉用具・介護ベッドの介護保険適用レンタルサービスは守るべき!
第9回:介護報酬のジレンマ、予防介護で高齢者超長寿命化のジレンマ?
第10回:介護予防で健康寿命が延びると介護給付を抑制できるか?
第11回:在宅介護政策へ誘導するための「介護と最期は自宅で」高齢者意識調査

第12回(通算73回)です。

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 4.在宅介護と看取り(2

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看取りと介護の連続性

 なぜ、看取りの認識が重要かといえば、介護の先に必ず「死」というエピローグが
あり、ケースによって多少は異なるものの、医療と介護は連続性の関係にあるからだ。

 1980年代から医療技術の進展により、吸引器、胃ろう器具、在宅酸素機器などがコ
ンパクト化され、従来、病院などの医療施設で専門職でなければ処置することができ
なかったケアが、現在では親族などの素人でも訓練さえすれば充分に対応できるよう
になった。

 つまり、これら医療行為を病院などの医療施設のみでなく、介護施設や在宅など、
医療系専門職が常駐していない「空間」でも施すことが可能になったのである。
 そして、一定の医療ケアが医療施設以外で施されれば、介護と医療が直線で結びつ
くことになり、その先の「看取り」という人の最期を介護現場でも考えざるをえなく
なった。

 筆者は、1990年の大学生時に福祉実習に基づき特養で介護体験をした。
 その時代は、介護施設に入所し病気などで体調が悪化すれば、医療施設へ入院する
ことが常識であった。
 介護施設で看取りまでケアすることは、全国的にも稀であった。

 20年以上経った現在、介護施設での看取り件数は徐々に増えている
 それに対して病院で亡くなるケースが徐々に減少しているのだ。
 これは政府の医療機関における退院日数の短縮施策にも大きく関連するが、この
ような施策が可能になったのも医療技術の進展によることを忘れてはならない。

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 文中の推移のデータを厚労省HPで探したのですが、一つでカバーできるものが
なく、最近の年次で欠落している表と、ほぼカバーできているグラフの2つを引用
しました。

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下のグラフで、戦後以降の傾向がはっきりと分かります。

看取りまで行うことを明示する介護施設が増えました。
自宅で最期を迎える率も、ここ10年くらいは微増あるいは維持傾向ですね。
在宅介護を推進していることが一因かもしれません。

独居高齢者が、介護施設に入居し、そこで最期を迎えるのが普通になる時代が来ると
思っています。
仮に私も一人になり、介護が必要になれば、その生き方・その死に方を選択したいと
思います。

ただ、今互いに前期高齢者である私たち夫婦のどちらかが、在宅医療を必要とし、ど
ちらかが、自分でできる医療行為で対応できる場合どうするか・・・。
重い要介護状態ならば、介護施設で対応したいと思いますが、さほど重度な介護を必
要とせず、在宅で可能な医療レベルで可能ならば、在宅医療を選択することでしょう。
症状にもよりますが・・・。

私個人では、自宅で最期を迎えたいとはまったく思っていません。
施設で最期を迎え、そのまま直葬もそこそこに、火葬してもらい、お墓も要らない。
それで、さよなら、で良いと思っています。

3

次回は、<医療と介護の連携> です。

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「序章」
第1回:『在宅介護』は、介護業界と介護に関わるすべての方々にお薦めしたい図書
第2回:家族構成の変容が、家族による在宅介護を困難に
第3回:変わりつつある、介護施設・在宅介護への認識
第4回:結城康博教授の、これからの介護のあり方への提言に期待して

「第1章 在宅介護の実態」
第24回介護離職の根本原因としての在宅介護
第25回:親の介護と愛情の持ち方、表現の仕方
第26回:在宅介護を支える訪問介護・居宅介護サービス介護士の負担
第27回:実現困難な理想としての介護サービスは一面、非人間的
第28回:在宅介護が困難な場合の介護サービス付き高齢者住宅、サ高住
第29回厚生年金でほぼ賄える「サ高住」が理想
第30回:「小規模多機能型居宅介護」という名称自体、分かりにくい
第31回:(看護)小規模多機能型居宅介護事業は、小規模では成り立たない
第32回だれでも、どこでも、いつでもできる介護サービス事業か?

「第2章 家族介護の限界」
第33回:企業任せの政治、介護休業制度で介護離職を抑止できるか?
第34回:介護休暇制度を「介護休業制度」と呼ぶ矛盾
第35回:企業福祉と社会福祉の狭間で考える介護休業制度
第36回:パラサイトシングル介護者を生み出す親子関係の根深さ
第37回:介護虐待で考える、介護者・要介護者の人権
第38回:特養入所条件要介護度3以上で、待機高齢者はどうなった?
第39回:お泊り付デイサービスがグレー化するリスク
第40回:劣悪化する介護事業の原因の一端は、低所得高齢者政策の欠如に
第41回:住宅型有料老人ホーム事業がグレーからブラック化する前に
第42回:独居高齢者・高齢者夫婦世帯の増加で困難になる在宅介護・家族介護
第43回:国・自治体の介護行政無策のしわ寄せが介護事故・事件を招く

「第4章 在宅介護サービスの使い方」
第44回上がり続ける介護保険料。介護保険制度の基本を知る①
第45回:介護報酬・介護保険サービス料の基礎知識。介護保険制度の基本を知る②
第46回:要介護認定の仕組み・手続きと認定調査
第47回:要介護認定システムの客観性・信憑性問題による認定率格差と介護給付格差
第48回:要介護度レベルと認定方法の簡素化の余地がある介護保険法
第49回:ケアマネジャーが介護生活の質を左右する
第50回:生活援助サービスの短縮化・低下は已むを得ないか?
第51回:デイサービス、デイケア、ショートステイの利用法
第52回:介護サービスを受けるために欠かせない「地域包括支援センター」の役割
第53回:介護保険サービスの適用範囲、基準の難しさ
第54回:自費負担の介護保険外サービスが増えるのは、やむを得ない?
第55回:トラブルを避けるための介護サービスに関する「苦情」相談とコミュニケーション

「第5章 施設と在宅介護」
第56回:地域包括ケアシステムの基本にある仕事以外の要素
第57回:責任回避の自助・互助介護政策化。公的サービス責任が先
第58回:施設介護と在宅介護の関係を考えてみる(1)
第59回:施設介護と在宅介護の関係を考えてみる(2)
第60回:養護老人ホーム・軽費老人ホーム(ケアハウス)の再編成を!
第61回
入居介護施設の選び方

「第7章 介護士不足の問題」
第15回:介護士有資格者の大半が潜在介護士化する現状
第16回:介護職員初任者・介護福祉士。介護士資格・キャリアパス課題
第17回:福祉系学卒者のキャリアパスと介護業界の責任
第18回:介護職は人生設計上適切な選択か?学生にとって厳しい現実
第19回:失業者・新卒者・潜在介護士。介護業界が自ら変わるべき課題
第20回:外国人介護士候補者・希望者の受入れを国・自治体・業界上げて
第21回:元気な高齢者が介護業務を補完する
第22回:高齢者介護士活用のポイント
第23回:他産業との賃金格差、人

「最終章 これからの在宅介護はどうあるべきか」
第5回:多重介護、年金受給額差、高齢者間経済格差にみる介護問題
第6回:介護保険制度と年金制度運用方法をめぐる課題

第7回これからの混合介護のあり方を考える
第8回介護事業の性質から考えるべきこと
第9回:介護事業がFCビジネスに不適な理由
第10回介護保険料・公費負担・自己負担増。介護保険制度と財源めぐる課題
第11回福祉循環型社会システムは景気回復につながるか?
第12回複雑化する介護保険制度をシンプルに
第13回:地域の実情に応じた在宅介護・施設介護政策の必要性
第14回:介護制度コストと介護職賃金は社会投資か?

kai16

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