
要介護認定の仕組み・手続きと認定調査:『在宅介護』<在宅介護サービスの使い方>から(3)
好著 『在宅介護――「自分で選ぶ」視点から』(結城康博氏著・2015/8/20刊)
を紹介しながら、介護問題を考えるシリーズ。
5月は、「第4章 在宅介護サービスの使い方」を紹介しながら考えます。
第1回:上がり続ける介護保険料。介護保険制度の基本を知る①
第2回:介護報酬・介護保険サービス料の基礎知識。介護保険制度の基本を知る②
今回は第3回(通算46回)です。
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2.在宅介護サービスを受けるには(1)
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<要介護認定の仕組み>
基本的に介護保険サービスを利用できる対象者は、65歳以上の要介護高齢者もしく
は要支援者といった認定を受けた人。
もしくは、40歳以上65歳未満で17特定疾病のうちどれかにあてはまり、同様に認定
を受けた人だ。
要介護認定申請を行う際には、市役所の介護保険課もしくは近所の「地域包括セン
ター」という相談機関で、要介護認定の手続きを行うことになる。
もちろん本人の体調が悪ければ家族やケアマネジャーが代わりに手続きを行うこと
になる。
用紙に2枚に必要事項を書くのだが、たとえば訪問調査員が自宅を訪れるために連
絡事項を書くことになる。
40歳以上65歳未満の場合には、先の特定疾病も明記することになる。
なお、脳梗塞などで病院に搬送され入院期間中に家族やケアマネジャーが手続きを
して、ベッドサイドで認定調査を行うケースも珍しくない。
<調査の内容>
認定申請の手続きが終わると、約1週間前後で役所から訪問調査員が自宅を訪ね心
身の状態を見分けるための76項目による調査を行う。
たとえば、「自分の名前は?」「生年月日は?」などと口頭で受け応えする。
もしくは、実際に「片足で立てますか?」「立ち上がりはできますか?」などと
いった動作確認もしてもらう。
調査時間は60分前後で終わるが、認知症の疑いがあったり独居高齢者で普段の生
活が調査に反映されにくいケースには、家族やケアマネジャー、ヘルパーなどとい
った日頃から関わっている人にも参加してもらうことがある。
これらの関係者の話は、「特記事項」という箇所に詳細が記載されるため、最終
的な審査結果にも大きく影響する。
この認定プロセスでは、普段の「かかりつけ医」による「医師意見書」が重要と
なる。
ただし、高齢者が改めて認定手続きをした場合には、受診する必要はなく、手続
きの際に「かかりつけ医」を記載する箇所があり、市役所が事務的に「かかりつけ
医」に意見書を求めることとなる。
一方で、全く受診していない高齢者が要介護認定の手続きをするとなると、新た
に受診して「かかりつけ医」を決めないと要介護認定調査のプロセスは進まない。
※次項に続きます。
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今回は、『在宅介護――「自分で選ぶ」視点から』の内容を転載した形でとど
めています。
しかし、このブログサイトを始めた初期に、
◆要介護認定申請と認定調査員訪問日程の決定:要介護認定申請から認定までの手順-1(2015/2/14)
◆要介護認定調査・審査の流れと調査項目の概要:要介護認定申請から認定までの手順-2(2015/2/23)
◆要介護認定調査の基本調査項目:要介護認定申請から認定までの手順-3(2015/2/24)
◆要介護認定と介護保険被保険者証の交付:要介護認定申請から認定までの手順-4(2015/2/26)
と4回のシリーズで、今回の内容について、実際の私の義母の認定申請の経験を
元に、具体的に紹介しています。
関心をお持ち頂けましたら、チェックしてみてください。
文中の<17特定疾病>は、
(1)がん(末期)
(2)関節リウマチ
(3)筋萎縮性側索硬化症
(4)後縦靭帯骨化症
(5)骨折を伴う骨粗しょう症
(6)初老期における認知症
(7)進行性核上性麻痺、
(8)大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
(9)脊髄小脳変性症
(10)脊柱管狭窄症
(11)早老症
(12)多系統萎縮症
(13)糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
(14)脳血管疾患
(15)閉塞性動脈硬化症
(16)慢性閉塞性肺疾患
(17)両側の膝疾患または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
です。
私の義母のケースでは、骨折入院・手術 ⇒ リハビリ病院転院とリハビリ ⇒ サ高住
へ入居、というプロセスを経て、認定申請・認定調査・認定決定という流れで経験
しました。
認定調査の面接は、リハビリ入院先の病院で、看護師さんと私も同席して行いま
した。
ちなみに、今年1月に、1年後の認定更新申請があり、入居されている他の高齢
者との関係などで気持ちになりが出たのか、以前よりも元気になり、<要介護1>
が<要支援2>に認定が変更になってしまいました。
この時の調査面接は、入居先のサ高住で、介護士さんと私が同席して行いました。
現状介護に縁がない方々も、介護の入り口に当たるこの手続きについては、基礎知
識として知っておくか、すぐに調べることができるようにしておくこと、お薦めし
ます。
次回は、<妥当性・客観性を欠く認定結果> です。
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