2015年の日本人の平均寿命は女性87.05歳、男性80.79歳:『もう親を捨てるしかない』から(14) 

もう親を捨てるしかない 介護・葬式・遺産は、要らない
島田裕已氏著・2016/5/30刊)を紹介しながら考えるシリーズです。

現在第2章に入っています。
これまでの投稿は、後方にリスト化しています。

「第2章 日本人は長生きし過ぎる」
第12回:今一度、認知症徘徊事故訴訟 最高裁判決から考える
第13回:ポケGO!ではない、認知症GO!は仮想現実? 

と進み、今回は第14回です。

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 第2章 日本人は長生きし過ぎる(3)
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年々延び続ける日本人の平均寿命

 高齢者を家に抱えることは、その家にとって大きなリスクである。
介護の負担が生じる可能性があるし、介護される側が認知症にでもなれば、肉体的な
負担も増え、さらには精神的なストレスが高じる。
しかも、徘徊によって事故を起こす危険性があり、そうなれば、多額の賠償金を請求
されることもあるわけだ。

 高齢者を家に抱えることは、今にはじまったことではない。昔から、そうしたことは
いくらでも行われてきた。
ところが、最近になってそれ自体がリスクになったきた。それは新しい事態である。
なぜ、高齢者を家に抱えることがリスクになったのか。
一つには、日本人があまりにも長生きするようになったからである。

 2014年における日本人の平均寿命は、男性が80.50歳で、女性が86.83歳である。
男性が80歳を超えたのは前年の2013年からのことである。
つまり、男女とも80歳代まで生きるのが当たり前になってきた。 

 年末になると私のところにも喪中葉書が送られてくるが、毎年それを見ていると、亡
くなった人間の年齢がほとんど80歳を超えていて、むしろ90歳代が多いことに気づかさ
れるようになってきた。
もちろん、なかには40歳代で亡くなったという方もあるが、今まで受けとった最高齢
は101歳だった。

100歳以上の高齢者は、2015年9月の時点で6万1568人である。
 この数は45年連続で増えているわけだから、そんな例があっても少しも不思議ではない。

 戦国時代に天下統一をめざした織田信長は、「人間五十年、化天のうちをくらぶれば夢
幻の如くなり。ひとたび生を受け滅せぬもののあるべきか」という幸若舞の敦盛の一節を
好んでうたっていたとされるが、それからおよそ400年がたって、「人間100年」の時代
が訪れたことになる。

 平均寿命は、このところ延びが続いており、戦後はおおむねその傾向にある。
 私たちはすっかりそれに慣れてしまっているが、昔は決してそうではなかった。
 戦後間もない1947年の時点の平均寿命は、男性が50.06歳、女性が53.96歳だった。
 この時点では、まだ人間50年だったことになる。信長の時代と変わらないのだ。

 それが、高度経済成長がすでにはじまっていた1960年には、男性が65.32歳、女性は
70.19歳に延びた。1947年と比べれば、わずか13年で急激に延びたことになる。
 その後も、1995年や2011年には、阪神・淡路大地震や東日本大震災といった大災害が
起こり、多数の死者が出たことで、その年には平均寿命は一時的に短くなったものの、
全体の傾向としてはまだまだ延び続けている。

長寿

※次項に続きます。
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ちょうど先日、2015年の平均寿命が発表されました。
20176/7/28付日経記事から、一部引用転載します。

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2015年の日本人の平均寿命は女性87.05歳、男性80.79歳で、いずれも過去最高を
更新
したことが7月27日、厚生労働省の調査で分かった。
 がんや心臓病などの治療成績の向上が要因とみられる。

 14年と比べて女性が0.22歳、男性は0.29歳延びた
 過去最高の更新は女性が3年連続、男性は4年連続。
 日本人の平均寿命は戦後ほぼ一貫して延び続けてきた。
 厚労省は「医療技術の進歩などで平均寿命はまだ延びる余地がある」とみる。

 平均寿命は死亡率が今後も変わらないと仮定し、その年に生まれた0歳児があと何年
生きられるかを表す。
 同省の試算では、15年生まれの男女が後期高齢者となる75歳まで生きる割合は女性が
87.7%、男性が74.6%。90歳まで生存する割合は女性49.1%、男性25.0%としている。

 また15年生まれが将来、がん、心臓病、脳卒中のいずれかで死亡する確率は女性が46.92%、男性が51.60%と試算した。
これらの病気で亡くなる人がいなくなると仮定すると、平均寿命は女性で5.88歳、
男性で7.16歳延びると推定した。

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今、右脚大腿骨頸部骨折でヒハビリ入院している回復期病院は、80歳代、90歳代でリ
ハビリに励んでいる人たちばかり、です。
退院して見かけなくなる高齢者が多いのですが、次から次へと同世代の入院者が供給?
され、また新たにリハビリを始める。
いや、何割かの人は、他の病院から、地域包括ケアで、何カ所目かのリハビリ病院とし
ての転院でもあります。

そしてそのほとんどの後期高齢者には、ひ孫がいて4世代家族構成であり、世代を継承
していく状況を、ヘルパーさんや療法士さんとの会話から知ることができます。
66歳の前期高齢者の私などは、ここでは、非常に「お若い!」ということになります。
そして、20年後の自分を今、ここで日々想定させられているのであります。

で、これからどう生きるか・・・。
考えようと思いつつ、いつの間にか、眠りに落ちて・・・。

ベッド

次回は、<明治時代の平均寿命は男42.8、女44.3歳だった> です。

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【『もう親を捨てるしかない』から、ブログ一覧】

「はじめに」
第1回:介護殺人?利根川心中事件が話題にならなかった背景を読む
「第1章 孝行な子こそ親を殺す」
第2回:家族による介護殺人事件への関心が薄れていく
第3回:減る殺人事件、増える介護殺人・心中事件、家族・親族間殺人事件
第4回:在宅介護推進政策は、介護殺人助長政策?
第5回:実刑判決も執行猶予判決も抑止力にはならない家族介護殺人・心中事件
第6回:先に人生を終える高齢者世代の介護と終え方の責任
第7回:介護生活未経験の方に知って頂きたいその状況
第8回:自宅療養・在宅介護は多くの人の希望か?財政面からの政策の持つ狙いと矛盾
第9回:在宅介護主義と地域包括ケアシステムに潜む疑問・課題
第10回:「親捨て」と「(成人した)子捨て」の相互関係
第11回:子との同居で親子共倒れになるなら、子を寄せ付けない「子捨て」を

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【『もう親を捨てるしかない 』構成】

はじめに
第1章 孝行な子こそ親を殺す
第2章 日本人は長生きしすぎる
第3章 終活はなぜ無駄なのか
第4章 親は捨てるもの
第5章 とっとと死ぬしかない
第6章 もう故郷などどこにもない
おわりに

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本書の著者・島田裕已氏著の『0葬 ――あっさり死ぬ』を紹介しつつ
葬儀・葬送を考えるシリーズを、別のブログサイト<世代通信.net>
展開しています。
ご関心をお持ち頂けましたら、ご覧ください。
◆『0葬-あっさり死ぬ』から

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【島田裕已氏プロフィール】
1953年生。宗教学者、文筆家
東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了
放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、
東京大学先端科学技術センター特任研究員を歴任。
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(主な著作)
『日本の10大新宗教』『葬式は、要らない
『戒名は自分で決める』『八紘一宇』
0葬 ――あっさり死ぬ』『死に方の思想』

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