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養護老人ホーム・軽費老人ホーム(ケアハウス)の再編成を!:『在宅介護』<施設と在宅介護>から(5)

良書 『在宅介護――「自分で選ぶ」視点から』(結城康博氏著・2015/8/20刊)
を紹介しながら、介護問題を考えるシリーズ。

前回から「第5章 施設と在宅介護」に入っています。
第1回(通算56回):地域包括ケアシステムの基本にある仕事以外の要素
第2回(通算57回):責任回避の自助・互助介護政策化。公的サービス責任が先
第3回(通算58回):施設介護と在宅介護の関係を考えてみる(1)
第4回(通算59回):施設介護と在宅介護の関係を考えてみる(2)

今回はその第5回(通算60回)です。

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 4.他の施設系サービス(1

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<埋没する施設>

 養護老人ホーム及び軽費老人ホーム(ケアハウス)という施設について聞いたことはな
いだろうか。
 これらは措置制度(行政主体の制度)もしくは契約型施設であり、その運営には公費(
税金)が多く投入されている老人福祉制度に基づく施設である。
 特別養護老人ホームも、同じように老人福祉制度に基づくとはいえ、運営費は介護保険
制度によって賄われている。
 なお、これらは公費によって賄われているため、入居(入所)者の自己負担額は所得に
応じて異なり、低所得者層はかなり低くなっている。

 2000年に介護保険制度が創設されてから、高齢者福祉施策は介護保険制度の動向に大き
く影響を受け、老人福祉制度に基づく養護老人ホームや軽費老人ホーム(ケアハウス)の
存在は小さくなっていた。実際、(それらにおいては)定員割れといった実態も見受けら
れ、施設運営に大きな影響を与えている。

 特に、一部の自治体では生活保護受給者に対してはアパートなどで暮らすように促し、
養護老人ホームへの入所を勧めないといった事態もみられる。
 また、軽費老人ホームなどは契約型施設であるため、高齢者への周知が行き届かず、サ
―ビス付き高齢者住宅(サ高住)に利用者が流れてしまい、その存在意義が浸透しにくく
なっている。

 「地域包括ケアシステム」においては、在宅で暮らしていくことが理想とされているが、
このような高齢者の中には施設で暮らした方が適切であるケースもある。
 これら潜在的ニーズをどのように引き出していくかが重要となろう。  

<有料老人ホーム>

 有料老人ホームと聞くと入居金が数千万円で毎月30万円以上の経費がかかり、かなりの
富裕層しか利用できないと考えがちだ。
 しかし、昨今、入居金200~300万円程度で、地域にもよるが毎月15~20万円弱で利用
できる有料老人ホームもある。
 ある地方都市の有料老人ホームは、入居金50万円で毎月の総費用は、要介護度にもよる
が、約15万円前後であった。ここの施設長は、できるだけ厚生年金受給者の方が入居でき
る値段設定を心掛けているという。
 地価が安いためイニシャルコストを低く抑えることが可能である。けれども、地方都市
では国民年金受給者が多いため、毎月15万円でも高いサービスとなる。
  いずれにしても、全室個室で月15万円弱であれば、特別養護老人ホームの個室タイプの
値段の設定と大差はないのかもしれない。なお、有料老人ホームといってもヘルパーなど
の介護部分は、一部、介護保険制度を活用することになっており、毎月の経費は要介護度
に応じて負担額が変わってくる。

 もっとも、繰り返すが都市部となると、毎月少なくとも20~30万弱の自己負担が必要と
なる。有料老人ホームは価格設定からして幅が広く、地域によっても異なる。
 しかも、サービスの質も施設ごとに異なるため、一度、お試しで3~4日体験入居して
みるべきだろう。
 一応、入居しても気にいらないで退去した場合、一定程度入居金は戻ってくるシステム
はなっているが、やはり損失はまぬがれない。見学だけでは施設の良し悪しは判断しづ
いので、よくよく考えるべきだ。

パナ施設3
※次項に続きます。

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養護老人ホームは、介護保険の適用を受けない入居施設、特別養護老人ホームは、要介
護3以上の要介護者が介護保険の適用を受けて入居する施設。
<特別>か特別でないかで、根本的に違うわけです。

軽費老人ホーム(ケアハウス)は、やはり介護保険の適用を受けない、というか、介護
を必要としない低所得高齢者向けの施設、有料老人ホームは、介護保険の利用を問わない
(どちらかというと)経済的に恵まれた高齢者向けの入居施設で、多くは要介護高齢者。

名称が似ているだけに、違いが分かりにくいのがまずいですね。

2014年10月現在で、養護老人ホームは、953施設、65113室、軽費老人ホームは、2182
施設、91474室、ということです。
口で言うのは簡単ですが、2つを統合して、それを2分割し、一方を介護保険不要高齢者
福祉施設、一方を要介護1、2向け介護保険適用(軽費)一般養護老人ホームとする、と
いうのはどうでしょうか。

そして一般養護老人ホーム(略して一養?)の方は、厚生年金受給レベルで入居生活が
可能な施設とし、モデルに加えて、公的施設、民間施設両方での新設・展開を奨励する。

有料老人ホームで、厚生年金受給レベルで入居可能とするモデルもで出てきたとのこと。
これも、一般養護老人ホーム(一養?)グループに入れて、民間の場合は、補助金を支
給する。

というわけで、施設の再編を、次の介護保険改正時期に併せて行うべきではないと思い
ます。

026

 

次回は、<施設選びのポイント> です

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在宅介護――「自分で選ぶ」視点からブログリスト>>

「序章」
第1回:『在宅介護』は、介護業界と介護に関わるすべての方々にお薦めしたい図書
第2回:家族構成の変容が、家族による在宅介護を困難に
第3回:変わりつつある、介護施設・在宅介護への認識
第4回:結城康博教授の、これからの介護のあり方への提言に期待して

「第1章 在宅介護の実態」
第24回介護離職の根本原因としての在宅介護
第25回:親の介護と愛情の持ち方、表現の仕方
第26回:在宅介護を支える訪問介護・居宅介護サービス介護士の負担
第27回:実現困難な理想としての介護サービスは一面、非人間的
第28回:在宅介護が困難な場合の介護サービス付き高齢者住宅、サ高住
第29回厚生年金でほぼ賄える「サ高住」が理想
第30回:「小規模多機能型居宅介護」という名称自体、分かりにくい
第31回:(看護)小規模多機能型居宅介護事業は、小規模では成り立たない
第32回だれでも、どこでも、いつでもできる介護サービス事業か?

「第2章 家族介護の限界」
第33回:企業任せの政治、介護休業制度で介護離職を抑止できるか?
第34回:介護休暇制度を「介護休業制度」と呼ぶ矛盾
第35回:企業福祉と社会福祉の狭間で考える介護休業制度
第36回:パラサイトシングル介護者を生み出す親子関係の根深さ
第37回:介護虐待で考える、介護者・要介護者の人権
第38回:特養入所条件要介護度3以上で、待機高齢者はどうなった?
第39回:お泊り付デイサービスがグレー化するリスク
第40回:劣悪化する介護事業の原因の一端は、低所得高齢者政策の欠如に
第41回:住宅型有料老人ホーム事業がグレーからブラック化する前に
第42回:独居高齢者・高齢者夫婦世帯の増加で困難になる在宅介護・家族介護
第43回:国・自治体の介護行政無策のしわ寄せが介護事故・事件を招く

「第4章 在宅介護サービスの使い方」
第44回上がり続ける介護保険料。介護保険制度の基本を知る①
第45回:介護報酬・介護保険サービス料の基礎知識。介護保険制度の基本を知る②
第46回:要介護認定の仕組み・手続きと認定調査
第47回:要介護認定システムの客観性・信憑性問題による認定率格差と介護給付格差
第48回:要介護度レベルと認定方法の簡素化の余地がある介護保険法
第49回:ケアマネジャーが介護生活の質を左右する
第50回:生活援助サービスの短縮化・低下は已むを得ないか?
第51回:デイサービス、デイケア、ショートステイの利用法
第52回:介護サービスを受けるために欠かせない「地域包括支援センター」の役割
第53回:介護保険サービスの適用範囲、基準の難しさ
第54回:自費負担の介護保険外サービスが増えるのは、やむを得ない?
第55回:トラブルを避けるための介護サービスに関する「苦情」相談とコミュニケーション

「第7章 介護士不足の問題」
第15回:介護士有資格者の大半が潜在介護士化する現状
第16回:介護職員初任者・介護福祉士。介護士資格・キャリアパス課題
第17回:福祉系学卒者のキャリアパスと介護業界の責任
第18回:介護職は人生設計上適切な選択か?学生にとって厳しい現実
第19回:失業者・新卒者・潜在介護士。介護業界が自ら変わるべき課題
第20回:外国人介護士候補者・希望者の受入れを国・自治体・業界上げて
第21回:元気な高齢者が介護業務を補完する
第22回:高齢者介護士活用のポイント
第23回:他産業との賃金格差、人

「最終章 これからの在宅介護はどうあるべきか」
第5回:多重介護、年金受給額差、高齢者間経済格差にみる介護問題
第6回:介護保険制度と年金制度運用方法をめぐる課題

第7回これからの混合介護のあり方を考える
第8回介護事業の性質から考えるべきこと
第9回:介護事業がFCビジネスに不適な理由
第10回介護保険料・公費負担・自己負担増。介護保険制度と財源めぐる課題
第11回福祉循環型社会システムは景気回復につながるか?
第12回複雑化する介護保険制度をシンプルに
第13回:地域の実情に応じた在宅介護・施設介護政策の必要性
第14回:介護制度コストと介護職賃金は社会投資か?

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