介護マンガ『ヘルプマン!』第4巻【高齢者性問題編】:生きる本能としての性、高齢者にも個人差が

介護マンガ『ヘルプマン!』第4巻【高齢者性問題編】は、
イブニングの2005年3号~13号に掲載された作品を収録し、
2005年8月に単行本として発行されたものです。

高齢者の性をめぐる問題は、既成概念・固定観念があり
高齢者介護と関連させては、なかなか現実的・具体的に取り上げにくく
表現することもためらうモノ、コトです。

この第4巻ではこの問題を、劇画ではありますがかなり赤裸々に描き、
問題提起しています。

 

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あらすじ

恩田百太郎が勤めるグループホームで、同僚の若い女性スタッフが
入所している男性老人がマスターベーションをしているのをみてしまう。

百太郎がレンタルビデオ店に老人を連れて行った時に、急に元気になり
部屋にAVを借りてきたり、若い女性のポスターを壁に貼ると別人のよう
に生気を取り戻す。

男性老人には、高齢の妻がおり、老々介護ができないため、自宅でひとり
で暮らしている。

男性は、施設のある特定の気になる女性高齢者に声を掛け、声を掛けられ
た女性も応じるようになり、トイレで交渉を持つようになる。

それが施設長の知れるところとなり、男性入居者は重度の認知症者として
退所・移設することに。
そしてこうした状態を招いた百太郎は責任を問われ、解雇が伝えられる。

時おりホームを訪問する女性老人の家族(嫁)にも勘付かれ、そのホーム
では入居者間の性行為を黙認している。男性が強要し、母がその被害者と
して施設に対し、男性老人の他施設への移動を申し出る。

その老女は、昔、看護師長も務めたしっかりした女性で、年老いて自分も
それに応じるなど考えられないと、周囲は思っていることもストーリー
背景となっている。

男性老人は、他施設に移動させられたが、自分の変える場所が見つからず
認知症の症状が一気に進行し、移転先で心不全で急逝する。
息を引き取る間際に、老妻に添い寝を求め、老妻も夫の心を思いやる・・・。

元のホームに残された老女は、男性を夫と間違えており、その姿を探そう
とするが見つからず、彼女もまたスタッフに対し、「主人を寝とった」と
わめくなど症状を悪化させ、他の入居者も、影響を受ける。

その状態と男性の死から、老人の性の個人差とそれが人によって生きる力に
なることを家族や施設のスタッフが知ることに。

(施設長)
「あなたはほんとに何もわかっていないのね。気持ちはわかるわ。
でも介護には理想を実施するための万能マニュアルも正解もないの。
営々んいジレンマとの闘いなのよ。」
(百太郎)
「関係ねぇ!」

(施設長)
「”本当にこれでいいんだろうか”とおびえながらも安全策を取るしかないの。
保身のためじゃない。利用者さんのためなのよ!」
(百太郎)
「それがどうした!? 今は指食わえて見てるヒマはねえんだよ!」

(施設長)
「迷惑だと言ってるのよ!今日明日で解決できる問題じゃないの!。
長期的視野で辛抱強くやるしかないの!」
(百太郎)
「何 寝ぼけてんだ・・・? ”明日”なんてねぇんだよ・・・」
「テメエの残り時間で時間割作ってんじゃねぇよ・・・
”今日”できねえことは”明日”はもっとできなくなるんだよ・・・」


その後、老女を施設から退所させようと家族が施設を訪れた日。

老人たちがダンスなどで楽しそうにしているのを見ながらも老母を連れ
戻そうとした時、百太郎の言動で心を入れ替えた施設長が、
その理由を問いかけ、「誰の人生でしょうか・・・」
「今日のお母さんはどうでしたか? 老人の顔をしていましたか?
それともあなたと同じ女性の輝きを宿してらっしゃいましたか?」
と・・・。

後日、百太郎はエロ本を持って老人の墓参りに。
老妻は感謝の言葉を。

そこに、辞めた百太郎とその心に思いを馳せる施設長の言葉が
重なり・・・。


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性の問題は、高齢者に限らず、少年期から老人まで、個人差が大きいですね。

相性が良いかどうか・・・。
感性が合うか否か・・・
相性の要素、感性の要因はなにか・・・。

複数の人々が居住する施設での人間関係、男女関係。
高齢者の心と肉体の状況、意識と行動の違い・・・。
高齢者の中での年齢の違い・・・。

自分がどうかを考えると・・・。
これはやはり、内緒・秘密、です。
と言ったところで、認知症になってしまえば、どうなるか、どう行動するか・・・。
想像できますが、現実の先取り創造は、残念ながらムリですね・・・。

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