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同時多発介護・多重介護、ファミレス社会に備える:『老い方上手』「ビンボーばあさんにならないために」から (2)

老い方上手』(WAVE出版)という図書にある
樋口恵子さんによる第1章 「ビンボーばあさんにならないために
から、介護についての記述部分を2回に分けて紹介します。

1回目は
ワーク・ライフ・アンド・ケアバランスに備える
でお伝えしました。

今日はその2回目です。

シニア女性1
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<なぜに貧しい女性の老後>
(略)
(前回からの続きです)

では、少ない介護力をどのようにして補うかという問題にこれから総力を
あげて取りくまなければなりません。

たとえばドイツの例です。
今、ドイツには徴兵制がなくなりましたが、徴兵制があった間は、銃を
取って兵役の訓練を受けるか、それを拒否する人は同じ期間、福祉施設で
働くことを認めていました、
今のドイツでは高校卒業後、男女ともかつての兵役期間を、福祉施設で
働くことを認め、年金期間に組み入れているそうです。

アメリカに関しては、大学の入試の仕方が非常に多様です。
ボランティア活動をして、Aをもらっているということが、コロンビア
大学なりハーバードだいがくなりという難しい大学の入り口の選択肢の
ひとつになっているということです。

どの先進国と比べても、日本の青年の自己形成に、高齢者はじめ福祉に
関心を向ける時間が少な過ぎると思います。義務教育の体験教育は行き
届いているのですが、一時的短期的で子どもの生活の一部に根づいてい
ません。

若者も、いずれほとんどは人生90年を生きるのです。若者が自分の人生
から100年を息長く展望する教育を望みたいと思います。

もちろん高齢者同士の支えあいも必要です。すでに80~90代の老親の子
は2人台ですが、勤め人の子である居住者は全国、どうかすると地球上
に広がっています。子夫婦2人に親4人が倒れる同時多発介護。多重介護
とも呼ばれます。これでは子どもだけで介護できるわけはありません。

ますます子世代の介護力は落ち、今の50代が要介護者になる20~30年後
には、子もいない、孫もいない、家族の少ない「ファミレス社会がやっ
てきます。このファミレス社会の老いを支えるには、地域を中心に、
家族でない人が支えあわないわけにはいきません。家族でないと支援し
ない無縁社会無援社会。そこに地域を核とした支援が他人同士でもすす
めば、支えあいというご縁のある有縁社会となります。

ご縁を結ぶ原資は女も男も働いて生み出さなければなりません。福祉の
すすんだ北欧などでは、女性の就労率は男性を100とすると90%。資金
格差も少なく男女みんなで家庭も社会も支えています。そうした国で女性
が貧乏だったら豊かな福祉などできるはずがありません。BB(ビンボー
ばあさん)をなくそう、という私の首長は、女も男も支えあって豊かに、
ということに結びついています。

(以下略)

153132

(その他の記述については、いずれ、世代通信.net で紹介させて
頂く予定です。)

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私自身の率直な意見を申し上げますと、若者が早くから介護の仕事を選び
転職とすることは、尊いこととは思いますが、少し残念な気持ちがしてし
まいます。

若い世代には、自分の能力や適性を伸ばすチャンスが大きく広がっており
創造的な新しい仕事やビジネスにチャレンジしてもらいたいと思うから
です。
いろいろ経験してもらった後で、介護事業に来てもらうことには大賛成で
すが。
優しい気持ちや、人の、社会の役に立ちたい、という気持ちは、大切ですが
別の分野・領域でも発揮することは可能ですから。

しかし、若い時に、福祉の問題に関心を持ち、なにかしらの経験・体験の
機会を持つことは、樋口さんのおっしゃるように、必要かと思います。
特に核家族化で、祖父母との同居生活体験を持つ子どもが非常に少なくな
っており、家族生活を通して介護について身近で見聞きすることもほとんど
なくなりつつあります。

社会システムとして、介護問題に関わる制度や受け皿が広がっていくこと
の必要性を感じます。
地域における高齢者が集まる場での交流、未就学児と高齢者との交流の機会
など、広がりつつある活動に加え、企業が主体となって社員向けに、介護
事業者と提携して研修を行うなど、今後考えられるかもしれません。
まず公務員が人材交流で、先鞭をつけるべきかもしれません。

同時多発介護、多重介護は、私たち団塊世代が本格的?に要介護状態になる
頃には、十分ありうることと思います。

私たち夫婦の3人の息子それぞれのお嫁さんの両親も、私たちと同世代か
少し若い年齢で、健在です。若い夫婦に4人の親。
しかも、その両親の家族構成が、3組中2組が2女、1組が1男2女。
お嫁さん3人のうち、1人が長女で、2人が次女。
15~25年後の多重介護状況・・・。
なんとなく想像できますね。
若い世代(といっても30代)夫婦の子どもたち(私たちの孫)にお小遣いを
くれている時には便利ですが、要介護状態になったら・・・。
きついですね。

やはり、私たち夫婦は、彼らにできるだけ負担をかけないように
自分たちでなんとかできるようにしておかなきゃ・・・。

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【樋口恵子さんプロフィール】(同誌からの転載です)
東京大学文学部美学美術史学科卒業。新聞研究所本科修了、時事通信社に入社。
その後、学習研究社、キヤノン株式会社を経て評論活動に。1986年から
東京家政大学教授、現在名誉教授。2014年から同大学女性未来研究所長。
日本社会事業大学名誉博士。NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」
理事長。著書に『おひとりシニアのよろず人生相談』『人生100年時代への
船出』『大介護時代を生きる』ほか。編著に『自分で決める 人生の終い方
-最期の医療と制度の活用』ほか。

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なお、『老い方上手』の大熊由紀子さんによる第2章「認知症400万人時代」
をお借りし、認知症について以下のように、7回にわたり連載済みです。

1回目 ⇒ 認知症をめぐる5つの誤解
2回目 ⇒ デンマークの認知症事情を知る
3回目 ⇒ スウェーデンの認知症事情を知る
4回目 ⇒ フランスのユマニチュードを知る
5回目 ⇒ 日本の認知症事情(1)
6回目 ⇒ 日本の認知症事情(2)
7回目 ⇒ 日本の認知症事情(3)認知症対策の変換

お時間がありましたら、再度チェックしてみてください。

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