介護マンガ『ヘルプマン!』第5巻【介護支援専門員編】(1)あらすじ:ケアマネがすべてを知っている!

介護マンガ『ヘルプマン』の第5巻【介護支援専門員編】は、
イブニングの2005年15号~24号に連載されたものを収録し、
2006年3月23日に単行本として発行したもの。

ここでの【介護支援専門員編】での主人公は、
百田百太郎と同時に高校を中退し、自ら強い意志を持って介護業界に
飛び込んだ、高校の友人、神崎 仁
彼が、介護支援専門員=ケアマネジャーの資格をとり、
その仕事で矛盾や問題に突き当たりながら、現場での対応・改善に努める在りさまを、
この第5巻から第7巻までの3巻で描いています。

第5巻の構成は、次の以下の通りです。

 

そのあらすじを追っていきます。

<第43話>:居宅介護支援事業所
介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格を取得し、新しく居宅介護支援事業所
<愛ワーク>に勤務することになった神崎仁。
ヘルパー時代に見聞きしたケアマネージャーの仕事の仕方に疑問を持ち、自分なら
ば、という思いを持って、初出勤日を迎えた。
「日本の介護を変える、オレの闘いが始まる・・・。」

<第44話>:苦情処理
退職した前任者から引き継いだ利用者は40人。
初日に5人の利用者宅を確認のためにモニタリング訪問。
1軒目では、来て欲しい時にヘルパーが来ない、利用者が勝手で予定のサービスが
できない、という事情。
2軒目では、老老介護での日常生活の不安など、問題を種々確認。
利用者サイドから、すぐやって欲しいことを頼まれても、ケアマネは手を出しては
いけないことを疑問を感じながらも説明。
帰社後、契約解除の電話、訪問先の家族が骨折して入院など、予期せぬ連絡事項が
入っており、初日からケアマネの仕事のハードさを経験することになり、徹夜に。

<第45話>:本業
2日目のモニタリング訪問をこなす中、昨日、介護事業者から契約解除の申し入れ
があった利用者からわがままな電話が再三入る。
なんとか時間を見つけて訪問し対応。事業者には頭を下げて継続を依頼。
この日の訪問先のアパート入居の利用者宅では、テレビの音が大き過ぎることで近隣
とトラブルが起きている。
事業所責任者からは、訪問は15時までに終わらせないと、ケアマネの本業ができない
とのメモが・・・。

<第46話>:猛省
その後も苦情・要望に振り回される仁。他のケアマネは、電話一本で済ます、
おざなりな形だけの訪問で済ますなど要領よく、
ひとりで60~70人も担当している
と知らされる。
所長からは「ケアマネは使われる前に使えるものは何でも使え」、

「一人でやろうとしちゃダメよ」と諭され、
「オレは・・・、何もわかっちゃいなかった・・・」

<第47話>:妄想
1週間が過ぎ、ケアマネとして誰一人救えてる気がしないと落ち込む仁。
ある訪問先では、要介護1で認知症の老親の介護で困っているお嫁さんに対して
施設に入れるのはムリと冷たく突き放してしまう。

<第48話>:ケアマネ
なんとか担当利用者宅の1日のモニタリングを目標時間内にこなせるようになった
が、苦情や依頼で追われる毎日。
だが、毎月1~10日には、定形の種々の提出書類や手続きにも忙殺される。
そういう日々、認知症要介護者宅では、お嫁さんの心身とも切迫し、殺そうと
いう衝動にかられるに至る・・・。



<第49話>:葛藤
ケアマネという仕事を事務的にこなすようになった自分に疑問を感じつつ、
「迷うな・・・。迷ったって答えなんかねぇ・・・!」
「オレが答えだからだ・・・」
「いい顔ばかりしていたい奴にケアマネは勤まらねぇ・・・!」
認知症家庭からの老人ホーム入居を理由として契約解除の申し出にも
厄介なのがなくなり、「これでいい・・・」と。

<第50話>:決意
ケアマネになって人が変わってしまったと感じ取り、心配で声を掛けに来た
百太郎を
「おまえとオレは立場も価値観ももう違うんだ」と突き放す仁。
それに対し百太郎は
「目を覚ませ!!許さねぇぞ!!日本中の介護現場が腐っても・・・
おまえが腐るのだけは許さねえ!」「逃げんなよ!!」
その言葉を逃げる車の中で反芻した仁は、ぜんざいを食べに来いと声を掛けられた
わがまま老婆宅にふと途中立ち寄り、涙を流しながらぜんざいを食べる。
その帰り、百太郎の部屋のガラスを破って投げ込んだ仁のメモ書きには
「目が覚めた」の言葉が。
翌朝の事務所。それまでのネクタイ姿からジャージ姿に変え、モニタリングに
出かける仁の姿があった

<第51話>:制度への抵抗
担当のヘルパーを同行して訪問したゴミ捨て場のままのわがまま老女宅。
ケアマネは手を出してはいけないゴミ捨てはぜんざいのお礼といいつつ、
今まで受け入れなかったヘルパーをうまく信頼関係が築けるようにその日は
対応し、その心を老女も理解し、心遣いにホロッとする。
契約解消を申し出た認知症高齢者宅のお嫁さんにも会いに訪問し、
介護保険サービスとは関係はないが、介護で悩むお嫁さんたちのサークルを
勧めるなど、今までとまったく異なる、仁が信じる仕事の仕方を取り始めた。
「ケアマネは、制度の歯車なんかじゃないんだ!!」

<第52話>:決壊
その日から要介護者の身になって、介護事業者本位のサービスをやめ、
自分の勤める事業所、利用する介護事業所の収益を度外視したサービスへの
切り替えや契約解除をどんどん進める仁に対し、所長が、外部事業者からの
強いクレームもあり、仁に対して
「あなたはケアプランを作っていればいいのよ!」
「いいから、黙って勧めていればいいの。業務命令よ。」
「いかなる契約も解消することは許しません!」
「どうしてもルールを守る気がないなら・・・。辞めてもらうしかないわ・・・」
対して仁
「あんた・・・。間もなく自分も介護されようかって年になって・・・
そんなやり方で正しいと本気で信じているのか?
十人十色の人生を背負っている百人百様のジジババたちを・・・
現場も知らないバカ役人が考えたできたてホヤホヤの介護保険システムに
押し込められると本気で思っているのか!?」
「オレたちケアマネがシステムに呑み込まれちまったら・・・
いったい誰がこのでき損ないの制度を軌道修正するんだ!?」


( To be continued.)


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本当によく描かれていると思います。
このあと、第6巻・第7巻とどう展開していくか・・・。
心配と楽しみと・・・。

次回は、第6巻のあらすじです。

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