おむつ外しは、水分摂取と歩行能力向上ケアと職員意識の統一で:『自衛する老後』介護事例紹介-4

『自衛する老後』介護事例紹介シリーズを始めています。

2012年5月20日発行『自衛する老後―介護崩壊を防げるか』 (新潮新書・河内孝著)
その内容から、参考になる実際の介護施設と介護方法 の事例を紹介。

国際医療福祉大学大学院 竹内孝仁教授の「介護力向上講習会
(2004年から毎年開催)と同教授へのインタビューの紹介からスタート。
第1回:竹内イズムによるピンピンコロリを作り出すおむつ外し・自力歩行
第2回:おむつ外しの源は1日1500mlの水。熱中症防止にも命の水を!
第3回: おむつ外しは、既存の介護体質変革覚悟で組織で取り組む

今回は第4回です。
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<既存の介護体質をぶち壊す>(2)

※前回からの続きです。

確かに、「おむつゼロ運動」はその意義を施設長以下、介護職、看護師、
理学療法士、栄養士、事務職など全員が納得しなくては始まらない。入居
者ごとの個別ケアプランを作り、正確に作業を引き継いではじめて、おむ
つ利用が少しずつ下がっていく。

 ところがどの職場にも「変えることを拒む」職員はいるものだ。口で言
うならまだいいが、最大の敵は、無言のレジスタンスである。こういう人
には、たとえ一時的にローテーションが苦しくなっても職場を去ってもら
うしかない。これまた職員の間に合意がなければトラブルのもととなる。

 一方、入居者の体調をチェックし、嘱託医の処方を受けて薬剤を与える
のは看護師の仕事である。簡単に「下剤を廃止します」といっても、必ず、
「なぜ看護の立場が介護に指図されなくてはならないのか」というプライ
ドがからんだ反発が出る。

 介護施設は、多くの職種の寄り合い所帯、いくつもの縦割りが同居してい
る、といってもいい。こうした中では、最後は施設長の決断力、人事管理能
力、パーソナリティが成否のカギを握るのである

 「おむつゼロ運動」は、当初から「水分を取るとかえって尿失禁がふえる
のではないか」という誤った常識と闘ってきた。竹内教授のデータでは、年
齢にかかわらず自力歩行して、水分を十分取っている人の方が、車椅子生活
で水分摂取が少ない人より夜間の失禁例が少ない。夜間のコールも、異常行
動も少ない。おむつゼロを達成した施設の代表が、講習会で「当直の夜は職
員もぐっすり寝ています」と発表して、夜間コールに追い回される他施設の
職員たちがのけぞるという場面もあった。

 これは、竹内教授に言わせれば当たり前なので、歩行をはじめとして身体
活動の多い人は、血液循環、腎臓の活動も活発になり尿の日中排出量が増え
るため、夜間排尿、つまり失禁の可能性が下がる。夜もぐっすり寝られるの
である。

介護M2

 これに対して身体機能の低い人は血液循環のポンプ力が弱いため、尿が作
られるのは横になっていて重力がかからない夜間が多くなる
おむつゼロを達成した施設の平均パターンでは、1日1500mlの水分摂取と週
2回の歩行能力向上ケアを開始して1ヶ月で、日中排尿回数が1.4回増え、夜間
排尿が1回程度減り、失禁はなくなるという。

 また医師や看護師から、「慢性心不全や腎臓疾患の既往症患者には水分制
限が必要」という反論が出ることがある。心不全は心臓ポンプの故障だから
代謝機能が下がる、むくみが出て利尿剤を使うこともある。極端な場合、肺
が水没する恐れもある。

 しかし竹内教授によれば、入浴後の動悸や息切れ、1週間で2キロ以上の
体重増加がないかなどの兆候をきちんとチェックさえしていれば、1日1500
mlの水分を与えても心配ない。むしろ塩分制限にこそ力を入れるべきで、重
度でないかぎりは、水を与えた方が制限した場合より明らかに弊害は少ない
という。

※この項、終わり
次回へ続く。

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予防介護事業に力を入れたり、新規参入する事業者が増えてきていますね。
そうしたところでは、この竹内イズムにおける水分補給の大切さや必要水分
摂取量などの理論と実践について、きちんとプログラム化され、習慣づける
ことが教えられているでしょうか?
ふと、今そう思い浮かびました。

前回も書きましたが、どの世界・業界・職場でもいままでやってきた方法
や何かを変えることはすんなりいきません。

ただ、そうした場合、見方・視点を変えてみれば、いままで単に習慣的に
やってきたこと、その方法には、何も根拠がなかったり、合理性もなかった
・・・。そういうことが多いものです。

人は本来成長するものなのですが、成長すること、変化すること、変える
ことを忘れてしまった自分に変わってしまった事の自覚がなくなってしまう
・・・。

多くは、老化したこと、年とったことをその理由にし、自分という個人・
個性の心が硬直化してしまったことは顧みない・・・。

しかし、この「おむつゼロ運動」はそうした精神的な要素がどうこうとい
うことではなく、人間の身体的な機能を根幹とした理論であるがゆえに、ある
意味、それをどう思うか、という要素を超えての話、そう感じた次第です・・・。

紙おむつメーカーにとっては、迷惑な話かもしれませんが、この1日1500
mlの水分補給と身体能力向上ケアで、「おむつゼロ」が当たり前になれば・・・。

改善・向上とは、当たり前のレベル・内容が進化・発展していくことなの
です。
素晴らしいことです!

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