介護離職・介護生活が予想される人に必要な備え:『男性漂流』<第3章・介護がこわい>から(6)

中年男性が苦悩の淵に追い込まれている数々の問題の中から、
「結婚」「育児」「介護」「老い」「仕事」という5つのテーマを取り上げた
男性漂流 男たちは何におびえているか
奥田祥子著:講談社+α選書・2015/1/20刊

その<第3章 介護がこわい>を引用紹介しながら、男性も親の介護を担う
ことが当たり前になり、避けられなくなり、義務化していく今とこれからを
考えるシリーズ
第1回:ケアメン、男性介護が当たり前の時代
第2回:悠々自適な「中年パラサイト」から介護生活へ暗転
第3回:増えるシングル男性介護者。男性よ家事力を!
第4回:家事力強化、介護知識、介護休業制度。介護生活への備えを
第5回:介護不安を取り除くために、聞く、調べる、知る行動力・社会性を
今回は、第6回です

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 介護離職の背景に制度矛盾
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 総務省の2012年「就業構造基本調査」によると、15歳以上人口のうち、
家族の介護・看護のために離職した人は、2011年10月からの1年間で10万
1千人(男性2万人)。
 前年の2010年10月からの8万4千人(同1万8千人)から1万7千人増加。

 また、2007年から5年間に離職した総数は48万7千人(同9万8千人)
上り、男性では40歳代、50歳代が35%を占める。
このうち2012年10月1日の調査時点で職に就いている人(再就職した人)
は12万3千人(同2万8千人)に対し、無職の人は36万4千人(同7万人)。
男性の7割強が無職のままで、離職後の再就職の難しさを示す結果となっ
ている。
また、調査時点で介護をしている50歳未満の男性(44万7千人)の19.5%
が無職で、その69.0%が就職を希望しているにも拘わらず職に就けていない。

男性介護者の実態を研究する津止正敏立命館大産業社会学部教授は、
その厳しい現状と制度上の問題点をこう指摘する。

「要介護者と同居して中心的に介護にあたる男性の3人に1人は40歳代、50
歳代であることを踏まえると、このような働き盛り世代が介護によって職を
失って収入が途絶えれば、介護サービスの利用回数の抑制や、貧困という
重大な問題につながる可能性が高い。
 そもそも介護保険制度2000年に開始された当時、介護者の中心になる
のは、親世代に比べて若くて体力があり、家事に専念している嫁が想定され
ていた。
 だが、今では介護者の続柄は息子が嫁を上回っている。
 つまり、現行の介護保険制度の枠組みでは仕事と介護の両立は難しく、
親を介護する息子たちは非常に多難な道を歩んでいると考えられます。
 根本的に制度の見直しを検討する時期にきているのです。」

シニア外人夫婦2
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介護離職を防止するために、介護休業制度がありますが、その内容は、一
時的な対応に限定されるものです。
介護そのものは、ある意味、先が見えない、どの程度続くかわからないも
のですから、その制度では不安は取り除けません。

息子が親の介護を担当する構造は、核家族化・非婚化などで、一層介護離
職を増やす方向に働きます。

介護保険給付の急速な増加による財政負担の増加も間違いないところ。
それが、介護費用の自己負担を増やすことはもちろん、介護保険料のアッ
プにも間違いなくつながります。

もちろん上述のように制度を改定することは必要ですが、特効薬のような
ものは期待できません。
とすると、少なくともこれから将来介護を担うことが予想される人は、そ
の備えをしておく必要があるわけです。

しかし、本来備えるべき人は、いずれ介護をしてもらうことになる高齢者
自身。

まず高齢者夫婦は、健康に気を使いながら、できるだけ相互に支えあう生
活を極力長く続けられるようにしたいですね。

暮らしを楽しみながら、節約もして、独りになり介護が必要になることも
想定して・・・。

また、その間、介護が必要になった時に、どうしたいか、どうすべきかも
考え、子どもや親族がいれば、希望・思いを伝えておくようにしたい。
できれば、負担を最小限にできるように・・・。

ちょうど2015/10/7付日経に、老後資金として介護費用に必要かを考える
レポートが掲載されましたので、次回、取り上げたいと思います。
介護する人、介護される人、どちらにも参考になるのでは、と思います。

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