恵まれた施設介護生活を送るために:『失敗しない介護施設選び』から(5)

実際に20年間以上社会福祉法人での特養運営の経験者が書いた
失敗しない介護施設選び』(横江金夫氏著・幻冬舎・2015/8/25刊)。

これまで取り上げてきた
在宅介護――「自分で選ぶ」視点から
結城康博氏著2015/8/20刊)

を基にしたシリーズと対比させて
施設介護を推奨する視点で、紹介を始めました。

第1回:施設介護、在宅介護を比較する
第2回:高齢者自らが施設介護を選ぶ社会は?
第3回:高齢者・家族、双方にとって有益な施設介護を
第4回:介護施設入所を受け入れるために考えるべきこと
今回が第5回
第2回から、第5章
【施設入居は、人生の第二のスタート。追求すべきは「最期まで充実した人生」】
の中から数回引用し、今回がその最終回です。

---------------------------
 施設で家族に囲まれ、大往生を迎える幸せな高齢者
---------------------------

どんな人にも、必ず人生を終えるときが訪れます。
 2013年の高齢社会白書によると「病気などの回復から見込みがなくなった
とき、人生の最期をどこで過ごしたいか」という質問に対し、「自宅で過ご
したい」と回答した高齢者が、約6割に上っています。

 ところが実際は、自宅で逝くことができる高齢者はまだ限られるのが実情
です。
 いよいよ危篤となれば病院へ救急搬送され、医療者や医療機器に囲まれて、
家族とゆっくり話をする暇もなく亡くなられる方は少なくありません。
 家庭に高齢者の介護や看取りをする力がなくなっている今の時代、本当の
意味での在宅死は、いわば叶わぬ夢となってしまっています。  

 しかし、高齢者の「人生の最期を自宅で過ごしたい」という希望は、必ず
しも本当の自宅である必要はないのではないかと、私は考えています。
 高齢者が望んでいることは、「安心できる場所、家族や親しい人が身近に
いる環境で、穏やかに最期を迎えたい」ということではないでしょうか。

 第二の人生を過ごした介護施設が本来の在宅死という意味をもってさえす
れば、高齢者は安心して身を委ねることができます。
 私たちの施設のように、看取りまで行う介護施設ならその安心は二重にも
三重にもなるでしょう。
施設に入居した方が落ち着いた生活ができるようになると、「ここに骨を
埋めたい」「最期までここで過ごしたい」「ここで看取ってほしい」という
ご意見を、高齢者自身からよくいただきます。
 それは私たちの施設が、入居者やご家族にとって心から安心できる「第二
の家」、「終の棲家」になったということですから、私たちも誇りをもって、
最期まで全力で向きあいたいと考えています。

 施設での大往生は、それまでケアを受けてきた職員や看護師など、介護・
看護のプロが身近にいますから、高齢者本人はもちろん、家族も安心して
本人のそばにいることができます。
(略)
高齢者自身の気持ちを大切にし、質の高いケアを継続的に行える介護施設
を活用すれば、本当の意味で「最期まで充実した人生」を送ることが可能に
なると私は信じています。
 また利用する側が、介護施設を見極める目をしっかり養えば、劣悪なケア
しかできない施設は淘汰されていき、介護施設全体の質はもっと向上してい
くはずです。
 「わが家にとって最適な介護施設」をじっくり吟味し、せんたくしていく
ための知識をしっかりもってほしいです。
f-10
----------------------------

施設での最期が、家族に見守られて穏やかに大往生・・・。
良い施設に入れば、だれもがそうできる、叶う、というものでもないと思う
のですが・・・。

私は、自宅で最期を迎えると、あとの対応が大変と思うので、施設や病院で
逝き、そのまま段取りよくその道のプロに対応してもらい、家に戻ることな
く会葬の手続きがなされ、埋葬されるようにしてもらいたいと思っています。
正直、お墓も不要で、散骨してもらえればよいとも考えており、あと10年位
の間に、それらの一連の処理・措置方法を記しておかねばと考えています。

幸い、義母の骨折入院、リハビリ、サ高住への入居と、地域包括ケアの一面
や介護施設選び、施設入居・フォローなど経験できたことで、多少の選択眼
ができたかなと思っています。
しかし、その途中でこのブログを始め、何冊かの関連図書を読み進める中で
業界や制度の裏表事情などを垣間見、誰もが実際に、的確に介護施設や介護
サービスを選択することの難しさを感じています。

前回も述べましたが、この書を読み終える以前に、この本よりも後の2015/9/20
に出版された『介護ビジネスの罠』(長岡美代さん著・講談社新書を購入。


この本では、介護ビジネスの裏面、負の面を念入りにリサーチした、事実に
基づく悪い介護施設や事件・問題が紹介されています。
失敗しない介護施設選び』の少々楽天的・楽観的な内容に対し、不信感を
持ってしまうような内容が満載です。

その内容の一部を紹介することで、失敗しない介護施設選びのポイントを突
っ込んで知ることができると思われます。

 

関連記事一覧