関係貧困と時間貧困、時空の歪みを歯噛みする:「時間」がない男が「居場所」のある女に頼る未来(1)
水無田気流さんの『「居場所」のない男、「時間」がない女』と
筒井淳也さんの『仕事と家族 – 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか (中公新書)』
とをほぼ同時に流し素~読メン?
この 世代通信.net 用のネタ本としてとても良い本で、どのように利用させて
もらおうか整理しつつあったのですが・・・。
とりあえず、(って失礼を承知で)水無田さんの本に絞って進めていくことにしました。
実は、お恥ずかしい話と言うべきか、まずはお詫びから入るべきと言うべきか
水無田さんって、初め、男性と思っていたんです。
本をネットで購入し、序文を読み始めてから、その内容で、女性と・・・。
もっと失礼なのが、この本、随筆的図書と勝手に思い込んでいたこと・・・。
なんか、同じような感覚のフレーズで、日経の何かしらのコラムがあった気がしてて、
それを集めて単行本にして発刊したのかと・・・。
一応、社会学者の研究論と読むべきかと・・・。
それから、本の後半の方で、NHKのNEWS WEB の、コメンテーターっていうんですか、
水無田さんが出演中ということが書いてあり、これも知らなかった・・・。
あまりTVは見ないので・・・。
この番組、時々就寝前のCATVのチャネル切替中にちら見することがあったんですが、
水無田さんにお目にかかった?ことがなかった・・・。
チラ見自体、ほぼ週前半だけのことだったので、木曜か金曜日にチラ見れば逢えるかと・・・。
7月16日(木)は、台風情報の特番で同番組は中止。で翌金曜日に忘れていなかったので
チラ見したら、ご対め~ん。
って、私が画面で見ただけメ~ンだったのですが、どういう雰囲気の方か、理解・視解。
なんとなく、区切りができた感じで、今日から
<「時間」がない男が「居場所」のある女に頼るミライ>
というサブタイトルのブログ、始めます。
はじめに
[ はじめに サラリーマン家庭の「時空間の歪み」]
という序文の一部の引用を、1回目とします。
-----------------------
この国には、巨大な時空の歪みが存在している。SFの話ではない。今、
この瞬間も進行中の事実である。それは、サラリーマンの夫と妻の間に
横たわる、暗くて深い「時空の溝」に由来する。
この国で、多くの夫と妻はたとえ「生涯」を共にしても、「生活」を共には
していないのである。いわゆる、夫が稼ぎ、妻が家事育児を引き受ける・・・・
という性別分業は、夫婦の生活時間と空間を分離してきた。
(略)
(略)基本的にファミリー仕様である郊外住宅地は、規格外の人間をやんわ
りと排除する空間である。ここは独身者、中でも中年独身者男性にとっては
極めて居心地の悪い空間となっている。校外の住宅地は、「家庭を守る主婦
(女性)と子ども」のための場所とされ、一方、都市部は「働く被雇用者
(男性)サラリーマン」仕様の時空間とされているからだ。
(略)
男性は女性の3倍近い移動時間を通勤に使っている。平日昼間は、夫婦は生
活空間も共有する時間も完全に異なっているのだ。この時空間のずれは、私
たちの生活観を男女でまったく異なるものしている。
さて、女性は自宅近辺でのんびり生活しているのだろうか?実は日本の既婚
女性は家事・育児も含めた総労働時間は男性よりも長く、睡眠時間は短い。
(略)とにかく日本の女性には「時間がない」のだ。
既婚の子持ち女性には時間がなく、それが分かっているから未婚女性もDINKs
の女性も、結婚や出産に踏み切れずにいる。さらに、根本的に出産のタイムリ
ミットが迫られることから、結婚・出産・育児のタイミングとキャリアの両立
を考えねばならず、「人生の自由時間」そのものが乏しい。
この現状を、私は女性の「時間貧困」と呼ぶ。
では、男性は女性よりも自由で幸福なのだろうか?幸福度で見ると男性は女性
よりも低く、孤独死も自殺者数も女性の倍である。最大の要因は、男性の孤立
であろう。日本の男性は、仕事以外の人間関係が極度に乏しく、「世界で一番
孤独」とされる。自宅に帰るのがなんとなく憚られる「帰宅恐怖症」や、退職
後、奥様にべったりして嫌がられる「濡れ落ち葉族」といった呼称は、中高年
男性の居場所のなさの証左である。私はこの男性の孤立問題を、地域社会や家
族など私的な人間関係に乏しいことが特徴であると考え、「関係貧困」と呼ぶ。
本書は、これら主としてサラリーマン家庭のはらむ2つの「貧困問題」を検討
していく。この国の男性、とりわけサラリーマンには真の意味での仕事以外の
人間関係が乏しく、居場所がなく、孤立しがちである。
一方、女性には圧倒的に時間がない。しかも、お互いにその事実に気づいて
いない点もまた悲劇である。この男女の間に横たわる、時空間の深くて暗い溝
をサーチライトで照らし出し、共に幸福になるための方法論を提唱できたら
幸いである。
いかがでしょうか・・・。
あくまでも「サラリーマン夫婦」を想定している。
それもある程度大都市の、という想定で・・・。
そう考えておくべきかと思います。
ただ、水無田さん自身が、実際に出産し、1児の母であるという
体験をベースの一つにしての記述であることが、説得力を持たせて
います。
共に幸福になるための方法論が、すべて社会が用意すべきものとして
提案されるのか、それとも女性・男性、ひとりひとりの課題として
参考になるようにも提案されるのか・・・。
その見方にも注目しながら、このブログでは、男性・女性、交互に
水無田さんが見なしたテーマ・視点を参考にして考えていきたいと
思います。
できうれば、歪みに歯噛みしながらも「貧困」の中に一縷の「豊かさ」
を見出しつつ・・・。
---------------------