保留児童イコール待機児童。傷心を良心で変えるべき保育行政:『「子育て」という政治』から(3)

「少子化なのになぜ待機児童が生まれるのか?」
というサブタイトルが付いた「子育て」という政治猪熊弘子さん著


この書から、種々引用紹介し、保育・保活問題、子ども・子育て支援等に
ついて考えていきます。
第1回:2年連続で「待機児童ゼロ」ならず!横浜市の真実
第2回:いい加減な待機児童適用解釈。加減可能な待機児童数は信じるな!
今回は、第3回。

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 第1章 横浜市「待機児童ゼロ」の真実(3)
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<「旧定義」と「新定義」>
当初、待機児童の定義は、もっとシンプルなものだった。
2005年までは、純粋に
「認可保育所に入所を希望していながら、入所できない子ども」のことを
さしていた。
だから、認可保育所に入所できないものの、認可外保育所には入れていて、
なおかつ認可に申し込み続けている人は、「待機児童」としてカウントされ
ていた。

ところが、この時期、雑誌の記事を書くために調査をしていたところ、各
自治体が国に報告する待機児童数と、認可保育所に入れていない純粋な待機
児童数がずれているのを、いくつかの自治体で発見した。
ある政令指定都市では、実際に認可保育所に入れていない待機児童数より
も、国に報告している数のほうがかなり少なかった。

そこで、その自治体に問い合わせると
「独自にお金を出して認可外保育所に助成を行っており、その施設に入所でき
ている子どもたちを、待機児童とするのはおかしい」という返事・
 他の自治体でも、厚労省の定義とは異なる独自の方法で報告していることが
分かった。
 国に問い合わせると、きとんと把握しておらず、あがってきた数字をそのま
ま信じていた。
 ところが驚いたことに、その翌年から、いくつかの政令指定都市が独自に
設定していたカウント方法が、国の定義に採用されてしまった。
 それ以来、「旧定義」と「新定義」と区別して呼ぶようになったという。

 とした後、横浜市の数字の実態について説明していますが、省略し、前回の
図表を再掲しました。

待機児童

<保留児童数>が、新定義に基づく待機児童数に含まれない、旧定義では待機児童に
数えられる人数ということになります。

下表は、2015年4月1日の同市の待機児童と保留児童の年齢別の内訳です。

待機児童3

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待機児童数のマジック
この項では、別表を用いて状況を概説した後、上記の
<1待機児童数の状況(1)待機児童数>の平成25年(2013年)4月の「保留児童数」
について、取り上げています。

 実際には、入所希望者の増加が上回り、1746人が希望の保育所に入れず、保留児童
という扱いになった。

 「保留児童」のすべてが、どこにも預けられないでいるわけではない。
 市が助成している認可外保育所の「横浜保育室」や保育ママ、保育所の特定事業で
ある「一時保育」、幼稚園の預かり保育、さらには事業者内保育所など、何らかの預
け先を確保できた子どもが、全部で877人いる。
 
 ここからが、待機児童数の「マジック」以上の「ウルトラC」になる。
 4月1日時点で育児休業中だった203人、主に自宅で求職活動をしている100人、特定
保育所のみの申込者など566人は、預け先もないまま「待機児童」としてはカウント
されない。

待機児童2

その強引な、不条理な方式の基準は、同市サイトにあった上記の補足説明でわ
かります。

また、2103年4月にある企業が運営の認可保育所に子どもを入所させたAさんの
理不尽な事例を紹介。
0歳児の時に預けていた認可外保育所ではでなかったアレルギー症状が、そこで
入所後わずか2週間の間に4回も重篤な状況に。
 園の対応は、「発達障害」の疑いがあり退園を迫られることに。地域の療養施設
ではその障害はないと診断されたが園は主張を取り下げず、結局退園。
 市に、不安から、公立保育所に限定しての転園を希望したが結局「入所不承諾」。

こうした事情でも、待機児童にはカウントされない矛盾を取り上げています。

横浜市が待機児童ゼロを発表してから1年が経ち、2014年4月1日時点では新たに
いくつかの自治体から「待機児童ゼロ」が報告された。
 福岡市、千葉市などである。
 しかし中には、横浜市同様の「マジック」を使っているところも少なくないよう
である。

一方で、13年4月待機児童884人、14年4月には1109人の史上最多を記録し、全国
待機児童数ワーストワンを更新している世田谷区は、横浜方式をとれば、待機児童
は約半数近くまで減るという。

そのことについて、区長が厚労省のあり方に疑問をていするツィートも紹介。

国の基準を自治体が独自に解釈している現在、待機児童数の比較にはあまり意味
がないといえる。

と結んでいます。

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 こんなマジックは全然楽しくないし、ウルトラCはまったく美しくないですね。
 と言うか、汚らわしい・・・。
 こんなことで人目を惹こうとか、自慢しようとか、褒めてもらおうとか・・・
 人品卑しいとは、こういうことを言うのです。
 役所・役人は、非道いですね。

 こういう社会に、子どもたちは生きていかねばならない・・・。
 社会の愛情を受けることなく・・・。

政治・行政を変える必要があります。

とは言っても、林文子さんが横浜市長に就任してから変わったことを、著者は、
次項で紹介。
次回のテーマです。

幼児絵5

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◆「保育の問題は、女性の労働、女性の貧困の問題と深く関わっている
単純に「預け先を確保できればいい」というだけではない、根の深い問題だ。
そこを変えていくための社会変革が必要で、それには政治を変えることが
最も重要になってくる。」
猪熊弘子著:『「子育て」という政治 』より)

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【<保育・子育て>共有理念】
■生まれてきたすべての子どもは、平等に、保育の機会を与えられる。

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保育問題改革の方策(1):自治体首長を女性に!

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