「婚活」から「妊活」へは自然な流れ?:『「婚活」症候群』から(13)

「婚活」時代』(2008/3/1刊)の続編の
「婚活」症候群』(白河桃子・山田昌弘氏共著・2013/7/20刊)

を参考にさせて頂きながら、「結婚」と「婚活」を考えるシリーズです。

第1章【「婚活」流行の背景と影響】(山田昌弘)

第1回:「婚活」ブームがもたらした認識の変化「結婚できない不安
第2回:「婚活」が恥ずかしいことではなくなった時代の幕が開いて
第3回:『「婚活」時代』の誤算、恋愛抜きの結婚願望?
第4回:希望年収600万円以上の適齢期の未婚男性5.7%の狭き門への戦い

第2章【「婚活」の誤解と限界】(白河桃子)
第5回:結婚に対する意識の変化を提案した『「婚活」時代』が生んだ誤解
第6回婚活公認で女性がポジティブに。そして婚活未成就の負のサイクルが?
第7回婚活ブームは「再婚活」「晩婚活」を呼び、婚活格差を招いた?
第8回:「釣り堀婚」「価格.com婚」そして「ロトくじ婚」?
第9回結婚相手を選ぶ意識の変化以前に必要な、結婚への意識・考え方
第10回:強い女子力でも困難になった婚活時代は自活女子をめざす時代
第11回:「自活女子」「自活男子」化で一億総モラトリアム社会から脱却
第12回:社会的不妊と少子化を招く社会的不婚・未婚化改善のための働き方改革

と進み、今回は、第13回・第2章の最終回です。

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 第2章 「婚活」の誤解と限界(9)
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<保守的な30代は残り、現実的な20代はどんどん結婚していく>

今の社会構造や働き方だと生むタイミングが遅くなってしまう。
そのことに20代女性はだんだんと気がつき始めています。
大学時代の彼氏がいい企業に就職したら、離さないでさっさと結婚する
ので、結婚が早い20代が目立ちます。

またキャリア志向の女性で、続けていきたい、やりがいのある仕事につ
いている人ほど、若いうちに結婚して、20代のうちに第一子を生んで、
児が一段落した30代になってから仕事のほうは本腰を入れようと考え
てい
ます。
先輩たちの婚活や不妊治療の苦労を見ていて、計画的に動く人が増えて
いるのです。

ところが、保守的な30代は、仕事をしながら、いずれ養ってくれる男が
現れるのを待つというスタイルを続けている人が多い。

都内のOL向けの情報誌「シティリビング」の読者平均年齢は38歳と
きびっくりしました。
 働いていずれは結婚退社、と思っていた女性がみんなそのまま残って
働き続けているのではないでしょうか。
 もちろん、働くOLで既婚の方もいますが、30代の3人に1人が未婚。
 結婚相手の理想をいくら下げても、男性側の年収実態はそれ以上に下
がってしまっているという感じです。

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<「婚活」のコンセプトとアイディアとは?>

 地方活性化のコミュニティやシステムを仕掛けることで有名なプロデ
ューサーのイベントに行った折り「コンセプトだけがあってもダメ。
コンセプトを具体化させる仕掛けやアイディアがないといけない」とい
う話を聞き、はっとしました。

「そうか、婚活はコンセプトは提供できても、アイディアまでは提供で
きなかったのだ」と反省したのです。
 自分から意識的に結婚相手を探さなければいけないというコンセプト
は提供できた。しかし、具体化する仕掛けはなかった。
それは既存の
婚活ビジネスに取られてしまった。
だから、「婚活=結婚ビジネスを使
うこと」というような誤解も受けた
のです。

(略)

現在、著者お二人は、NPO全国地域結婚支援センターで、地方自治体
・市町村の民間ビジネス以外の婚活を支援する活動をしています。
山田氏が5章で、白河氏は6章でその具体的なアイディアを提案。
追って紹介する予定です。

次に提案する時には、「コンセプト」と「アイディア」を一緒に提案
したい。
 そう考え、『妊活バイブル』の出版をきっかけに、共著者の不妊診療
の第一人者、齊藤英和先生と一緒に、大学生向けのボランティア講座を
出張授業しています。

就活前の学生にぜひ知って欲しい「生む」×「働く」の授業です。
 卵子の老化や正しい妊娠や不妊の知識、これからの女性たちには不可
欠の「生み育てること」と「仕事」との両立についての情報。
 生める会社選びから生める働き方、生み時など、社会に出る前に知っ
ておいて損はない情報を提供する授業です。

 子どもや結婚を望む人こそ、しっかりと働き続けなければいけない。
女性が働き続けるというベースの上にこそ、結婚や出産というライフ
イベントが来ると信じています。

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2013年7月出版前の執筆時に、「今の社会構造や働き方だと生むタイミン
グが遅くなってしまう」ことに
20代女性がだんだん気づき始めて、結婚
が早くなっていたならば、間もなく2016年を迎えようとしている今は、
一層その流れが速まり、定着化しているのか、気になるところです。

その傾向が5~10年間程度続くなら、未婚率の改善、第一子出産年齢の
低下、出生率の向上にも結びつくと思うのですが、果たしてどうでしょう。

しかし、保守的な女性が、一層晩婚化し、未婚化し、出産も間に合わな
くなると平均値は変わらない・・・。

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今回で、第2章の紹介が終わりました。

当初意図した「婚活」傾向活動も、間違った?方向性がずれた婚活ビジネ
スの隆盛と婚活に対する意識の変化、そして反動としての保守化を招いた。

その反省とこれからの課題をこの章で整理していました。
まあ、誰が悪いというものではないのですが、根本的に結婚は何のため、
何を目的に、という視点での問題提起を、婚活時代でしっかりやっておい
て欲しかったな、というのが私の気持ちです。

さて、著者お二人がアイディアを具体化して婚活支援を展開し、その次に
具体化した「妊活」。
その基本となる書が
妊活バイブル 晩婚・少子化時代に生きる女のライフプランニング 』
(2012/3/20刊・講談社+α新書)です。

この書が発売されたのは、『「婚活」症候群』発刊よりも1年以上前。
ですから、本書および関連する出張授業を紹介する文が挿入されている
わけです。

「婚活」症候群』の紹介は、次は、第4章「限界を突破するには」
予定しているのですが、「妊活」というカテゴリーも設定している当ブ
ログですので、『妊活バイブル』の一部を一旦先に取り上げ、妊活につ
いて考えてみることにし
たいと思います。

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「何のために結婚するのか」を考えるシリーズは、こちらです。
⇒ 「結婚、してみませんか」


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