胎児のうちにすべての卵子が創られるって、知らなかった!:『妊活バイブル』から(4)
『妊活バイブル 晩婚・少子化時代に生きる女のライフプランニング』
(齊藤英和・白河桃子氏共著・2012/3/20刊)
を参考にしながら、一般的には、結婚の次のライフステージの一つである
出産に至るための妊娠のための活動=「妊活」について、紹介がてら考え
るシリーズを始めました。
第1章「婚活時代は妊活時代」
第1回:学ぶ「妊活」と、再考する「婚活」
第2回:出産後も正規職として継続就労した大半は公務員・教師という時代
第3回:妊娠・妊活、婚活に不可欠な強い意志・理性、責任そして愛情
今回は第2章の1回目、通算での第4回です。
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第2章 教科書が教えてくれなかった卵子の話(1)
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今回からは、国立成育医療研究センターの母子医療診療部不妊治療科で、
主に不妊治療に悩む患者さんの治療をしている医長の齊藤英和先生による
お話です。
<意外と知らない卵子の話>
不妊で悩んで診察に来る患者さんの多くが、妊娠しにくくなる時期があ
るということをどこでも教えてもらえなかったと言っていました。
確かに、現在の保健体育の授業では、「セックスをすると妊娠する可能
性がある」「望まない妊娠を避けるためには避妊が必要」など、” 妊娠し
ないための知識 ” は教えてくれるけれど、一方で”妊娠するための知識”につ
いては十分にページを割かれていないようです。
しかし、将来子供を持ちたいと思うのなら、妊娠そのものや卵子の基本
的な知識は持っておきたいものです。
まず、卵子について。
実際、赤ちゃんの素となる卵子について聞かれると「生理は排卵によっ
て起きる」ぐらいしか答えられない人が多いのではないでしょうか。
実は卵子の年齢や数が妊娠の鍵を握っていることは意外と知られていま
せん。
女性の一生の中で、卵子が一番多いのはどの時期だと思いますか?
答えは、「胎正20週(妊娠22週)頃」です。
お母さんのお腹にいるときなんですね。
この時点の卵子の数は、約700万個です。
女性の一生分の卵子は、実はこのときに全部作られてしまうのです。
そんなにあるならいいじゃないと思うかもしれませんが、ここをピー
クにして、卵子はどんどん減っていきます。
出生時には約200万個に減り、さらに初潮を迎える思春期には約30
万個まで激減します。
卵巣の中でどんどん消滅していくのです。
初潮以降、卵巣はほぼ1カ月に1個のペースで排卵を行います。
仮に閉経まで40年間とすると、その間に排卵される卵子は480個、
その他の数十万個の卵子は、排卵されることなく消滅してしまうので
す。
つまり数十万個の中から、選りすぐりの卵子が排卵されるのです。
妊娠との関係で注目したいのは、年齢を重ねるごとに卵巣内にある健
康な卵子も減ってしまうことです。
例えば、排卵の際には複数の卵細胞の ” 候補 ” の中から最も成熟した
卵子が選ばれますが、その”候補”の数は20代で約30~40個程度。
ところが30代に入るとその数が減少し始め、40代では2~3個
というケースもあるのです。
候補が減れば健康な卵子が排卵される可能性も低下する。
健康な卵子の排卵が減れば、妊娠率もそれだけ低下するのです。
そこで知りたいのは「卵巣にあとどれぐらい卵子が残っているか」と
いうことです。
現時点での卵子の数を測る方法は、発育中の卵胞(顆粒膜細胞)から
分泌されるアンチミューラリアンホルモン(AMH)の血中値から推計
することができます。
卵子の数というのはとても個人差があります。
染色体異常の一種であるターナー症候群などで先天的に卵子の数が
少ない人もいます。
早発閉経の原因の一つでもある自己免疫疾患の病気にかかって、後天
的に少なくなる人もいます。
また、子宮内膜症の手術をすると、卵子の数は大幅に減ってしまいま
す。
検査で卵子そのものを増やせるわけではありませんが、頑丈の卵子の
数を知ることはできるのです。
もちろん、卵子が減っても排卵をしているのであれば、妊娠すること
は可能です。
不妊治療では、卵子を取り出して健康な卵子を選んで受精させ、子宮
に戻すことができます。
ただ、加齢によって健康な卵子が減れば、治療をしても妊娠率は低く
なります。
そのため、若いうちから「いつまでに産みたいか」について考えてお
いていただければと思います。
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胎児のうちにすべての卵子が創造されてしまう、なんて、想像できない!?
生命の神秘の範疇に入るでしょうか・・・。
知らなかったですね、卵子の数の歴史と運命・・・。
人の命が宿る身体の中に、別の命と寿命がある・・・。
知られぬまま、この世に出ることがないまま・・・。
しかも、その命は、胎児の時期に創られている・・・。
そうしたことを知ると、実際の妊娠のなんとも貴重なことか・・・。
確かに、意志を持って産むための知識と準備が必要で大切なことと
考えさせられます。
知らなかった卵子の知識。
次回、もう1回、この章の残りの
<卵子の年齢は、自分の年齢プラス1歳>
<卵子は、アンチエージングできない!>
<意外と妊娠しにくいのが人間>
で学ぶことにします。
引き続き、男性にも、是非知っておいて頂きたい内容です。
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『「婚活」時代』(2008/3/1刊)続編の
『「婚活」症候群』(白河桃子・山田昌弘氏共著・2013/7/20刊)
を参考に、結婚・婚活を考えるシリーズ。
第1章【「婚活」流行の背景と影響】(山田昌弘)
第1回:「婚活」ブームがもたらした認識の変化「結婚できない不安」
第2回:「婚活」が恥ずかしいことではなくなった時代の幕が開いて
第3回:『「婚活」時代』の誤算、恋愛抜きの結婚願望?
第4回:希望年収600万円以上の適齢期の未婚男性5.7%の狭き門への戦い
第2章【「婚活」の誤解と限界】(白河桃子)
第5回:結婚に対する意識の変化を提案した『「婚活」時代』が生んだ誤解
第6回:婚活公認で女性がポジティブに。そして婚活未成就の負のサイクルが?
第7回:婚活ブームは「再婚活」「晩婚活」を呼び、婚活格差を招いた?
第8回:「釣り堀婚」「価格.com婚」そして「ロトくじ婚」?
第9回:結婚相手を選ぶ意識の変化以前に必要な、結婚への意識・考え方
第10回:強い女子力でも困難になった婚活時代は自活女子をめざす時代
第11回:「自活女子」「自活男子」化で一億総モラトリアム社会から脱却
第12回:社会的不妊と少子化を招く社会的不婚・未婚化改善のための働き方改革
第13回:「婚活」から「妊活」へは自然な流れ?