下流老人とは?その定義と問題の視点:『下流老人』の今と明日(1)

今年2015年6月に刊行されたベストセラー
下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』(朝日新書)

その著者で、自らNPO法人ほっとプラス を設立・運営する藤田孝典氏は、
さいたま市で、生活困窮者支援活動を行う30歳代前半の男性です。
この若い世代が描き、社会に警鐘をならした、高齢者の貧困問題を、
その書を参考に引用させて頂きながら、
「『下流老人』の今と明日」と題して考えていくことにします。

本書の体系は、次のとおりです。

第1章 下流老人とは何か
第2章 下流老人の現実
第3章 誰もがなり得る下流老人
第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
第5章 制度疲労と無策が生む下流老人
第6章 自分でできる自己防衛策
第7章 一億総老後崩壊を防ぐために

「第1章 下流老人とは何か」から始めます。
その第1回です。
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 1.下流老人とは、いったい何か
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(藤田氏の運営する)NPOには、毎日のように、貧困にあえぐ高齢
者からの悲痛な叫びが寄せられる。
 そのような方たちが、必要なサービスや社会福祉制度を受けられ
るように支援を続けているが、ここ最近「下流老人」の問題が

顕著に浮かび上がってきている。

(略)

・夏場の暑いなか、電気代を気にして、エアコンもつけずに室内で
熱中症を起こしてしまう人
・頼れる家族や友人もおらず、日中は何もせず、年中ひとりでテレ
ビを見ている人
・インスタントラーメンや卵かけご飯のような粗末な食事しか口に
できなかったり、3食まともに取れない人
・築年数40年のボロボロの家に住みながら、住宅の補修ができずに、
すきま風や害虫、毛高被害に苦しんでいる人
・持病があっても、医療費が払えないため、痛みに苦しみながら自
宅療養をしている人
・孤独をまぎらわすため、少額のお金を持って、一日、競艇場や競
輪場に居続ける人
・家賃が払えず、近所の公園で生活せざるをえない人
・コンビニで弁当3個盗み、「刑務所へ行かせてほしい」と空腹に
苦しみ泣きながら懇願する人

 わたしは現場の実情を知るまで、高齢期というものは、これまでの
数々の努力が報われる時期だと考えていた。
 家族や友人など多くの関係性に恵まれ、余生を旅行や趣味に費やし、
豊かで温かく、人生の終結に向かっていく・・・・・・。
 しかし、このイメージと現実には、相当大きなギャップがあると言
わざるを得ない。
だからこそ、この下流老人の問題をできる限り多くの人に知っても
らいたい。
 この問題を放置すれば、社会が持続可能ではなくなってしまう。
それほど重大な「社会問題」だと確信しているのだ。

 では、下流老人とは、いったい何か?

 わたしは下流老人を
「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」
と定義している。

 要するに、国が定める「健康で文化的な最低限度の生活」を送る
ことが困難な高齢者である。

 では具体的に、どのような生活レベルの人を下流老人と呼ぶか。

次の3種類の指標を提示しています。
1)収入が著しく少「ない」
2)十分な貯蓄が「ない」
3)頼れる人間がい「ない」(社会的孤立)

 次回は、その3つの「ない」指標を具体的に見てみます。

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特定非営利活動法人ほっとプラス のHPはこちら
同じく Facebookページ こちら です。

同書の前書き部分で、藤田氏が、2014年のNHKスペシャルでの
「老後破産」放送に触れています。
その内容を書籍化した『老後破産:長寿という悪夢』も発行されていますが、
こちらの 『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』の方が、体系的・具体的に記述
されており、入門書、警告書として非常に参考になると思います。

戦後の高度成長期に、一億中流化した時代が終焉を迎えた日本。
老後破産、下流社会の時代は、中流崩壊が前提にあると言えます。

この『下流社会』発刊からほぼ1か月後
中流崩壊 日本のサラリーマンが下層化していく』(榊原英資著・詩想社新書)
が発売されました。

しかし、中流崩壊をテーマとした書として、
2000年6月に『不平等社会日本―さよなら総中流』(中公新書)
2001年3月に『論争・中流崩壊』 (中公新書ラクレ)

がそれぞれ出版されています。
ですから、格差問題を取り上げるのは、今に始まったことではなく、
人口減少問題と同様、すでに20年近く前には始まり、進行し、深刻化
してきたわけです。

上述した、ある生活風景。
私のもその可能性がある老後ですが、考え方、備え方で、明日の景色は
変わってくると考えます。

今、高齢者である人だけでなく、いずれ高齢人生を迎える人、すべてが
考えるべき生活・人生。
人生を川になぞらえるならば、川上・上流に生の源を発し、中流を乗り
切り、下流でたゆたう気持ちのゆとりを感じることができるように・・・。
バラ色でなくとも、明るさを感じながら送る方法を自分なりに見つけ出
していく方法を考えていきたいと思います。

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