精神の発達が遅い男性の草食化を招く社会:『恋愛しない若者たち』から(12)

恋愛しない若者たち コンビニ化する性とコスパ化する結婚
牛窪恵さん著:2015/9/30刊)
を紹介しながら、若者世代を通して、これからの時代の結婚や少子化について
考えてみるシリーズです。


「第1章 恋愛レボリューション 何が若者たちを恋愛から遠ざけているのか?」
(第1節のブログリストは、文末にあります。)

第2節 若者たちの恋愛阻害要因②「男女平等社会」と「男女不平等恋愛」のギャップとジレンマ」
第1回(11回):年の差婚人気で厳しさを増す、若い世代の恋愛・結婚作戦

今回は、第2回(通算12回)です。

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 第2節 若者たちの恋愛阻害要因② :
「男女平等社会」と「男女不平等恋愛」のギャップとジレンマ
--昭和の恋愛幻想に縛られる若者たち--
(2)

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<日本だけじゃない、男性の草食化現象>

--女性は10歳前後で、脳が(大人の)合理的・効率的な働きを始めるが、
男性は20歳頃になるまでその働きをしない・・・・・。
2013年、イギリス・ニューキャッスル大学の博士、マーカス・カイザー氏は、
男女の脳の発達に関する研究から、この衝撃的な結果を発表した。
それまで、多くの学者が「3~6年程度」としてきた男女の精神年齢の差を
「約10年の開きがある」としたのだ。

精神性だけではない。
日本では、キスやセックスといった恋愛行動も近年、女性の早期化や積極性
がクローズアップされている。
かたや、若い男性は「恋愛行動を起こさない」「経験値が低い」「草食系だ」
などと揶揄されている状況だ。

ところが、こうした
「草食化」傾向は、どうやら日本だけのものではない。
以前、私はアメリカの大手新聞「ウォール・ストリート・ジャーナル」に
「Grass Eating Boys(文字どおり「草食系男子」)のテーマで取材を受けた。
記者はその際、全米でも01年の「9・11(同時多発テロ)」や08年のリー
マンショック以降、草食系や「結婚しない男」が増え、「いまやわが国(
米国)でも、若い女性たちが『いい男が見当たらない』と嘆いている」と
話した。
当時ヒットしていたのが、米作家のケイ・ハイモウィッツ氏による著書
『Manning Up(男らしくしなさい)』。

⇒『Manning Up: How the Rise of Women Has Turned Men into Boys

ちなみにアメリカで29歳までの未婚の男性は、1970年にはわずか16%だっ
たのに、2010年にはなんと55%まで急増していたのだ(2011/2/25 Japan
Real Yime 掲載)

私は当時、アメリカ、イギリス、オランダ、ドイツ、韓国・・・・と枚挙にいと
まがないほどの海外メディアに「草食系男子」の件で取材を受けたが、ほと
んどの国の記者が「わが国でも増えていて」と枕詞をつけた。
に、欧米の先進国で「わが国にはいないが」との前提で取材してくれた
大国は、イギリスぐらいだった。

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米国の29歳以下の未婚率が、そこまでになっているというのは意外でした。

欧米の先進国でも同様の傾向にある。
その要因について、牛窪さんはここでは触れていないのが少々残念です。

非科学的に言うと、科学技術が過剰に発達した社会においては、人の精神
性は、それに比して発達せず、相対的に退化する。
そのため、人間としての種の保存の願望と行動、性・セックスの快感への
希求をも低下させてしまう。
そのための社会的行動としての結婚や、(すべてではないですが)そのプ
ロセスにある恋愛に対する意欲と行動が低下する・・・。

まあ、感覚的な思いですが、私の考えとしてはそんなところかと・・・。

付け加えるならば、種々の物的、精神的商品やサービスの選択肢と関連す
る情報の過剰が、性や恋愛などの人間的な営みに対する関心を相対的にも、
絶対的にも低下させてしまっている・・・。
こじつけめいていますが、そういう側面もあるかな、と・・・。

でも、それで満ち足りているのかというと、そうでもない・・・。
根源では、何かしらの淋しさや、満ち足りなさも抱えている・・・。
そのひとつには、恐らく、人への希求があると思うのですが・・・。

次回、その対極関係の一方である「閉塞感」に触れた
<社会的閉塞感に影響される男性。選択肢が広く逃げ道もある女性>
に続きます。

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「第1章 恋愛レボリューション 何が若者たちを恋愛から遠ざけているのか?」
【第1節 若者たちの恋愛阻害要因① 「超情報化社会」がもたらした功罪】

第1回:最も若い大人世代の意識と行動を垣間見ます
第2回性情報をめぐる状況・環境の違いがもたらす若い世代の意識
第3回:幻想としての恋愛・性は空腹を満たさない?
第4回:面倒で重い恋愛から逃避する若者の求めるバーチャル
第5回:自信なし型も積極回避型も、恋愛以外に楽しいことがあればまだいい?
第6回:女性向けアダルトサイトの必然性と性・恋愛・結婚観の変化
第7回:共感の裏返しとしての孤独に耐えられない世代が増幅する社会とSNS
第8回:別冊『現代用語の基礎知識』を読む感じの若者コトバ事例集、かっ!?

第9回:若者や世代の価値観を決めつけ、多様性も主張する矛盾
第10回:超情報化社会の恋愛か、貧情報化社会の恋愛か

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