女性の働き方・活躍の仕方について考えていきます:『女性活躍後進国ニッポン』から(1)

仕事と子育ての両立
それに加え、介護も・・・
一億総活躍社会のなかで、一層頑張りが求められる女性(が)活躍(すべき)社会。

あまりにもムシが良すぎる願望というか強制というか・・・。

当ブログ<世代通信.net>では保活・子育てや婚活・妊活などのカテゴリーで、
<介護相談.net>では介護について、
女性が主体にならざるを得ない課題を取り上げています。

そろそろ仕事・働くことについても本格的に、と考えていたのですが、
別のブログサイト<人事人材.com>を本格的に取り組める状態になれば、そ
ちらと並行する形で、と・・・。
来月3月から、そのブログサイトにも時間を割くことができそうなので、一
足先に、以下のブックレットを参考にしたシリーズをこちらで先行させるこ
とにしました。

女性活躍後進国ニッポン
山田昌弘氏著・2015/9/8刊・岩波ブックレット)

------------------------
 第1章 女性活躍後進国の現実(1)
------------------------

<世界最低ランクの女性の進出度>

「地球上で女性を侮った国は発展しませんでした。」
これは、2012年に上演された宝塚歌劇宙組公演SFファンタジー『銀河英雄伝説』
の中のフレーズです。
伯爵ヒルダが銀河帝国初の女性士官を志願した時、ラインハルト提督がわが国には
女性の士官などいないと難色を示した時に彼女が発した言葉です。

(いきなり宝塚歌劇が出てきたのにはビックリ!でした。)

日本社会が女性を侮っているとまでは思いませんが、女性がなかなか活躍できない
環境にあることは確かです。
2014年の世界経済フォーラム(ダボス会議)によると、日本の男女平等度は、142
ヵ国中105位、特に経済分野では102位、政治分野では129位と低迷しています。

イギリスのマーガレット・サッチャー元首相やドイツのアンゲラ・メルケル首相な
ど、先進国で国の指導者に女性が就くことはもう珍しいことではありません。
発展途上国でも、インドでインディラ・ガンジー首相が誕生したのは、もう50年近
く前のことです。
そして、女性の政治参加が遅れていた韓国でさえ、2013年に女性大統領が誕生しま
した。
このように諸外国では女性首相、大統領は当たり前なのに、日本では女性国会議員
さえ少ない状況です。
2014年12月の総選挙後の衆議院議員の女性比率は9.5%、民主的に議員を選ぶ国の
中では最低レベルです、

経済界を見てみましょう。
経済界での女性活躍度をみる指標として「女性管理職比率」がよく用いられます。
諸外国では管理職比率が30~40%台の国が多いのに対し、日本では管理職比率は
10%前後とかなり低い比率です。
民間企業の役員比率に至っては、欧米主要国では15%程度なのに、日本ではわずか
1.4%。
ほとんどいないといってもいいレベルです。

政治的にも経済的にも指導的地域にいる女性比率は、世界的に最低レベル。
まさに女性の活躍後進国なのです。

CW3

続く

------------------------

サッチャー首相やメルケル首相を除けば、インドのガンジー首相の父は初代首相の
ネルー、韓国の朴大統領も父が大統領、この文には書かれていない、1986年にフィ
リピン初の女性大統領になったコラソン・アキノ元大統領も、夫が上院議員中に暗
殺されたことで当時の大統領の反勢力の象徴とされて大統領の就任した、などの諸
事情があり、真に先進的な文化・風土が形成されていたわけではない、という側面
はあります。

まあ、それは日本の現状を擁護する理由にも何にもならないことは言うまでもあり
ません。

ご存知かと思いますが、本書の著者・山田昌弘氏は、このブログで連載中の
「婚活」症候群』や『「婚活」時代』の白河桃子さんとの共著者のおひとりでも
あります。
女性頑張れ!の応援団長みたいな方で、若者にもエールを贈っている有名な方。

じつは、昨年来、働く女性や、女性の働き方をテーマとしてのブログシリーズを検討
する中で
仕事と家族』『雇用身分社会』『働く女子の運命』などに目を通しました。

どの書も、歴史的に女性の労働について記述しているページ数が多く、かつ内容は
結構重いものが、正直、多かった・・・。
いずれ、それらの書を詳しく取り上げることも考えていますが、入門的には、この
山田氏のブックレットが適切と考えたわけです。

わたしの視点、立場は、山田氏と少し違う、ズレている?点があるのではと感じつ
つ、それらも付け加えながら、しばらく本書を読み進めていくことにします。

045

次回、<女性活躍先進国だった日本社会><女性が活躍できない国は発展しない>
に続きます。

------------------------

--『女性活躍後進国ニッポン』構成--

第1章 女性活躍後進国の現実
第2章 経済社会の構造転換の中で 
第3章 女性が活躍できない国の暗い未来
第4章 なぜ女性の経済的進出は進まないのか
終 章 男女ともに生きやすい社会を目指して

------------------------

【山田昌弘氏プロフィール】
1957年生、東京大学大学院研究科博士課程単位取得退学
現在、中央大学教授
専攻は家族社会学、感情社会学、ジェンダー論
著書に『パラサイト・シングルの時代』『希望格差社会--「負け組の
絶望感が日本を引き裂く』『少子社会日本 もうひとつの格差のゆくえ』
『「婚活」時代』(共著)『「家族」難民--生涯未婚率25%の衝撃』他

関連記事一覧