子どもを産み育てる親の覚悟と、それを支える社会の覚悟:『保育園 義務教育化』から(12)

保育園義務教育化』(古市憲寿氏著・2015/7/6刊)を紹介しながら
保育・子育て政策の転換とそのシステムの構造改革を考えるシリーズです。

【はじめに】
第1回:絶望の国の「お母さん」にしない、ならないために
第2回:待機すれば入園できるのか?お母さんを虐待する待機児童問題
第3回:「一人っ子政策」を進めているかのような日本の少子化対策の怪
第4回:少子化を克服したフランスの経済学者ピケティも不安視する日本の育児と少子化
第5回:子どもの数よりも猫と犬の数が多い現実
第6回:義務教育の早期化は世界的な潮流
第7回:共に教育を提供する保育所と幼稚園から導く、義務教育化保育園
第8回:保育園義務教育化は「未来への投資」。社会福祉の世代間格差も考える
第1章「お母さん」を大事にしない国で赤ちゃんが増えるわけない
第9回:母親と子どもとの個体分離。片手落ちのお母さん擁護論の幼児性
第10回:炎上させる人間自身の親や子としての在り方を問い返すべき
第11回:家族資源が希薄な時代の「お母さん」の産後ケアのあり方

今回は、第2章の第4回(通算第12回)です。

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 第1章「お母さん」を大事にしない国で赤ちゃんが増えるわけない(4)
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 <赤ちゃんを持つことの不安と重さ>

 僕の友人に、最近ママになったファッションエディターの小脇美里さんという人がいる。
彼女は育児を「じゃあよろしくねと、答えのない無理難題を与え続けられるようなもの
と表現していた。

 生後間もない赤ちゃんは常に死の危険性があり、命をずっと預かるというプレッシャー
ははかりしれない。だから一瞬たりとも目が離せない。

 育児には体力も知恵もかなり必要。周りの人は「かわいいでしょ、幸せでしょ」とは言
ってくれるけれど、その重みまでは背負ってくれない。
 小脇さん自身は子どもが欲しいと強く望んでいたので、そのような「重み」に耐えられ
るという。だけど、誰もが覚悟と自覚を持って子どもを産むわけではない。

 だから、本当はその「重み」を社会で分け合うことが必要なのではないだろうか
 
 僕が思ったのは、現代の育児というのは、相当の「情報強者」か「経済強者」でないと
務まらないということだ。
 「赤ちゃんに何を食べさせたらいいのか」「子どもに黄疸が出たらどうしたらいいのか」
「どこの保育園に入れるのがいいのか」など、無数の育児情報が世の中に溢れている。
 親はその中から自分の子どもに最適そうなものを選ばなければならない。

 その上、出産・育児にはお金がかかる
 いくら出産育児一時金があるとはいえ、ほとんどの場合は妊婦健診、出産費用などには、
10万円から数十万円の持ち出しが出てしまう。
 さらにベビーカーやベビーベッドなどマタニティ用品にも平均10万円前後のお金がかか
る。その後もオムツ代、粉ミルク代だけで毎月1万円以上の出費が出る。

 しかも、都心にはオムツを売っているコンビニが少ない。ドラッグストアにさえも置い
ていないことがある(これを知らない独身者は意外と多い)。
 それで結局「Amazonファミリー」に頼る人が多いようだ。
 実質年会費が無料で、オムツとおしりふきはいつでも15%オフ、それを最短当日に無料
配達してくれる。
 オムツと粉ミルクくらい国が送ってくれてもよさそうなものだが、なぜかアメリカ企業
が都心のママの子育てを支えているのである。

8

 

 次回に続きます。

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確かに、子どもを作る、産むのには「覚悟」がいると思います。
そして「決意」も。
産まれくる子どもは、なんとしても親である自分たちが、責任をもって育てあげる、
という覚悟と決意です。

そういう思いを持たずに、感じずに、考えずに、仮に親になったとしても、子どもを
見て、心を改めればよい。
そうした意志・意識を持つ親がいて、その上で、筆者が述べるような、それを支援・
応援する「社会」と仕組みがある。
社会も覚悟を持つのです。
それが目指すべき、望ましい在り方と思います。

しかし、何かしらの事情で、親の保護が得られない子どもを守る。
あるいは、子どもを養育することに不安を抱える親を守る。
そこに、心強い「社会」が控えており、手を差し伸べてくれる・・・。

医療、ミルク代・オムツ代、産後ケアその他平等に保証される種々の支援やサービス
が提供されることが標準化された上でのことです。

自治体レベルで、そうした物品を無料で支給する事例も、少しは見ることができるよ
うになってきたようではありますが・・・。

高齢者福祉に偏りがちで、若い世代、これからの世代のための社会保障・福祉政策と
制度が置き去りにされている。
この制度の構造改革を急ぐ必要があるのですが、まったく盛り上がる気配・機運が感
じられない・・・。
女性は立ち上がるべき・・・。
初の女性東京都知事の誕生が、その引き金になればと思うのですが・・・。

イクメン3

 

次回は<日本で親になる条件> です。

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このブログサイト<世代通信.net>のカテゴリーのひとつに
【保活・保育】カテゴリーがあります。

折々の関連する話題・ニュースなどを交え、保活や
待機児童問題や施設・
保育士問題などを軸にして取り上げてきています。

そこで関係図書を紹介しながらのブログシリーズでまず手掛けたのが
「子育て」という政治』。
昨年2015年10月に、『「子育て」という政治』からとして9回投稿

次が『ルポ 保育崩壊』。
このブログシリーズは現在も継続中で、以下で通算21回目。
待機児童問題解決に必要な子育て・保育行政の改革:『ルポ 保育崩壊』<共働き時代の保育>から(8)

そして、第3弾の保育園義務教育化』に入っています。

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