町田市・世田谷区・江東区、送迎保育ステーション・分園設置

日経の【東京・首都圏経済】の定型コラムの一つに<子育て2016>というのがあり、時々
このブログでも紹介させてもらっています。

昨年のそのコラムの最終回の記事が
<子育て2016 「空きビル保育所」後押し 都が規制緩和
「検査済証」なくても転用可能、駅周辺など掘り起こし>
というテーマで、これを取り上げたブログが
待機児童解消は規制緩和で(2):「空きビル保育所」承認の裏表事情。規制緩和の本質を考える (2016/12/15)

年が改まったので、<子育て2017>と変わっての、今年の1回目は、2017/1/7付の以下のレポート
です。
今年も、東京都各市区での待機児童対策が、紹介されるでしょうね。
追いかけていきたいと思います。

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 子育て2017(1):駅前で預かり、保育所送迎 町田市・世田谷区、空き定員を活用
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 東京都内の自治体が駅で子どもを預かり保育所まで送迎する事業を始める
 町田市が10月にも小田急電鉄町田駅周辺で、世田谷区も4月、成城学園前駅からの送迎を
始める。
 定員に余裕のある保育所を利用する際に親の送迎負担を減らす狙いで江東区では待機児童
が減る効果が出ている。
 ファミリー層が多い両自治体でも働く保護者に利用を呼びかける考えだ。

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 町田市は10月、親が子どもを「送迎保育ステーション」に預けた後、定員に空きのある保育
所に専用バスで送り届ける送迎保育事業を始める。
 小田急電鉄町田駅周辺にステーションを整備。
 夕方にバスで保育所に子どもを迎えに行く。
 子どもは親が迎えに来るまでステーションで過ごす

 同市の2016年4月現在の待機児童数は182人。
 前年より29人増と2年ぶりに増加した。町田駅や東京急行電鉄南町田駅、京王電鉄多摩境駅
などにファミリー世帯が多く移り住み、保育ニーズが大きくなっている。

 一方、市の西側に位置する忠生地区は、広い園庭がある保育所が充実しているものの、定員
に余裕がある。
 今回の送迎保育では町田駅からバスで30分以内の距離の忠生地区にある保育所やこども園を
活用する予定だ。

 送迎保育を利用できるのは1~5歳児。利用料金は月額で上限2千円と想定している。
 ステーションを利用しない昼間は、一時預かり保育をすることを検討
 パートタイムなどの多様な働き方に対応したい考えだ。今後は他の主要駅にも広げる方針。

 世田谷区は小田急電鉄成城学園前駅近くにある保育所の分園」を送迎拠点として活用する
 現在、そこに通っている2歳児7人が3歳児クラスに進級する4月から、同じ社会福祉法人
が運営する「本園」となる保育所3カ所にバスで通う。
 保育所はバスで10分程度の距離にある。

 送迎中の安全を確保するため、バスには運転手のほかに保育士が乗車する。
 親には月に数回、保育所に出向き、担任の保育士と子どもの様子を確認するように求める予定。
 同区の待機児童は16年4月時点で前年より16人多い1198人と高水準で推移している。


※記事中の資料を転載させて頂きました。

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待機児童減少に効果 マンション急増の江東区、保育需要の偏りに対応

 東京都内で送迎保育事業の先駆けとなったのが江東区だ。
 豊洲地区や東雲地区で大規模マンションの建設が進み、ファミリー世帯が急増。
 保育需要が一気に高まり保育所が足りなくなったことがきっかけだった。

 2014年4月に用地はあるものの保育需要が少ない有明地区に、本園となる保育所(定員322人)
を開設。
 0~1歳までを豊洲の分園で過ごし、2歳からバスで本園に通う「湾岸サテライト保育事業
を始めた。翌15年には東雲に分園、有明に本園を増設した。

 江東区の待機児童は13年4月に416人と過去最高となったが、送迎保育を始めた14年4月には
315人に減少。豊洲地区では187人から127人となり、区内の減少幅の大半を占めた。

 亀戸地区でも16年に同事業を始めた。
江東区は
1)
分園と本園の距離がバスで10分程度なのに、保育需要の差が大きい
2)本園となる大規模な保育所を建設可能
などを立地条件に挙げる。

 送迎保育事業は千葉県流山市などが先行しており、待機児童問題の解消と共に事業を縮小する
動きも出ている
 11年に始めた横浜市では最大で5カ所に送迎拠点を設けていたが、保育所の整備が進み利用者
が減ったため、現在は旭区の1カ所のみとなっている。

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苦肉の策と見るか、知恵を出した成果というべきか、見方によりけりかもしれませんが、バス好
き・乗り物好きの子どもたちには喜ばれるかも、です。

<送迎保育>も大切ですが、記事中で着目しておきたいのが、ステーションを利用しない昼間の
<一時預かり保育>を行うことを検討、という部分です。
パートタイムなどの多様な働き方に対応する。
こういうニーズは大きいと思います。
 ぜひ実現してほしいものです。

前回は、郵便局の空きスペースの活用に関する記事を紹介しました。
待機児童解消に、郵便局空きスペースを保育所活用:厚労省、自治体に空き情報提供で

もうすぐ入園時期。
まだ待機児童問題は完全に解消はされないでしょうが、物理的な、施設増加と基準緩和による
定員増という対策は、昨年来相当危機感をもって進められてきているように見えます。

もうそろそろ数の問題ではなく、質と保育政策自体の根本的な課題について議論されるように
なって欲しい。
保育園義務教育化・無償化です。
今年2017年がその転換期にならないものか。
そう期待し、願いたいと思います。
少子化対策、女性活躍等の改善の最も根源・根幹の課題なのですから。

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