駅前学童保育の「イオン放課後教室」は、総合塾センターか学童向け文化教室

 

今年4月初旬にイオングループが
東京都と千葉市に、商業施設のスペースを活用して、小学生に
未就学の5~6歳児を対象に加え、学童保育事業を開始しています。

学童保育とは

小学校の放課後に子どもを預かる施設。
共働きなどで、下校した時に親がいない家庭の子どもが主な対象。

子どもが幼児の時は保育園等に預けられるが
小学校入学と同時に預け先がなくなる
「小1の壁」が問題となっています。

希望しても保育所等へ入園できない未就学待機児童推定数が
14年4月時点で2万1千人以上。
こちらの待機学童保育対象の児童の潜在的ニーズは、
小学校低学年で40万人規模という推定があります。

こうした背景もあり
イオンが学童保育事業に力を入れつつあるわけです。

イオンの学童保育事業「イオン放課後教室」の狙いと概要

イオンマリンピア専門館(千葉市)と
ダイエー成増店(東京・板橋)に開業した
イオン放課後教室の概要を調べてみました。

提供するプログラムは

イオン放課後教室3プログラム

となっており

種々のスポーツ団体・協会の協力のもと、体育・知育・徳育・食育で構成する
豊富なプログラムをご用意していること。

種々のスポーツ講座、
テーブルマナ教室、親子クッキング教室などの文化系、
アナウンサー教室やアニメ教室などの体験型
の3テーマの特別プログを用意しています。

これに大手の塾などが提供する基本学習などを組み合わせた
幅広い分野のプログラムを通して
礼節を学び、
子どもたちの可能性を広げることをアピールしています。

1週間のカリキュラムは、以下のようになっており

イオン放課後教室1

と、選択肢はいろいろあり、一見便利ですが
学校の勉強にこれらが加わると、結構ハードですね。

遊ぶ感覚よりも、
訓練・練習というイメージのプログラムが大半のような感じで
ある意味、かわいそうな気もします。

教室利用料と利用方法については、以下のようになっています。

イオン放課後教室2料金

もし、20時迄目一杯利用するような事情・状況であるならば
ある意味、これは異常と言えるのでは、と、また心配になります。

「学童保育」という感じは通り越してしまうのではないでしょうか。

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イオンのPRは

この教室は、
子育てと仕事の両立を図るうえで、
学童保育所数の不足や土・日・祝日も営業している学童保育所が少ない
などの問題を解消する一助となるべく新たに取り組むものです。
今回開校する両校とも、
保護者の方々送り迎え、お子さまの通学に便利な駅前に立地しています。

とあり、
で、

イオングループは、
「日本一女性が働きやすい、活躍できる会社。日本一女性が働きたい」
の実現をめざし、
2020年女性管理職比率50%を目標に、
さまざまな取り組みを進めております。

その1つとして、
昨年12月には事業所内保育施設「イオンゆめみらい保育園」を
イオンモール幕張新都心に開園。
出産したイオングループ及びイオンモールで働くテナント企業の
従業員の復職支援に加え、
原則365日7:00~22:00開園、
イオンモール内フットサ教室等のテナントとの連携により
子育てと仕事の両立をサポートしています。

イオングループは、学童保育「イオン放課後教室」と合わせ、
地域のお客さまをはじめをイオンで働く方々が安心して子育てと
仕事の両立ができるよう、施設の設置をすすめてまいります。

とアピールしています。

そして
こうした施設を、運営施設で検証しながら16年度から本格的に展開し、
首都圏の駅前中心に、年間20施設前後開設する予定としています。

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なるほど・・・、

ですが、そんな格好の良いもの、歓迎すべきものと喜んでいいものかどうか・・・
やっぱり、どこか違うのでは?
と・・・。

実は、お恥ずかしい話ですが、私は勝手に
学童保育とは、てっきりボランティア的な活動で行われるものとばかり
思っていました・・・。

何のことはない。
これでは
学習塾を集めた、学童塾総合センター、
大人の文化教室・文化センタービジネスみたいなものですね・・・。

1ヶ所で複数のプログラムを選べるというのが特徴で
仕事を持つ親御さんが迎えに来て、ついでに買い物もしていくにも便利。

というわけです。

保活の延長線上の課題でもあります。

親御さんが働くために、子どもを有料の施設に預け
時間を過ごさせる。
というか
子どもを有料の施設で時間を過ごさせるために働く・・・、
あるいは、大人自身が望む時間を過ごすために預ける・・・、
という側面もあるわけです。

子どもが、自分で遊ぶとか
友達同士で遊ぶ、というシーンの選択肢、
イメージにも、実生活でもないということなんでしょうか・・・。

そういう施設がないと
結局、ゲームやSNS浸りの、けじめ、区切りのない
ある面、不安・危険な生活を子どもに強いることになる・・・。
だから有料でもよくて、そこに預ける・・・。

ということなのでしょうか・・・。
とすると、だれでもできる、というものでもないですね・・・。

なんとも不思議な感覚です。
不思議な社会です。

社会貢献という意味が、少しずつずれていくような感じ・・・、
です。

最近、というか
いつの時点からか、イオンの表面的なかっこ良さ演出企業振りに
違和感を感じているのであります。

最も日常的な事業である
スーパー部門が全然良くならないのと裏表のような・・・。

女性が大勢働く企業ですから
管理職に女性が就くのは自然のことです。
自然のことを自然に行うのに
その比率がどうこうだとか
それが良い企業の条件みたいに言うのはいかがなものか・・・。

そんなことを外に向かっていちいち訴えなどせず
さらりとやってのけて欲しい・・・。
と思います。

また、事業的には、その体質は
本来のチェーンストア企業とは程遠く
完全に不動産業グループになってしまっている、と・・・。

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高崎順子氏著

☆☆☆☆☆『フランスは少子化をどう克服したか』(2016年10月20日刊・新潮新書)

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小林美希氏著

☆☆☆『ルポ 保育崩壊』(2015年4月21日刊・岩波新書)

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☆☆☆☆『ルポ 保育格差』(2018年4月20日刊・岩波新書)

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稲熊弘子氏著

☆☆☆『「子育て」という政治 少子化なのになぜ待機児童が生まれるのか?』(2014年7月25日刊・角川SSC新書)

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前田正子氏著

☆☆☆『保育園問題 待機児童、保育士不足、建設反対運動』(2017年4月25日刊:中公新書)

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出口治明・駒崎弘樹氏著

☆☆『世界一子どもを育てやすい国にしよう』(2016年8月20日刊・ウェッジ)

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